日本経済は新次元の入り口にある(その3)

2017.10.17


東京都心は建設ラッシュです。
問題は、いつまで続くか、また、バブルとして弾ける恐れはないかです。
そんなこと、どの建設会社も分かっていて、警戒もしています。
ですが具体策となると、霧の中で「見えない」「分からない」がほとんどではないかと思います。
しかし、「見えている」こともあります。
それを切り口に考えてみましょう。
数年前から中国人富裕層の爆買いが不動産に向かい、東京都心のタワーマンションは即日完売状態です。
ですが、彼らの購買動機は、お分かりのように、「そこに住む」ためではありません。
転売利益を目論んでのことです。
でも、不動産ころがしを防ぐため、取得後5年以内の売却には多額な税金がかかります。
ということで、あと2年ぐらいしたら、こうしたマンションの売却が出てきて、不動産業界に不況をもたらす可能性があります。
では、こうした売却代金を手にした中国人富裕層はどうするでしょうか。
大量の外貨流出に危機感を抱いた中国政府は外貨の持ち出しを厳しく制限し出しました。
このような状況では、日本の不動産を売ったカネを中国に持ち帰れません。
当然のように次の投資先を探して右往左往するでしょう。
日本が、有効な投資誘導策を打ち出せないと、このカネは海外へ流れていくでしょう。
そうなると、日本の富裕層のカネも海外へ流出する恐れがあります。
日本は国内総生産(GDP)が世界第3位の国ですが、国民1人当たりのGDPだと26位に落ちます。
このことは、日本の生産性の低さを物語っています。
建設業界は、働き方改革で増える建設コストを発注者・施主に負担してもらおうと業界を挙げてのキャンペーンを展開し、業界紙もそれに同調しています。
しかし、負担の横流しは経済全体でみると何の効果も生みません。
自分たちにマイナスとなって跳ね返ってくるだけです。
一方、同じ発注金額の中で生産性を上げられれば、その分、整備できるインフラの量が増え、その何倍もの波及効果が出ます。
そのことでしか、施主と建設会社双方の利益を増やすことは出来ないのです。
こんな簡単な算数ができないようでは、新次元の経済の入り口にも到達できないでしょう。