2019年3月15日号(国際、政治)

2019.03.18

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2019年3月15日号
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発行日:2019年3月15日(金)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2019年3月15日号の目次
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◇日本は腹をくくる時が来た
★沖縄の基地問題
★日韓関係は、もはや割れた茶碗
◇純粋な軍事の話(5)
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
「物別れ」に終わった米朝会談。
朝日新聞と産経新聞という、普段、左右に主張が異なる両紙の社説に注目しました。
朝日は「今度こそは、という国際社会の期待に大きく背いた再会だったと言わざるを得ない」と、感傷的な文面。
対する産経は「浮き彫りになったのは、微笑みを前面に『非核化する』と言いながら、実際には核・弾道ミサイルの保有にこだわり続ける北朝鮮の頑なな姿勢」と、淡々とした分析。
マスコミの役割を考えて、感傷より分析のほうに軍配を上げます。
 
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┃◇日本は腹をくくる時が来た                   ┃
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トランプ大統領が、剥き出しの「アメリカ・ファースト」を前面に出してきました。
同盟国に駐留する米軍の駐留経費を「全額負担せよ」だけでは足らず「+5%」を追加で払えと言い出しました。
つまり「用心棒代を払え」という脅しです。
 
日本を含む同盟国からしたら、駐留している米軍は、同盟国を守るだけでなく、米国の世界戦略の一環で展開しているのだと言いたい。
しかし、トランプ大統領は「世界の警察官の役割は止める」と明言しました。
冷静に考えると、米国がその義務を負っているわけではなく、米国の利益にかなっているか否かで判断することを「悪い」とは言えないわけです。
トランプ発言の真意を詮索することは当然ですが、もっと大事なことを考えねばなりません。
それは、米国頼みの防衛政策を考え直す時が来たということです。
 
これまで日本は、北朝鮮と中国への備えとして、日米、米韓の2つの軍事同盟を一体として機能させることを防衛の主眼としてきました。
しかし、韓国が大きく北朝鮮寄りに傾き、日本を目の敵にしてきた今、この軍事機能は崩壊したと見るべきです。
さらに、トランプ発言が示唆するように日米同盟も変化を迫られています。
こうなったら、腹をくくり、防衛機能の再構築を図るべきです。
 
防衛の基本に立ち返れば、「自国防衛は自国の手で行う」ことが主で、軍事同盟はその補完手段です。
しかし、在日米軍が絶対的な戦力を有し、また治外法権的な権限を持っている現実は、主客逆転した防衛と言わざるを得ません。
さらに言えば、戦後74年経っても、この関係に大きな変化がないことは異常です。
どうしてでしょうか。
それは、日本国民が、以下の2つの意識に縛られているからです。
 
第一は、戦前の日本は悪の国で、敗戦により投獄され、その刑期はまだ終わっていない罪人なのだという罪の意識です。
憲法9条という鎖に縛られた「罪人国」なのだという意識は、野党の多くや平和団体の主張の根幹でもあります。
韓国が好んで使う「戦犯国」や「戦犯旗」、「戦犯企業」も同じ文脈で使われています。
こうした内外の意識の打開のためにも、国会で憲法改正論議を行う意味は大きいのです。
日本国民は「罪人ではない」ことを日本人に、そして世界に分かってもらうためにです。
 
第二は、隣接する中露の核から米国の「核の傘」が守ってくれているという意識です。
最近は、これに北朝鮮という理解不能な国が加わり、一層、その意識が強化されています。
しかし、冷静に考えれば、核兵器保有国が、自国が攻撃を受けていない状況で、しかも非保有国に対し核兵器を使用できるでしょうか。
むしろ「核の傘」があるほうが、核保有国に核攻撃の口実を与えることになるのでは。
ただし、そのためには、国民が「来るなら来い」との気概を持ち、核兵器がなくても防衛戦を戦う意思を見せ、装備を整える必要があります。
「戦争ができない国」では、国を守れないのは当然です。
 
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┃★沖縄の基地問題                        ┃
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沖縄の基地問題も、国防を「自国の手で守る」方針にしない限り解決の道は遠いと言わざるを得ない。
結論ありきの県民投票などは、時間とカネの無駄使いに過ぎない。
県民に問うのであれば「沖縄の独立」であろう。
独立までいかなくても「施政権を持つ自治区」への賛否ではないか。
玉城知事は「基地問題は沖縄だけの問題ではなく日本国の問題だ」というが、ならば、日本国民全体が関心を持つ上記のテーマを掲げるべきではないか。
辺野古だけに矮小化した投票では、沖縄以外の国民は無関心となるのが当然である。
 
ところで、米軍基地の普天間から辺野古への移設だが、注目すべき点がある。
普天間の滑走路は2740m×1本だが、辺野古の計画は1200m×2本である。
つまり、この移転の裏には、米軍の戦略変更があるのではないか。
その変更は憶測するしかないが、以下のように考えた。
 
長い滑走路が必要な戦闘機主体の戦闘より、オスプレイや攻撃ヘリ主体の戦闘への転換である。
そうした戦闘を支援する戦闘機にしても、短距離用のF-35Bを有する現在、長い滑走路は要らない。
短い滑走路を2本持つ辺野古の利点は大きい。
さらに、市街地に囲まれている普天間は使いづらく事故の被害も一般に及ぶ。
海に面した辺野古は、そうした危険が大幅に減る。
 
150年前、日本に初めて来航したペリー提督は、沖縄を本拠地として江戸までを往復していた。
彼が本国に宛てた書簡には「沖縄を米国領とすべし」という提言が書かれていたという。
つまり、この頃から米国は、アジア制覇の要として、沖縄が欲しかったのである。
日本における米軍基地の7割が沖縄に集中する現状は異常だが、米国のアジア戦略が150年前から変わっていないとすれば、「なるほど」となる。
米中の覇権争いが激化する現在の国際情勢下で、米国に沖縄の基地縮小を交渉するには、日本の防衛戦略を根本から変えていくしかないのである。
 
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┃★日韓関係は、もはや割れた茶碗                 ┃
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日韓関係が最悪状態になっているが、韓国の文在寅大統領は、事ある毎に「日韓併合は違法であり、日本に全責任がある」と主張している。
問題になっている大法院(韓国の最高裁判所)の徴用工判決にしても「日韓併合が違法だ」として、1965年の日韓条約をスルーした。
では、違法というのであれば、日韓併合はどんな法律に違反しているというのであろうか。
法律名を明らかにしない判決は、およそ近代国家の裁判とはいえない。
 
日本が朝鮮半島を併合した1910年当時、植民地を持つことを違法とする国際法はなかった。
いや、どの国の国内法にも無かった。
ゆえに、世界中に広大な植民地を有していた英国やフランスなどの欧米列強の植民地政策は違法ではないし、インドなどの、かつて植民地だった国々も「違法だ、謝罪せよ」などとは言わない。
 
植民地を違法としたのは、1960年12月14日に国連総会で決議された「総会決議1514第15項:植民地独立付与宣言」である。
この時の議決は、賛成89、反対0、棄権9カ国であった。
棄権は、米、英、仏、ベルギー、ポルトガル、スペイン、南アフリカという植民地を有していた国々と、オーストラリア、ドミニカであった。
その2年後の1962年に、「脱植民地化24カ国特別委員会」が国連に設置され、宣言の実施状況の調査、勧告を行う権限が付与された。
韓国が日韓併合を違法というのであれば、この委員会に訴え出ることが筋であろう。
もちろん、国連が1910年の併合を違法と断定するわけはないから、韓国は提訴しない。
また、欧米のかつての植民地政策を違法とも言わない。
こうした二枚舌は、韓国の常套手段である。
日本は、広く国際社会にその矛盾を広報すべきである。
 
文在寅大統領は、3月1日の演説で「韓国と日本が力を合わせて被害者の苦痛を癒せば、心が通じ合う本当の友達になるだろう」と述べたが、もはや信用できない相手を友達とは呼べない。
韓国の保守系や中立系マスコミは日韓関係を憂う社説を掲げるが、「そもそもの原因は日本にある」という前提を下ろすことが出来ない。
本文に書いた法治の大原則すら、今の韓国には通用しないのである。
これまで、どこか韓国に好意的であった日本国民の層があったが、文政権はその芽も潰してしまった。
 
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┃◇純粋な軍事の話(5)                     ┃
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「このコーナーは物騒な話ばかり書いている」と敬遠される方もいらっしゃると思います。
ですが、軍事抜きに歴史は語れませんし、現代は、物騒な国が物騒な兵器を有する時代です。
避けては通れない話として書いています。
 
では、戦争において最も重要なものは何でしょうか。
それは「情報」です。
「そんなこと、当たり前だろ」と怒られるかもしれませんが、もう少し話を聞いてください。
情報の大切さのような当たり前のことを「当たり前だ」と言って終わらせてしまうことが多いと思います。
でも、それだと何も進歩がありません。
だから、もう少し聞いてください。
 
情報そのものも大切ですが、情報伝達の早さと正確さが伴っていないと、むしろ、その情報が危険となります。
かつ、早さと正確さは「二律背反」として、同時に達成不可能な要素です。
ゆえに、軍事情報における最優先課題もその矛盾の解決にあります。
 
桶狭間で今川義元を破った織田信長は、義元の首をとった者より本陣の場所を探り当てた者により多くの褒美を取らせたとあります。
情報の価値を知り抜いていたからです。
だが、この時代はリーダーの判断が絶対であり、情報の価値判断ができるリーダーをいただけば、勝てないまでも負けは回避できた。
 
しかし近代は、戦国時代よりはるかに複雑になっていて、その分、情報の価値の見極めが重要になっています。
対立の度合いを深めている米国と中国ですが、両国の軍事情報を的確に掴むことは難しいです。
特に、民主主義の米国に比べて、一党独裁の中国の軍事情報は、嘘やガセネタばかりで、よく分かりません。
「米国と肩を並べるのも時間の問題」とか「もはや上回っている分野もある」とかの脅威論があるかと思えば、「張り子の虎」とか「質が相当に低い」とかの楽観論もあります。
客観的な事実情報を客観的手法で読み解いていくしかありません。
 
近年、南シナ海では、ベトナムやフィリピンの漁船を体当たりで沈めるなどの暴挙が目立つ中国ですが、米艦の威嚇通過には手出しひとつしません。
また、連日、領海侵犯を繰り返す尖閣諸島では、自衛隊との衝突は巧妙に避けています。
私は、中国の軍事能力は過大に見積もられていると思っています。
 
かつての冷戦時代、仕事で旧ソ連との最前線の情報に接する機会がありましたが、巷の話とは大きく異なっていました。
当時も今も、米軍の軍事能力は、兵器、兵員、統率、情報のどの分野でも突出しています。
そして日本は、2つの点を除いて一流の能力を備えています。
その弱点は「統率の弱さ」と「兵員数の不足」です。
憲法9条の縛りがきつく、有効な統率の仕組みや戦略が組めないことが最大の弱点になっています。
世界史上、「防衛しか出来ない」、いやその防衛すら「法違反」だと言われる国は、現代の日本以外見当たりません。
仕方なく、米軍の統率下での軍隊となっているのです。
この自衛隊を「軍隊」と呼ぶことすら非難されてしまう国です。
この話、次回に続けます。
 
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<編集後記>
ようやく、米朝会談の「物別れ」の衝撃が薄れてきて、冷静な論調が出てくるようになってきました。
金正恩に「核を手放す」意思など毛頭にない事がはっきり分かっただけでも、成果です。
トランプ大統領は大きな成果を欲しがったが、それをボルトン補佐官達の側近が止めたということでしょう。
この問題は、時間がかかっても、経済封鎖で金正恩政権を瓦解させる以外に手はありません。
北朝鮮では、「政府は頼りにならん」として、アングラ経済が伸びてきています。
こうしたアングラ経済が、政権が統制できないまま大きくなっていき、やがて軍にまで及べば、クーデターもあり得るでしょう。その日を待ちます。
 
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