2021年11月15日号(国際、政治)

2021.11.16


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2021年11月15日号
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発行日:2021年11月15日(月)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2021年11月15日号の目次
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◇今回の総選挙の一番の敗北者は、マスコミです
★開戦直前の日本政治(2)
◇抑止力という名の軍事力(19)
◇原発の再稼働(その5)
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
立憲民主党の枝野代表は、辞任会見で、共産党との共闘を「違う選択肢は採りようがなかった」と弁解しました。
この発言で、かつての原発事故の時、官房長官だった枝野氏が連発した「ただちに危険はない」を思い出しました。
枝野氏は、事ある毎に政府の責任を追求してきましたが、自分のこととなると、一転して、こうした責任回避の言葉が口を突いて出てしまいます。
この方の本質なのでしょうね。
月末に立憲民主党の代表選がありますが、自民党の総裁選のときと違い、国民の関心は盛り上がっていません。
再生は難しいですね。
 
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┃◇今回の総選挙の一番の敗北者は、マスコミです           ┃
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自民党の“まあまあ”の勝利と立憲民主党の惨敗。
これが今回の総選挙の総括といえますが、一番の敗北者は「自民党は惨敗する」との報道を繰り返したマスコミではないでしょうか。
マスコミの致命傷は、若者の政治に対する考えの変化をまったく読み取れていないことです。
 
「若者は革新志向だ」という固定観念に囚われて、シールズなどの自己顕示欲の強い者たちの発信を「若者の代表意見」として取り上げてきました。
しかし、SNS世代の若者は、そんな旧態依然たるマスコミ報道には踊らされません。
はるかに多様な情報を取り入れ、若者どうしの情報交換により、自分の考えを作っているのです。
 
声高に政権批判するが身内の不祥事には甘い立憲民主党、自民党より古い体質の共産党の実態は、若者に確実に見抜かれています。
そのことは、若者だけでなく無党派層といわれるステルス層に共通してみることができます。
この層に多いのは、1970~1982年生まれのロスジェネ世代を含めた若い世代です。
この年代に属するある一人は、以下のように語っています。
「上の世代はバブル景気を謳歌して家もカネもある。歳をとった今は、立憲民主党の言う中身の無い政策を支持して「弱者支援だ、憲法守れ」などという言葉にファッション感覚で飛びつき、お気楽な生活に安住しているだけだ」
 
このような意見は、彼だけでなく40代以下の人たちからよく聞く意見です。
つまり、こうした若い世代の多数は、革新政党より保守政党を支持する傾向が強いのです。
たいした成果も挙げていない維新の会が躍進したことがそれを裏付けています。
立憲民主党や共産党の支持層は60代以降が多く、固定化しています。
今のマスコミの経営層はその年代でしょうし、煩雑にTVに登場するコメンテーターの多くもその年代です。
彼らに共通する姿勢は、自らを国民大衆より上に置く傲慢さです。
「○○無双」などと祭り上げられて舞い上がっている人の解説のお粗末さに、若者はとっくに気が付いているのです。
 
私は「マスコミは要らない」と言っているのではありません。
政治家の上に立っているかのような錯覚と傲慢さを捨て、しっかりと検証した事実のみを伝え、国民に是非の判断材料を提供する役割に徹すべしと言いたいのです。
 
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┃★開戦直前の日本政治(2)                    ┃
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つい先日までの感染拡大がウソのように、日本のコロナ感染者が激減しています。
その要因について様々な意見が飛び交っていますが、決定的な要因はわからないままです。
ひとつではなく複数の要因が相乗効果を挙げているように思いますが、最も大きいのは日本国民の同調意識ではないかと思うのです。
非常事態宣言が解除された今も、マスク無しで歩く人はほとんど見かけず、夜の街の人出も思ったほどには増えていないようです。
飲食店等のアクリル板はそのままだし、入るときのアルコール消毒、検温もそのままです。
ですが、文句を言う人はまず見かけません。
かく言う私もすべて同調していますから、まさに日本人です。
「そのうち緩んで、また感染者が増えるさ」という声もありますが、正直分かりません。
 
さて本題です。
戦前の日本をあの戦争に導いたのは東条英機たちA級戦犯だとして、日本の戦後が始まりました。
これが米国GHQの策略だとしても、彼らが驚くほど、日本国民は従順にこの裁判を受け入れました。
これも、良くも悪くも日本人の同調圧力の結果といえます。
しかし、いかに要職にあったとはいえ、たった7人であの大戦争を起こせるものでしょうか。
その疑問から、確認できている事実をベースに開戦前夜の日本を追ってみました。
 
1940年、ナチスドイツは電撃戦でフランスを破り、あっという間にソ連を除く欧州大陸を制圧しました。
残った英国は、ドーバー海峡という自然の防壁のおかげで踏みとどまっていましたが、連日の空襲で甚大な被害を受け、当時のマスコミは「英国の陥落は時間の問題」との報道を続けました。
巷では、こうした報道に触発された大衆による「即刻、ドイツと手を組むべき」との声が日増しに強くなってきました。
ドイツとの同盟に消極的で、英米派と見られていた米内光政首相へのマスコミ批判が続き、その扇動に乗り、英米派を追放した新体制を作るべきとの世論が大勢を占めるようになりました。
この頃、日本の巷で流行った言葉が「バスに乗り遅れるな!」です。
こうした声に押される形で米内内閣は倒れ、第2次近衛内閣が誕生します。
 
近衞文麿首相は、あの細川護熙元首相の祖父にあたりますが、優柔不断なところがあり、困難な決断には不向きな人でした。
「そんな人がなぜ?」と思うのが普通ですが、誰もが知るように、近衛文麿は典型的な世襲貴族です。
今も昔も、日本人は「由緒正しき家柄」が好きなのです。
政治家に世襲が多いことを見ても、現代でも、その意識は健在なようです。
そうした世論の風潮によって近衛文麿は再び首相に担ぎ上げられました。
 
しかし、戦争の匂いが濃くなる国際情勢の中、過激になる一方の世論を抑えることなど、近衛首相には到底無理な課題でした。
強行意見が大勢を占める世論に押され、近衛内閣による日独伊三国同盟の締結、大政翼賛会の設立という戦争への一本道が出来上がっていったのです。
 
これまで、大政翼賛会は、時の近衛内閣が軍部と結託してすべての政党を無理やり解散させて作り上げたものと言われてきました。
私も、そのように教わってきました。
しかし、それはウソと言っても良い歴史認識です。
強制ではなく、ドイツによる欧州席巻という報道に扇動された世論の大きな同調圧力に抵抗できなかった各政党が「自ら解散し」、日本に政党がなくなったことが要因なのです。
大政翼賛会は、近衛内閣が窮余の策として作ったものに過ぎなかったのです。
 
戦前の日本の国家権力は、現代言われているほど強くはなかったのです。
一部に狂信的な好戦派はいましたが、軍部の大勢も「対米戦争は避けるべき」との考えでした。
当時、陸軍将校だった私の父には将官の叔父がいました。
生前の父は「叔父から聞いた話」として、陸軍上層部は対米開戦の回避を図っていたと語っていました。
極悪非道な陸軍というレッテルは、国民を扇動して戦争を煽ったマスコミが、戦後、自らの罪を隠すため捏造した「ウソの歴史」なのです。
戦後作られた映画やTV番組も、そうした歴史観に基づくものが多く、今でも多くの国民が、そうした歴史観を信じてしまっています。
次回は、そのことを少し述べたいと思います。
 
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┃◇抑止力という名の軍事力(19)                 ┃
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10月18日、中露10隻の艦隊が日本海で共同演習を行った後、津軽海峡を抜け、日本列島に沿って南下し、鹿児島県の大隅海峡を抜け、そこでも演習するという行動に出ました。
日本に対する公然とした脅しです。
こうした露骨な脅しは開戦前夜といっても良い挑発行動ですが、中国は「平和を守るための行動だ」と臆面もなく言っています。
 
さらに、米艦艇が台湾海峡を通過することと同じだと言い張りますが、まったくのウソです。
国際海洋法で各国とも領海は海岸から12海里(21.6km)となっていますが、台湾海峡は、中国と台湾の領海が重なり合うところはなく、完全な公海です。
つまり、国際法で公海となっているところを米艦艇は通っているので、中国には文句を言う権利はありません。
一方、津軽海峡は、狭いところで11海里(19.8km)と12海里以下です。
しかも両海岸とも日本領土なので、津軽海峡は日本の領海内です。
したがって、「我が国の許可なく他国軍艦の通過は認めない」と言うことができるのですが、日本政府は、国際海峡として特別に外国艦船の通過を許容しているのです。
本音は日米安保のためなのですが、建前としては世界への便宜を図っているのです。
それを、中露は日本への恫喝のために利用したわけです。
まさに戦争を仕掛けられていると言ってもよい事態なのです。
 
ゆえに、岸田首相が言う「国家安全保障戦略を見直す」必要性は急務なのですが、首相の本気度が分かりません。
安倍前首相は、「中国とロシア相手に『二正面作戦』を実施する力は日本にはない」との認識で、ロシアとの間の懸案の北方領土問題を片付け、平和条約を結ぶことで、中露の離間を目指す戦略を採りました。
しかし、27回にも及ぶ首脳会談は何の成果も挙げられない失敗外交でした。
逆に、そうした日本を見下したロシアは、中国との合同軍事演習という強硬手段に出たわけです。
 
対ロシア政策の失敗は、安倍政権だけでなく、米国も同様でした。
オバマ政権は、米軍兵力を欧州からアジアに回す政策を採り、結果としてロシアの軍事負担を減らすという構図を作ってしまいました。
次のトランプ大統領は、まったくの軍事音痴ぶりを露呈し、中露に利用されるばかりでした。
バイデン政権は、オバマ、トランプ政権での失敗を教訓に、安全保障戦略の暫定的な指針で、米国にとって最大の脅威は中国、2番目の脅威をロシアと定め、中露の軍事協力懸念を表明しました。
 
しかし、世界はすでに大きく変わり、米国頼みの防衛戦略はほころびを見せています。
日本は、米軍はあくまでも補完の軍事力として独自の防衛力整備を急ぎ、中露の脅しには屈しない姿勢を具体的に示す必要に迫られているのです。
 
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┃◇原発の再稼働(その5)                     ┃
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前回まで述べたように、私とチーム員は原発内で多くの問題に直面し、相当量の被曝をしてきました。
普通に考えれば、原発反対派になるだろうと思われるでしょう。
しかし、誰もそうなりませんでした。
原子力は、人類の未来にとり必要な科学技術だと信じていたからです。
 
石炭火力の是非で紛糾しているCOP26では、欧州諸国の手前勝手な意見が幅を聞かせ、迷走状態です。
欧州のエネルギーの中心はフランスの原発といっても過言ではありません。
陸続きの各国は、互いに電気の売り買いが容易にできます。
その中心にいるのがフランスで、そのエネルギー源の多くは原発です。
同国が、福島原発の事故以来止めていた原発の新設を再開すると発表しました。
隣国のドイツは、その原発による電気を大量に購入しています。
 
しかし、欧州各国はCOP26では原発問題に対して、まったく無視の姿勢です。
口を極めて各国の姿勢を攻撃している、例のスエーデンの少女も完全に無視です。
原発への依存度が40%に達し、原発の新設支持が広がる同国の事情が背景にあることは確かです。
 
平地が多く、風に恵まれた欧州でも、再生可能エネルギーの利用は限定的だとする意見が増えてきています。
立地条件がはるかに厳しい日本では、面積や立地の厳しさから主要エネルギー源にすることは絶望的です。
さらに、太陽光パネルなどが新たな公害になるという現象が各地で出てきています。
 
ガソリン車を禁止してすべての車を電気にという欧州の主張も、日本を狙い撃ちにした外交戦略の一環と捉える必要があります。
第一、膨大に必要となる電気をどうやって作るのかという問題があります。
一方で、化石燃料の発電を止めろという矛盾です。
 
それなら、解決策は原発しかないだろうとなるのですが、さすがにどの国も口をつぐんでしまいます。
国民の反対が皆無(?)の中国だけが高笑いしながら原発の増設を加速させています。
安全性に最も懸念の大きい中国が、原発によるエネルギー大国となり、日本が電力を買うはめになったらどうするというのでしょうか。
 
世界で一番安全な原発を造れる国は、まちがいなく日本です。
その力で、世界に貢献することが日本の採るべき道だと信じています。
ここで脱原発に舵を切ったら、技術は失われ、先人たちの苦労も犠牲も、すべて無駄となってしまいます。
福島第一原発の事故に至った深い要因も隠されたままとなって消えてしまうでしょう。
そうさせてはならないと思うからこそ、私は被曝の経験を乗り越えて前へ進むべきと主張するのです。
批判だけという安易な道は歩まないということで、本シリーズは終ります。
 
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<編集後記>
タリバンに制圧されて以来、ニュースにも載らなくなっているアフガニスタンですが、ロシアと中国が神経をとがらせています。
少し前まで、「米国に代わりロシアと中国の影響力が増している」とする報道が多かったように思いますが、どうやら風向きが変わってきたようです。
それは、米国に代わって中国とロシアがイスラム過激派の標的となるのでは、ということです。
それを見越しての米国の撤退だったとしたら「バイデンすごい!」となるのでしょうが、そこまで考えた上での撤退とは思えません。
 
この先の中東情勢には要注意ですが、いかんせん、確かな情報が少なすぎます。
情報が少ないなりに分析するには、イスラム教のことをもっと知るべきだと思います。
この先の本メルマガで、この問題のことを取り上げていきたいと考えています。
 
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