中国の景気減速が止まらない(2)

2019.02.18

日本や欧米が政府調達からファーウェイを締め出したことを「不当だ」として中国は反発を強めていますが、自業自得の感があります。
中国は「国家情報法」なる法令によって、自国企業や自国民に中国政府への情報提供の協力を義務づけています。
つまり、政府が自国民や自国企業に対し、スパイ行為を強制しているわけです。
ファーウェイ問題は、こうした実態を米国が全世界に示したことが重要なのです。
中国からは、人々がアップルのiPhoneを壊すシーンの映像が流れていますが、世界に対してはマイナス効果を加速させるだけです。
実際、外国企業が中国事業から撤退する動きが拡大しているといいます。
 
米国の強硬姿勢に、中国は防戦一方になっています。
近く制定がうわさされている「外商投資法」という新法があります。
一言で言うと「外国企業に対する技術移転の強要を禁止する」という法律です。
「ほんとう?」と耳を疑いますが、中国では政府当局の思惑一つで法律は恣意的に運用されます。
この法律も、実効的な意味合いはゼロでしょう。
かつて、中国とのビジネスで何度も経験したことです。
 
そう、中国は民主主義国家ではなく、一党独裁国家なのだということを、ビジネス上も頭から離してはいけないのです。
その中国が、このように屈辱的ともいえる法律の制定に動いているのは、米中貿易戦争の「90日の休戦」が2月末に期限を迎えるからです。
中国は、形だけでも米国に「恭順する姿勢」を示さなくてはならないほど、追い詰められているのです。
この緒戦はトランプ大統領の勝ちというところでしょうか。
 
中国の公式発表では、減速しているとはいえ、GDPの伸び率はなおも6%台を維持しています。
しかし、本当は3%台に下落しているといわれますし、マイナス成長に転落しているとする説もあります。
それを証明するように、外貨準備高が急減して、人民元の下落につながってきています。
1ドル=7.0元が攻防ラインと言われていますが、一時6.9元まで下落しました。
最近は6.7元まで戻していますが、中国当局が介入していると思われます。
そのくらい当局は必死なのです。
一方の外貨準備高は、2014年をピークに減少傾向が続き、3兆ドルを切る目前です。
中国経済の高度成長期は終わったということです。
 
現政権がこうした事態を座視できるわけはなく、旅行や買い物の規制に動くのも時間の問題と見られています。
中国人観光客による日本での消費は、2017年度で1兆7000億円に上ります。
波及効果を加味すると、3兆8000億円と言われていますので、中国政府が規制に乗り出せば、日本経済へもかなりの影響が出ます。
米中対立にも関わらず、安倍首相が中国に秋波を送るのも“止むを得ない”ということでしょうか。