2024年1月31日号(経済、経営)

2024.02.16


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2024年1月31日号
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発行日:2024年1月31日(水)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2024年1月31日号の目次
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★中国は、自由主義国の小判鮫なのだ
◇これからの中小企業の経営(2)
◇2024年への展望(2):日本経済が上りきれない理由
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
 
香港の裁判所が、中国の不動産大手・恒大集団に清算命令を出しました。
中国本土ではなく香港でという“怪しい”命令ですが・・
負債総額49兆円だけでも絶句状態の数字ですが、未払いの建築費などを合わせると、総額数字は1300兆円という話も出てきて、もうお化け屋敷状態です。
中国全体の負債は1京5000億円に上るとの話もあり、こちらの頭の中はフリーズしています。
今号は、そんな中国の話から始めます。
 
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┃★中国は、自由主義国の小判鮫なのだ            ┃
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「資本主義」には「利潤を追求する経済活動の自由」や「自由な私有財産制度」という大原則があり、さらに「自由な資本移動を妨げない」と続きます。
つまり、自由主義国でないと機能しない経済の仕組みといえます。
 
ところが中国は「全体主義=独裁主義」の国家体制のまま、GDP(国内総生産)世界第二位まで上り詰めました。
世界の経済学者たちにとっては予想外の事態であり、解析に苦労してきました。
でも、中国独特の功利主義を考えれば、謎ではありません。
 
中国自身は、自国経済に「社会主義市場経済」などと意味不明な名前をつけています。
そもそも「社会主義」と「市場経済」は相反する概念ですが、そんなことは「どうでも良い」のです。
他国との関係は“協調”ではなく、自分の考えの“強調”で良いのですから。
当然、反発が来ますが、中国流の“ごまかし”で、自国民さえ黙らせればOKなのです。
 
もちろん、指導層はバカではありません。
こんな言葉遊びで自国民はごまかせても、他国(とりわけ、経済大国)はごまかせません。
それで、冒頭に上げた資本主義の原則を認めるフリをする、一定の譲歩はする、一定の市場開放は行うという戦略(ごまかし?)で自由主義国に媚を売り、「忍」の一字でひたすら中国の経済力を上げることに徹してきたわけです。
ターゲットは、米国を筆頭にEUそして日本です。
いわば、こうした自由主義大国の「小判鮫」になって自らを大きくしてきたのです。
このような屈辱ともいえる忍耐を主導してきたのがトウ小平や胡錦濤でした。
 
彼らの思惑(努力?)は“まんま”と当たり、日本を追い抜いて世界第二位の経済大国になったわけですが・・そこで、中国人の自尊心が頭をもたげてきました。
「世界の中心に位置する」という意味の「中国」という国名が持つ自尊心です。
この国民の自尊心を煽り、政敵を倒し、自らを皇帝にしようとしているのが現在の習近平主席です。
 
ところが、ここにきて「社会主義市場経済」なるインチキの化けの皮が剥がれ出し、その中身が欧米に見え出してしまっているのです。
経済通と言われた李克強とタッグを組んでいた間は、まだ“ごまかし”が効いていましたが、彼を抹殺したことで、みるみるバケの皮が剥がれてきたのです。
 
昔話の「因幡の白うさぎ」を思い出しますね。
あと一歩で岸辺に付く寸前で有頂天になり、騙したワニたちに「バカめ」と喋ってしまったウサギの姿と習近平主席がダブって見えます。
 
中国が世界一の強国になることなど、米国は絶対に容認しません。
大統領がバイデンのままでもトランプになろうとも、米国民のこの気持ちは変わらないでしょう。
EU各国も、中国の風下に置かれれば自国経済が奴隷状態になることを確信し出しました。
ところが、未だに中国市場に未練を持っているのが日本です。
 
中国が危険な独裁国家であることを忘れ、「バスに乗り遅れるな」と競って中国に乗り出した企業は大中小問わず多数に上りましたが、危険に気づき撤退したのは、まだ少数です。
そのうち、今度は「撤退の船に乗り遅れるな」となるのでしょうか。
 
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┃◇これからの中小企業の経営(2)             ┃
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本メルマガの2022年12月~2023年2月の3回で「中小企業は儲かっていない」を掲載しました。
その3回目で、以下のことを述べました。
『昨年7月、経済同友会の櫻田代表幹事はメディアのインタビューで、こう発言していました。
「日本の賃金水準を引き上げるためには、中小企業が、合併や大企業の傘下に入るなどして中小企業を脱していくことが必要」と指摘し、さらに「賃上げできない利益率の低い企業の廃業を促すべき」と述べました。
その発言からは、「大企業はエライ、中小企業はダメだ」という大手意識が垣間見えます。』
本シリーズは、この続きです。
 
現在、日本経済は「足取りがおぼつかない」ながらも、少しずつ上向いています。
しかし、中小企業の数は年々減っています。
倒産や廃業が主な要因ですが、合併や買収も間違いなく増えています。
このまま推移すると、経済同友会・櫻田代表幹事の主張するような大企業主体の企業構成になっていく可能性があります。
そうなると、韓国のような「階層型の企業社会」となり、中小企業は生き残れても下層へと沈みます。
「ならば、売れるうちに売ってしまおうか」と考える中小企業経営者が増えてくるのも道理です。
最近のM&AのCMでは、経営者の子供が「後継ぎなんて、やだもん」などと言う場面が出てきます。
このCMを見ている経営者の方は、どう感じておられるのでしょうか。
 
しかし、経済の土台を支えている中小企業が衰退する国は滅びの道を歩きます。
少数の財閥企業が“我が物顔”の韓国経済の苦境を見れば一目瞭然です。
そして、どんな民間企業よりも強い存在は国家政府です。
その国家政府が経済の最上位に君臨しているのが中国ですが、未来はどんどん暗くなっています。
なのに、この両国の状況を横目で見ながら大企業中心主義に傾きつつあるのが今の日本です。
 
「では、大企業に厳しい規制を掛ければよいのか?」というと、それも間違いです。
今のまま大企業を弱らせたら、その先は「共倒れ」です。
ゆえに、中小企業の経営者は、ここで奮起する必要があります。
魅力ある商品の開発、活動の深化または活動範囲の広域化、社員の力量の向上、組織階層の圧縮、まだまだ考えれば幾らでもあるはずです。
そうした経営改革の道具としてこそ、ITシステムは意味を持ちます。
それとも、ChatGPTに経営を任せますか(それも、ひとつの選択肢ではありますが・・)
 
本メルマガで“くどい”ほど述べてきた世界の大転換カーブの頂点の2025年はもう目の前です。
2024年から2025年は、次第に頂点の向こう側の景色が見えてくる期間です。
中小企業は「鋭い感性と先を見る目を持つ経営者」と「深い戦略思考と多様な経験を持つ右腕」の組み合わせをすぐにでも創ることです。
 
ひとつだけヒントを述べましょう。
2026年から先は「管理職が不要な時代」となります。
ジェネラリストは経営陣だけとなり、他はスペシャリストの構成となる時代となるのです。
そして、その両者をつなぐのが、インテリジェンスを持つITシステムというわけです。
この仕組みの具現化で「グループガバナンス」を確立することです。
でも、「働き方改革」が単なる「社員への迎合や甘やかし」になってしまう企業には、無理かな・・
 
実は、「これ、我が社も同じだな・・」とつぶやきながら本文を書いています。
 
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┃◇2024年への展望(2):日本経済が上りきれない理由     ┃
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本メルマガの2022年8月号~2023年5月号で9回に渡って「曲がり角の先の経済を考えてみよう」というシリーズを掲載しました。
表題を列記すると、下記になります。
1.SBGマジック
2.円安との戦い
3.円安は悪いこと?
4.稲森氏の言葉
5.企業トップの責務
6.事業承継
7~9.日本復活のカギは半導体(1)~(3)
 
ここで言っている「曲がり角の先」が、前項(これからの中小企業の経営)でも述べている「2025年を回った先」であることは、もうお分かりですね。
 
半導体の話の中で、「現在、量産可能なのは7ナノまでだが、すぐに5ナノになる」と述べ、さらに「国策として政府が主導するラピダスは『2027年に2ナノの量産を』と言っているが、1年遅い」と述べましたが、この意味も分かると思います。
 
このように日本は何もかも遅いのです。
日本国内では、「みんなが遅い」から大きな影響は出ないのですが、世界という標準で見ると危ないのです。
この国内における「横並び意識」が、気持ち良い“ぬるまゆ“となり、多くの企業が「茹でガエル」になっているのです。
これが、日本経済が上りきれない大きな理由です。
 
今年も春闘という名のイベント(?)が始まりました。
いつものように、大企業代表の経団連と労働組合代表の連合の初協議(顔合わせ?)が儀式として始まりました。
この儀式は、私が社会人となった1970年代のはるか前から続いていますが、その始まりを経験した方でご存命の方は、ほとんどいらっしゃらないでしょう。
この初協議のTV画面を見ていると「古式ゆかしき・・」というフレーズが聞こえてきそうです。
 
連合は、今年の方針として「最低賃金を1600円/時以上、賃上げ率6%以上」を掲げ、経団連は、それに呼応する声明を出しています。
連合は中小企業に対しても「5%以上」をと強気の態度を前面に出しています。
もっとも、連合に所属している中小企業は、従業員が100名以上の比較的大きな企業ばかりです。
資金繰りと人集めに苦労している零細企業にとっては、連合は“よその世界”の存在です。
連合・芳野会長にそうした認識はあるのでしょうか。
 
2024年10月から、従業員51名以上の企業には、月額賃金8万8千円以上のパートタイマーなどに社会保険加入が義務づけられます。
天引額と同額を企業が負担することを考えると、企業にとっては厳しい義務です。
結果として事業縮小、従業員減らしに向かう中小企業が増えることが懸念されます。
それだけの収益向上が期待できない場合、私でもそうするでしょう。
企業の存続を第一に考えればやむを得ない処置です。
 
岸田首相は、企業の「賃金を上げる難しさ」を、まるで理解していないようです。
この先も財務省主導の経済運営が続くようでは、日本経済は上るどころか腰折れするでしょう。
そこに気付いて方向転換できる人なら、首相は誰でも良いと考えます。
もちろん、岸田首相が方向転換するなら、支持しますがね。
 
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<編集後記>
静岡県の川勝知事の妨害(?)が常に話題になるリニア新幹線ですが、工事は着々と進んでいます。
このリニアの技術は、最新鋭航空母艦の電磁カタパルトやレールガンといった軍事用でも脚光を浴びている技術です。
民生でも軍事でも、応用範囲は無限大といえます。
リニア新幹線の運用は、この技術において日本が世界一であることの証明となります。
在来新幹線では、中国に協力したことで、大きな技術流出を招きました。
この愚を繰り返さないことを願います。
 
 
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