中国経済は「末期状態」と判断すべきか?(その7)

2023.02.16

以下は、中国の2022年11月の経済データです。
前年比で、輸出-8.7%、輸入-10.6%、消費-5.9%と軒並みマイナスです。
若者の失業率17.9%だけがプラスという皮肉さです。
しかし、公式発表での7~9月の経済成長率は+3.9%で、10~12月は+2.9%となっています。
伸び率は鈍っていますが、“成長の持続”は続いているということです。
読者のみなさんは、この結果に「?」と思うでしょうね。
貿易と消費がマイナスで失業率が増えているのに経済成長率がプラスって、「あり得る?」と思うのが普通です。
 
そこで、別のデータを見てみます。
投資比率がGDP比で43%(日本27.3%、米国21.2%)と、かなりの高さになっています。
つまり、統計数値をごまかしているのではなく、投資の拡大が貿易と消費のマイナスをカバーしているということなのです。
 
しかし、この投資の多くは不動産投資です。
前々回まで述べてきたように、すでに30億人分の住宅を建設してしまったといわれる不動産市場が崩壊するのは時間の問題と見られています。
 
そうした中、中国統計局は、2021年度のGDPを+8.1%から+8.4%へと修正しました。
なんと、過去のデータを上方修正したのです。
同時に、2022年度の予想を3.0%と、目標の5.5%からかなり下回った数字を出してきました。
習近平政権の中枢は、3月5日から開かれる全人代(全国人民代表大会)での発表内容に対して相当に混乱しているようです。
乱暴に言えば、どのように“辻褄”を合わせた数字を発表するかで混乱しているということです。
 
アングラ情報では、江南地区の中堅の自動車会社が、実際は20.5億元(390億円)の売上なのに、行政区から67億元(1,275億円)の売上にしろと命令されたとHPで告白したことが話題になっています。
当然、この会社の実質は赤字なので、銀行に運転資金の融資を申し込んだところ、「儲かっているだろう」とダメ出しを食らったそうです。
一方、国有企業は国家信用を担保に低利の融資を受けられています。
それでどうするかというと、その融資金を銀行融資が受けられない民営企業に“また貸し”して、中間利益(ピンハネ)を取っているというのです。
 
そもそも国有企業は、上流の市場を寡占し、価格を上昇させ高い利益をむさぼっています。
こうした国営企業は安泰で、その利益の一部は、地方から中央の幹部へと流れています。
その反対に、民営企業は独禁法違反や融資基準で厳しく取り締まられ、倒産や夜逃げが増えています。
今や、民営企業の経営者には、「トウ平(なにもしない、諦めた)」という意識が広がっていると言われています。
※トウ平=「身」と「尚「を組み合わせた漢字に平を付けた単語=中国語で「タンピン」と言う
 
比較的経営がうまくいっている民営企業も、あえて銀行から資金を借りずに、事業を縮小して身を守る「借り惜しみ」や借入金を期日前に返還する現象が増えています。
このように、民営企業は衰退する一方ですが、習近平政権は、なんの予防措置も取らずに、いきなり「ゼロコロナ政策」を放棄しました。
飲食業は「お客が戻ってきた」と喜ぶ向きもありますが、当然、感染爆発が起きたことで先行きは不安がいっぱいです。
まして、製造業などの民営企業の現場は大混乱です。
 
さすがに慌てた習近平主席は、2022年12月の中央経済工作会議で「民営企業の振興」を打ち出し、これまでの計画経済回帰路線を転換させるかのようなシグナルを出しました。
さらに、政治局会議で内需拡大戦略計画綱要を発表し、弾圧してきた先進企業などに、一転して有利な政策を出すような姿勢を示し出しています。
 
しかし、「自らの政策の失敗」を認めることのない習近平主席を、中国の人々や国内外の投資者たちが信じるかどうかが大きなカギです。
習近平主席は、国内外の投資者たちのみならず、国際政治社会からの「中国に対する信用」を完全に失墜させてしまった張本人です。
今や、右に左にとハンドルをデタラメに切る暴走車の運転手と見られてしまっているのです。
 
こうした見方が当たっているか外れるか、それは読者のみなさんにお任せするとして、本連載はここでいったん終わりにします。