2017年11月15日号(国際、政治)

2017.12.01

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2017年11月15日号
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発行日:2017年11月16日(木)
 
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           2017年11月15日号の目次
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★これで日本の政治が変わるなら(平成の関が原選挙)
◇習近平次第の中国
◇韓国の歴史を学ぶ(その4)
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
アジア歴訪のトランプ大統領、思ったよりおとなしくて、マスコミは拍子抜けの様子。
日本では安倍首相とのゴルフしか話題がなかったせいか、どこか批判的な報道コメントが多かったように感じます。
でも、首脳同士が共通の趣味で長い時間を過ごすことは外交上有意義なことです。
趣味が合わない隣国のトップとの20分会談よりは良かったと思うのですが・・
 
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┃★これで日本の政治が変わるなら(平成の関が原選挙)       ┃
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小池都知事が希望の党の代表を降りたことで、選挙の後に残ったのは、バラバラに分解された民進党だけという結末。
マスコミが「躍進」と囃(はや)し立てた立憲民主党も、執行部の顔ぶれを見れば旧態依然とした姿で、先行きの期待度は先細り。
この選挙で唯一明確に示されたのは、野党には全く政権担当能力がないことである。
この冷酷な事実を見て、多くの国民は白け切っているのではないか。
 
近年になり国民が望んだ政治は、政権を担当し得る二大政党による“緊張感”ある政治である。
その夢を民主党が実現したかに見えたのだが、民主党政権は国民の期待を裏切って自滅した。
その反動で自民党政権が復活したのであるが、それでも国民は二大政党制の実現を諦めてはいなかった。
国民が望んだのは、左右の思想対立による二大政党制ではなく、基本的価値観を共有する二大政党である。
しかし、そのことを理解出来ない民主党は、民進党という“余計に分けの分からない”政党になってしまった。
その意味で、前原代表の解党的行動には大義があったと思う。
また、二大政党制の実現のチャンスとみた小池氏が希望の党を立ち上げたことも間違ってはいない。
それは、一瞬とはいえ、世論調査の支持率で希望の党が自民党と拮抗したことからも明白である。
 
しかし、その危機的状況の中で、安倍首相は、衆院解散という思いもかけない奇襲をかけた。
ここから、政局は一気に戦国時代の様相となった。
 
この奇襲作戦は、戦術としては見事なものである。
敵方の陣容や兵糧(カネ)が整わないうちに奇襲を掛けるのは、兵法からいえば理にかなっている。
この作戦を立案した首相側のブレーンは参謀としては優秀である。
一方、仕掛けられた側の小池氏の対応も早く、すぐに多くの候補者を用意した。
さらに、前原代表を扇動(?)し、民進党を合流させるという奇想天外な作戦に出た。
この段階では「もしかしたら政権交代も」と国民に思わせたはずである。
ここまでは6:4で小池陣営有利と思われたが、「排除」発言で一気に野党勢力は瓦解した。
最後の場面で一枚岩となった与党と寄せ集めの野党の差が出てしまったのである。
まさに「平成の関が原」である。
もちろん、安倍晋三が徳川家康で、小池百合子が石田三成である。
 
たしかに、小池氏の「排除」発言が希望の党瓦解の引き金にはなったが、そもそも小池陣営には選挙戦を戦い抜く陣容も資金もなかったのである。
たとえ、排除発言がなかったとしても、選挙戦でその弱点が露呈し、敗戦しただろうと思う。
 
最大のネックは、小池氏の年齢であった。
65才という年齢が、小池氏の焦りを誘ったのだと思う。
すでに参謀や幹部の陣容を整え、選挙戦を戦い抜くだけの手駒と資金を手にしての65才であれば、勝機はあったであろう。
しかし、人材も資金もなく、ガラクタ候補者ばかりを集めても、戦(いくさ)は出来ないのである。
だから焦ったのだと思う。
こうして、平成の関が原は、歴史と同様、1日で終わってしまったのである。
 
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┃◇習近平次第の中国                       ┃
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党大会も終わり、習近平政権の2期目が始まった。
トランプ米大統領との会談やAPEC会議では、党大会を乗り切った余裕からか、習近平主席の言動には抑制が効いていた。
党大会前後の日本の報道では、習近平主席の独裁性が強まるようなニュアンスの論評が多かったように思うが、それは単純すぎる。
習近平主席は、中国を米国に代わって世界の覇権国家にしたいという野望を持っている。
それは確かだが、それが簡単に実現できるとは思っていない。
それどころか、現時点では、「現在の国際秩序を変えるつもりはない」のである。
それはそうだ。現在の国際秩序から最大の利益を得ているのが中国なのだから。
だから、この国際秩序を不安定にしている国家、北朝鮮には心底怒りを感じているのである。
本音では、武力で金正恩を排除したいと思っているほどである。
もしかしたら、その怒りはトランプ米大統領よりも強いのかもしれない。
 
マスコミは、「一帯一路」を中国による世界制覇の戦略だと報じているが、それだけの戦略とは思えない。
中国の過剰生産による経済破綻を防ぐため、活路を国外に求めている策に過ぎない。
もちろん、アジアやアフリカの弱小国を借金漬けで子分にして、中国の軍事拠点にしていこうという思惑はある。
しかし、たとえ中国の目論見どおりになったとしても、それらの国々は軍事拠点としては使えても、経済的には大きな重荷となる。
それは、かつてのソビエト連邦の二の舞いとなるだけである。
 
そうした中国が一番恐れているのは、欧米を席巻しつつある「反グローバリズム」である。
具体的には、保護主義と自国ファーストの考えである。
自国ファーストの代表のような中国が、他国のファーストに悩まされるのは皮肉だが、それが国際社会というものである。
とにかく、この2つは、間違いなく国際秩序を弱体化させるものであり、中国にとってマズイことなのである。
 
今の日本にとって、習近平政権の中国は領海侵犯を繰り返す“仮想敵国”ともいえる存在である。
しかし、外交とは情報の把握と冷徹な論理で行うべき「静かな戦争手段」である。
そう考えると、明確に次のことが言えるのではないか。
 
習近平政権の改革が中途半端に終わり、経済の成長が頓挫すれば、中国政治が不安定となる。
中国の不安定化は、世界の政治および経済の両面での不安定化につながる。
さらに、習近平主席の指導力が弱くなれば、国内のナショナリズムが対外強硬姿勢に傾き、それを抑えることが難しくなる。
そうなると、中国人民解放軍の力が台頭してくる。
習近平主席は、前政権の大物軍人を腐敗で叩き、空前ともいえる人民解放軍改革を着実に実施している。
政府が軍隊を抑え込むことは先進国には必須の要素なので、この政策は正しい。
しかし、この改革は人民解放軍の不満の温床ともなっている。
習近平政権の力が弱くなると、軍が対外強硬姿勢の先頭に出てくる危険が出てくる。
尖閣諸島の奪取どころか、ボタンの掛け違いでトランプ政権との軍事衝突の危険すら出てくる。
 
故に、習近平体制が強固になることは国際政治にとっても日本にとっても必要不可欠なのである。
そのことを念頭に外交戦略を展開している今の安倍政権の方向は正しいと思う。
軍事抑止能力を高めながら、多国間貿易による経済優先を第一に中国と付き合っていくべきである。
かつ、アジア各国との経済交流を強化し、TPPを進化させていくことである。
 
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┃◇韓国の歴史を学ぶ(その4)                  ┃
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朝鮮王朝の内部争いで、あろうことか、王妃の閔妃は、清國の袁世凱に救援要請を出しました。
この要請に乗じて、袁世凱は大軍を率いて朝鮮に出兵しました。
朝鮮独立を支援してきた日本ですが、まだ弱小国であり、清の大軍を前に為す術もありませんでした。
それどころか、日本の公使館が襲撃を受け、軍事顧問や外交官が殺されましたが、何も手が打てなかったのです。
 
こうして朝鮮は、王の外威である閔氏一族が清國の後ろ盾で実権を握り、再び旧来の王朝政治に戻ってしまいました。
しかし、朝鮮にも自国の独立を思う者がおり、2年後にクーデターを起こし閔氏一族を追放したのです。
そして、独立派は朝鮮国王の呼称を皇帝と改め、朝鮮の独立を宣言したのです。
ところが、またも閔氏は清國に救援要請をしたのです。
独立派は、出動した清軍により簡単に駆逐されてしまい、この朝鮮の独立はわずか3日で終わってしまったのです。
この時も、また多くの日本人居留民が犠牲になりました。
この動乱時、清國軍や閔氏一族による独立派や日本人居留民に対する残虐行為は目に余るものがあり、日本には、朝鮮や清に愛想を尽かす人が多くなり始めたのです。
このころ発表された福沢諭吉の「脱亜論」を読むと、こうした当時の日本の空気がよく分かります。
一言でいえば、「もう朝鮮や清國に関わるのはよそう」という空気です。
なにやら、現代も似たような雰囲気になってきていますね。
 
日本としては、朝鮮が名実ともに独立してくれることを望んでいたのであり、手のかかる朝鮮半島からは本気で手を退きたかったのです。
しかし、その後に清が居座るようになっては危ないと考え、外交交渉の末、清國と天津条約を結んだのです。
この条約で、両国は同条件で朝鮮半島から撤兵することとなり、兵を退きました。
実は、このとき日本は「外国からの侵略などの特殊なケースを除き」、両国は朝鮮半島から永久に撤兵すべきと主張したのですが、清國は「朝鮮は属国である」として、朝鮮で内乱が起きた時には宗主国として出兵するのは当然と一歩も譲らなかったのです。
結局、最終的には「両国は、今後、朝鮮半島に派兵する場合は相互通知すること」となったのです。
 
こうして、日清両国が兵を退き、朝鮮が自立することで半島に平和が来るはずでした。
ところが、閔氏一族は、新たな後ろ盾を求めて今度はロシアに接近し始めたのです。
当然、宗主国の清が黙っているはずもなく、袁世凱は自分が庇護していた閔氏の対抗馬である大院君を担ぎ出して朝鮮に乗り込み、朝鮮政府を指導する立場に就任したのです。
それでも、閔氏一族の朝鮮国王はロシアへの接近を止めなかったのです。
しかし、こうしたことを宗主国の清が許すはずもなく、清國との関係は悪化の一途をたどり経済は疲弊しました。
それでも王侯貴族たちは民衆の生活を顧みず贅沢な暮らしを続けたため、民衆の間には不満が膨れ上がっていきました。
 
そして、ついに1884年、朝鮮国内で大規模な反乱が起きたのです。
しかし、事態を収拾する能力がなかった朝鮮政府は、またも清に派兵を要請したのです。
日本は、過去の動乱で自国民が虐殺された経験から、この派兵を座視することができませんでした。
そして、天津条約に基づき居留民保護のために派兵したのです。
両国の派兵で反乱は収まったのですが、その後も日清両国は一歩も引かず、とうとう戦争になったのです。それが日清戦争です。
 
世界各国は、大国である清國の前に弱小国の日本は負けると思っていましたが、結果は逆になりました。
それはそうです。
日本は朝鮮の独立が日本の安全につながると思い、必死に戦ったのに対して、清國は現状維持、つまり植民地として朝鮮を支配することが目的だったのですから、必死さがありません。
この時の明治天皇による「宣戦ノ詔勅」から「下関講和条約」に至る記録を読めば、その時の日本の姿勢は歴然です。
日本は、終始一貫して朝鮮の独立を謳い、そのために戦ったのです。
 
下関条約として知られている日清講和条約の第一条には、以下のように書かれています。
「清國ハ朝鮮國ノ完全無缺ナル獨立自主ノ國タルコトヲ確認ス因テ右獨立自主ヲ損害スヘキ朝鮮國ヨリ清國ニ對スル貢獻典禮等ハ將來全ク之ヲ廢止スヘシ」
 
簡約すると、「清國は朝鮮を完全無欠な自主独立の国と認め、将来に渡って貢物などを求めないこと」という意味です。
この戦争の目的は「朝鮮の独立だ」ということを、講和条約の第一条に明記しているのです。
条約の第一条とは、全体の主旨を明記する最も重要な条項です。
そこに、朝鮮独立のことを掲げているのですから、この戦争の目的がそこにあったことは明白です。
 
もちろん、日本は純粋に朝鮮の独立のためのみを目的として戦ったのではなく、日本の国益のために戦ったのですが、しかし、他国の独立のために多大な犠牲を払ってまで戦ったことは事実です。
だからこそ、当時の朝鮮の民衆も喜び、今もソウルに立つ「独立門」を建てて祝ったのです。
 
次号では、せっかく日本の支援で独立した朝鮮がロシアに乗り換えたことから日露戦争につながる歴史をお話しましょう。
 
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<編集後記>
日清講和条約が締結された下関の割烹旅館は、今は「日清講和記念館」となっていますが、講話会議の様子を描いた画が展示されています。
教科書にも載っている有名な絵ですので、下関を訪れる機会があったら、ぜひ寄ってみてください。
 
韓国の歴史の話、長くなりますが、しばらく続けます。
私も復習しながら書いています。
歴史をありのまま見ることの難しさを感じながらも、確実な記録に基づいて書いています。
できれば、朝鮮戦争に至るまでの歴史を書こうと思っています。
 
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