生産性の向上(その1)

2022.05.16

バブル崩壊から30年、日本経済はデフレから抜けることができず、GDPは横ばいを続けています。
その間、中国に抜かれ、今や、その背中も見えなくなっています。
やがてインドにも抜かれると言われるくらい日本経済の未来は暗くなる一方です。
 
この日本の未来に必要なことは「生産性の向上だ」と言われて久しいですが、それも足踏み状態です。
日本人は手先が器用で、創意工夫が得意と言われてきました。
その素質は現代にも受け継がれていると思いますが、どこが“おかしい”のでしょうか。
本シリーズでは、そこから考えてみたいと思います。
 
国家の生産性を表す計算式は、以下のように非常に単純です。
生産性=GDP(国民総生産)/労働の総投入量(=労働人口?一人当たりの労働時間)
つまり、生産性の向上は、GDPを上げるか労働の総投入量を減らすことで達成できるわけです。
こんなことは小学生の算数レベルの話です。
 
ということは、昨今の「働き方改革」で一人あたりの労働時間が減れば、生産性は向上するはずです。
これで一気に解決ではないですか。
となるはずですが、「労働時間の減少⇒GDPの減少」になれば、元も子もないわけです。
実際、その恐れは無視できない要素です。
しかも、生産年齢人口の減少および老齢化が進むことで、さらなる悪化が確実視されています。
 
この解決方法はとても簡単です。
労働人口と労働時間が共に減っても、GDPを維持することができれば良いのです。
この結果、生産性は上がるからです。
しかし、実際はそう簡単ではありません。
その理由を検証するには、算数レベルでは難しいですね。
中学で習う簡単な方程式でも、やはり歯が立ちません。
では、高校で習う確率・統計論ではどうでしょうか。
ある程度の答えは導けるでしょう。
しかし、統計理論は過去のデータ分析が主という限界があります。
現代でAIと称する機能の大半は、この確率・統計理論の派生系ばかりです。
要するに天気予報です。
 
では、理系の大学で学ぶ関数論などの高等数学ならどうでしょうか。
かなり的確な解答を得られる可能性がありますが、政治的要因や国際関係などをどのように関数化するかという難題があります。
ですが、ここを乗り越えれば、日本の未来も明るくなる希望が見えてくると思います。
 
国際関係は日本だけの努力ではどうにもなりませんが、政治的要因は国内問題です。
7月に予定されている参院選で第一の争点にすべきは、防衛問題ではなく、生産性向上にからむ政治的要因の改革です。
防衛問題は、政権の選択である次期衆院選で争点とすべき改革問題です。
 
次回、生産性向上に絡む政治的要因を解説したいと思います。