2023年5月15日号(国際、政治)

2023.05.18

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2023年5月15日号
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発行日:2023年5月15日(月)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2023年5月15日号の目次
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★ウクライナの戦況
★幼児化する中国
 ◇韓国は友好国となったのか?
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
ロシアが「特別軍事作戦」と称していたウクライナ侵攻ですが、言い出した本人すら使えなくなったようで、とうとう「戦争」と言い出しました。
ウクライナの反攻開始が間近と言われますが、依然、終結への道筋は見えません。
ロシアは侵略時の電撃作戦が失敗した時点ですぐに引くべきでしたが、プーチンのメンツ優先が事態を泥沼化させています。
今号は、ウクライナの戦況から始めます。
 
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┃★ウクライナの戦況                    ┃
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毎日、様々なチャンネルを通してウクライナの戦況をチェックしていますが、ロシア軍には戦略はおろか、明確な指揮命令系統も機能していないように感じます。
 
激戦が続く東部戦線の中心となっているバフムトは、陥落間近と見られていましたが、ウクライナ軍の驚異的な粘りで膠着状態となり、今や形成は逆転している様子です。
バフムト市街の北側と南西側でウクライナ軍はロシア軍を圧倒し出していて、バフムトのロシア軍は逆包囲されかねない状況になっています。
 
バフムト戦線でロシア軍の中心になっているのが、民間軍事会社のワグネルです。
創設者とされるプリゴジンの“いかつい”顔が煩雑にTVやネット上に登場するので、おなじみ(?)となっている部隊です。
バフムトには、ワグネル以外に10社程度の民間軍事会社が入っていると言われていますが、民間(?)の軍事会社がロシアでは大手を振るって活動していることに驚くしかありません。
ロシアが、とても法治国家とはいえない国である実体がどんどんと明らかになってきています。
 
混乱はバフムトだけでなく東部戦線全体に及んでいるようです。
現在、どの戦線でもロシア軍は単純な攻撃を繰り返すだけで、戦果に乏しく損害ばかりが増えていく状況に陥っています。
この状況は、正規軍も民間軍事会社も、てんでバラバラで、全体を統率する存在がいないことを示しています。
ネットには、絶望して自決するロシア兵の映像までアップされています。
「支離滅裂」がふさわしい状態といえます。
正規軍が多くの将校を失ったことで、もはや効果的な作戦立案も実戦での指揮もできなくなっているのではないかと思われます。
 
全体戦略を練る役目は、ショイグ国防大臣とゲラシモフ参謀総長なのですが、どうも彼らの影が薄く、ワグネルのプリゴジンに呼び捨てにされる始末です。
しかし、彼らがまったくの無能とは思えず、その理由を考えました。
そして、以下の結論を得ました。
プーチン大統領は、どうも「自分以外の誰にも手柄を挙げさせたくない」のではないでしょうか。
自分の手柄にするつもりだった侵攻初期の電撃作戦が大失敗に終わった後は、無理な命令を出しては司令官の罷免を繰り返し、ついには参謀総長のゲラシモフを司令官に任命するという首を傾げる人事に至っています。
参謀は作戦の立案が主任務であり、司令官は前線での実戦指揮が役割です。
しかし、ゲラシモフが前線に出たという報道はなく、実際は最高司令官不在状態ではないかと思われます。
こうした人事の結果、最前線の正規軍は指揮不在状態となり、損害だけが増える事態に陥っています。
 
一方のウクライナ軍には、欧米による武器弾薬の支援や兵員訓練だけでなく、米軍が作戦立案を指導しているものと思われます。
つまり、参謀本部は実質、米軍の管轄下にあるのではないかと思われるのです。
こうして立案された作戦をザルジニー司令官が的確に指揮しているのではないでしょうか。
 
今や戦局の目は、ウクライナの反撃がどこから始まるのかということに注がれています。
これに関しては出どころの確かな情報が少なく、予測は難しいです。
もし、この攻勢に失敗すれば一転してウクライナが不利になるので、徹底した情報統制を敷いているようです。
心情的には、ウクライナの反転攻勢が成功し、クリミヤ半島を含めた領土の奪還をもって戦争終結への道ができることを期待していますが、そこまでの可能性はまだまだ低いでしょう。
引き続き、情報を追っていきたいと思います。
 
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┃★幼児化する中国                     ┃
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3月に日本に着任した中国の呉江浩大使ですが、4月28日の会見で、台湾情勢を巡り「中国の純内政問題を日本の安全保障と結び付けることは極めて有害だ。日本の民衆が火中に連れ込まれることになる」と、脅迫ともいえる発言を行いました。
「台湾有事は日本有事」との報道に対する反発ですが、あまりにも過激で幼稚な発言に呆れるばかりです。
それに対し、林芳正外相は5月10日の衆院外務委員会で、外交ルートを通じて「極めて不適切だ」と抗議したことを明らかにしましたが、あまりに遅い抗議に、逆の意味で、こちらも呆れるばかりです。
林外相が親中派と揶揄されるのも、こうした態度が原因のひとつなのでしょう。
 
呉駐日大使の発言の少し前の4月21日には、中国の秦剛外相が「台湾問題で火遊びをする者は必ず火で焼け焦げて死ぬだろう」と発言しました。
こちらは、韓国の尹錫悦大統領が「国際社会と共に力による台湾の現状変更に反対する」と発言したことに反発した脅迫発言です。
(どうも中国は火遊びが好きなようで、昔からこうした火を使った脅迫発言が多いように感じます)
 
その前日の4月20日には、中国外交部の“いつもの”報道官が韓国に対し、「他人からの口出しは容認しない」との脅迫発言をしましたが、すかさず、韓国外交部は「中国の品格を疑わせる事態だ」と反発しました。
この言葉どおり、こうした“子供の喧嘩”レベルの発言を繰り返す最近の中国の幼児化が心配です。
子供の喧嘩も口汚い罵りから、激昂して殴り合いになることがあります。
さすがに国家間で「それはないだろう」と思っていましたが、ロシアのウクライナ侵攻により「あるかも・・」という意識にさせられた方も多いと思います。
台湾侵攻も尖閣侵攻も「ロシアの二の舞いになるぞ」と中国に自制を促す意味から、南西諸島の防衛強化が欠かせなくなってきました。
 
また、中国による偵察気球による米国の領空侵犯と撃墜が話題となりましたが、その後、日本を含む世界40カ国以上の領空を侵犯していたことが明らかになっています。
さらに、全世界50以上の国で100カ所以上の秘密警察署を極秘に運営していることまで明らかになっています。
 
こうした行為を中国政府が続けてきたことで、一般の中国人の意識も高慢になり、世界のあちこちで、傍若無人な振る舞いが目立つようになってきています。
その一つに、パキスタンで起きた騒動があります。
パキスタン北部の水力発電所建設に携わる中国人技術者の男性が、イスラム教を冒涜したとして告発された事件です。
この中国人男性は、イスラム教のラマダン(断食月)期間に工事の進行が滞ったことに腹を立て、「遅い!」と言って作業員たちと口論になったということです。
その口論の中で、彼はアラーの神や預言者ムハンマドを侮辱するような発言を行ったのです。
これに怒った地元住民ら数百人が抗議に集まり、武装警察が出動する騒ぎにまで発展しました。
抗議参加者らは中パ国境につながる道路を一時封鎖したといいます。
暴動拡大を懸念した地元当局は、中国人男性を拘束し、告発に基づく捜査を進めるとしています。
 
私もパキスタンの現場を担当したことがありますが、国民の信仰心は絶対で、最大限に尊重すべきと肝に命じていました。
共産主義は「宗教アヘン論」を唱えているので、中国国民は、宗教を信じる人を下賤扱いする傾向が強いようです。
共産主義がひとつの宗教といえますので、他宗教を認めない心境が生じるのでしょうね。
 
また近年、パキスタンでは拡大する中国権益に対する国民の反発が強まっており、こうした住民感情の刺激が両国の不協和音に発展し出しています。
慌てた中国は、外務省報道官を通じて、「中国政府は在外中国人に対し、現地の法律、規制、慣習を尊重するよう求めている」と強調しました。
しかし、これも対外的なポーズに過ぎず、こうした不都合な事件が中国で報じられることはほとんどありません。
習近平政権が続く限り、政府のみならず、中国国民の幼児化も止まらないものと思われます。
日本は安全保障だけでなく、経済でも距離を取るべきと考えます。
 
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┃◇韓国は友好国となったのか?               ┃
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韓国が保守の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権に代わったことで、岸田首相が日韓関係の修復に前のめりです。
首脳同志の往来(シャトル外交)の実現に続き、韓国をホワイト国へ復帰させることも内々に決まったようです。
韓国は、両国の棘となっている“いわゆる”徴用工問題を、実質的に韓国政府が原告に肩代わりするという案で決着を図っています。
この問題、1965年の日韓条約で日本はすでに韓国政府に補償金を支払っていますから「肩代り」ではなく韓国の国内問題に過ぎず、日本は黙ってスルーすべきと考えます。
2015年の慰安婦合意も実質的に無効化され、例の少女像の撤去も実行されないままの現状を考えれば、この問題もどこかで蒸し返される可能性は大です。
 
尹錫悦大統領の日韓関係修復にかける意気込みは本物かもしれませんが、日本を卑下しないと気が済まない国民感情は容易には溶けないと思います。
自衛隊の哨戒機に対する火器管制レーダー照射問題での開き直りも“そのまま”ですし、4年後に左派政権に変わったら、結局、元の木阿弥になることが確実です。
来年の総選挙で与党が圧勝すれば韓国民の意識の変化を感じ取れるかもしれませんが、それまでは、何も信じないほうが良いでしょうね。
 
最近も、サウジアラビアのムハンマド皇太子の韓国訪問に関して、韓国マスコミは妙な記事を配信しています。
皇太子は韓国からそのまま帰国したのですが、韓国マスコミは「皇太子は、日本訪問をキャンセルして帰国した」と報道しました。
しかし、もともと皇太子の日本訪問予定はなく、外務省の公式ページにも載っていませんでした。
韓国とサウジの間には、いくつかの懸案があることで皇太子が訪韓しただけで、体調が思わしくない皇太子は実質半日で帰国しました。
それに対し、日本とサウジとの間に大きな懸案は無いので、訪日は計画されていなかっただけです。
つまり、こうした韓国マスコミの記事は悪質なデマというべきもので、韓国民もそれに踊らされているということなのです。
残念なのは、日本の一部マスコミが、こうした韓国マスコミの悪質な記事をそのまま報道したことです。
 
そうした偏向マスコミ以上の心配は、岸田首相も林外相も、親中・親韓派と言われていることです。
経済危機が近づいている韓国は、日本や米国との通貨スワップを喉から手が出るほど欲しています。
しかし、過去の苦い経験を考えれば、日本は手を貸すべきではありません。
両国が真の友好国となるには、10年、いや、それ以上かかるかもしれません。
喧嘩をする必要はありませんが、距離は置くべきと考えます。
 
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<編集後記>
フィンランドの加盟、スエーデンも申請中とNATO(北大西洋条約機構)の拡大が続いています。
ロシアにとってはウクライナ侵攻が外交的には完全な裏目となっています。
そのような中、日本にNATO事務所を設立するという話が上がっています。
早速、中国が批判しました。
ということは・・効果あるということなので、日本はお得意の「検討中」でいきましょう。
 
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