2020年8月15日号(国際、政治)

2020.08.18


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2020年8月15日号
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発行日:2020年8月15日(土)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2020年8月15日号の目次
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★日本人の意識に刷り込まれた平和という欺瞞
◇中国の思考法を学び、対処する(2)
★韓国は狂ってしまったのか?(3)
◇抑止力という名の軍事力(4)
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
75回目の終戦の日です。
戦争を直に知る方も少なくなってきました。
又聞きの戦争体験では語り継ぐには限度があります。
この日も、やがて歴史の中に埋もれていくのでしょうか。
人類の歴史=戦争の歴史と言えます。
地球上の戦争は、人類が宇宙を駆け巡る日が来るまで続くでしょう。
そして、その先は、きっと宇宙でも・・
 
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┃★日本人の意識に刷り込まれた平和という欺瞞            ┃
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早稲田大学の有馬哲夫教授が、広島に原爆が投下された8月6日を「平和の日」と呼ぶ日本は、GHQ(General Headquarters, the Supreme Commander for the Allied Powers=連合国軍最高司令官総司令部)が日本人に対して行った心理戦プログラムWGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)の成果だ、と述べています。
以下に、有馬教授の見解を概説します。
 
たしかに、50年後に公開されたWGIP文書には「一部の日本人およびアメリカ人が、原爆の使用は『残虐行為』であると考える傾向をなくすこと」および「日本人が極東国際軍事法廷の判決を受け入れる心の準備をさせること」と書いてあります。
そして、この政策の一環として「広島や長崎の施設などに『平和』という言葉を散りばめた」とあります。
広島には『平和記念資料館』や『平和の鐘』、長崎には『平和祈念像』や『平和公園』というように、「平和」という言葉の氾濫で「原爆」という言葉がかすんでいます。
「原爆」という言葉によって、米国への憤激や恨みの気持ちがかきたてられるのをおそれて、言葉の言い換えを日本に強いたのです。
 
それだけではありません。
「戦争責任は日本の軍人にある」ということを日本人に浸透させるため、日本人を骨抜きにする「3R・5D・3S政策」なる心理作戦を大々的に日本に仕掛けました。
例えば3Sとは、Screen(スクリーン=映画鑑賞)、Sport(スポーツ=プロスポーツ観戦)、Sex(セックス=性産業)を指し、日本国民の意識を政治に向けさせない、典型的な愚民政策です。
 
この目的に向け、新聞、雑誌、書籍、ラジオ、映画などのあらゆる媒体を利用したこともWGIP文書には記録されています。
この愚民政策に、日本の新聞や放送局などのマスコミは全面的に協力しました。
その効果は絶大でした。
「原爆投下は、悪い日本の軍人が行った戦争への当然の報いであり、戦争を終わらせるためには仕方がなかった」という意識を日本人に植え付けることに半ば成功しました。
ゆえに、原爆投下日が「平和へのスタート日」ということになってしまったわけです。
そして、そうした主張を、日本のマスコミを使い、日本人が自発的に書いたものであるかのように喧伝させました。
 
近年でも、アメリカ政府の公式見解は「原爆投下は正当だった」です。
しかし、アメリカメディアでは、『原爆投下が終戦を早めたというのは本当なのか?』という懐疑的な視点での番組も制作され、それを評価する向きも出てきています。
だが、日本では、原爆投下のみならず、戦争のことすべてにおいて、反射的に「日本が悪かった」と考える「自虐バイアス」にかかっている人が多く、そのような姿勢こそが良心的な思考なのだと信じ込んでいます。
WGIPによって植え付けられた、洗脳とも言えるプロパガンダの残滓は深いものがあります。
 
以上、上記は有馬哲夫教授の発表を簡略化して説明したもので、私の意見ではありません。
しかし、他からの情報と突き合わせていくと、真実に近いといえます。
憲法改正に対する賛否が国民の間で大きく分かれている現状を見ても、WGIPの効果がいまだに効いていることが分かります。
他国の思惑を排して、自分の意思で自由に自国のことを議論できる、そんな国になって欲しいと思うのみです。
 
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┃◇中国の思考法を学び、対処する(2)               ┃
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新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐという理由で、人びとの自由や権利を制限することを正当化する考え方があります。
こうした考え方を「功利主義」と言います。
一方、目的は正しくても、そのために人権を無視してはいけないという、手段の正当性を重視する考え方があります。これを「義務主義」と言います。
 
コロナウィルスの発生源でありながら、いち早くウィルス禍を抑え込んだように見える中国を、一般には「一党独裁の国家だからできるんだろう」と考えがちです。
たしかに、一党独裁の政治体制がそれを可能にしているといえますが、それ以上に、中国社会全体に「功利主義」的な思考が強く、「義務主義」的な思考が弱いことが大きな要因といえます。
この功利主義的思考が社会に深く浸透しているため、多くの中国人は、そうした意識もなく、自らの幸福や安全・安心を求め、国家による「監視」を全面的に受け入れているのです。
良くも悪くも、これが中国という国です。
 
コロナウィルスの感染拡大を受けて、テレワークやオンライン会議等のデジタル技術の活用が世界的に広まっています。
ただ、日本ではこうしたテクノロジー活用に遅れが目立ち、「ハンコ文化が残るせいだ」とか「政府の対応が遅い」といった批判的な報道が目立ちます。
しかし、遅れの原因はそれだけではないでしょう。
日本でデジタル化が一定以上に広がらない背景の一つには、中国のようにデジタル技術を使って国家が国民を監視・管理する「功利主義」的な社会になるのは嫌だ、という拒否感が日本社会の底流にあるからといえます。
 
しかし、疑問も湧きます。
そうした考え方は、戦前まではごく少数だったはずです。
日本は、国家による統制を受け入れ、一度も国民が革命を起こすことがなかった歴史を持つ国です。
根底では、日本人も中国人と同じような「功利主義」思想が流れている可能性があるといえます。
そうした思想の復活が抑えられている現状は、前章で解説した米国GHQによるWGIP(ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム)がいかに徹底していたかを物語っています。
惨めな敗戦とWGIPによる教育の相乗効果で、日本は、他の民主主義国家と比べても国家の一元的な情報管理や監視テクノロジーに対して、国民レベルの拒否感が強い国家になっているのです。
 
しかし、ITテクノロジーの発達により、全世界的に監視社会が進展していることは事実で、中国がその先頭を走っていることも事実です。
つまり、このままでは、中国の一人勝ちになってしまう恐れが大きくなっているのです。
それに対抗するため、日本を含めた民主主義国家でも、こうしたITテクノロジーの普及が避けられない事態になっています。
国家が国民の基本的人権を守るという「義務主義」的思想が、その逆の「功利主義」的思想を上回る日は、中国には来ないかもしれません。
少なくとも、それを期待することは、日本を含めた民主主義国家にとっては危険すぎます。
次号では、ITによる監視社会の進展の中で、日本がどうすべきかを論じます。
 
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┃★韓国は狂ってしまったのか?(3)                ┃
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自殺した朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長のセクハラ疑惑をもみ消そうと、韓国政府・与党は必死になっています。
それでも、後から後から同種の疑惑が湧いてきて、政権・与党は火消しに大わらわです。
しかし、こうした事態に陥るのは意外でも何でもありません。
極左的な政権が当然のごとく陥る“いつもの”光景です。
極左と言いましたが、極右でも同じです。
極端な思想集団は、必ず、暴力とセックスに染まっていきます。
戦前のナチスや日本の特高警察、戦後のソ連や文化大革命時の中国、アフリカや中東などの独裁国家、日本の連合赤軍、オウム真理教・・、例を上げれば切りがありません。
 
もう50年近く前になりますが、8人の女性を強姦殺人した大久保清という連続殺人鬼がいました。
彼は、死刑になる前、こんな発言をしていました。
「最初のうちは女性を襲うことに快感を覚えたが、そのうち、殺すほうに、より快感を覚えた」。
そう、暴力とセックスは同根の意識による行為です。
大脳生理学では、暴力もセックスも、人間の原始的な脳の中から生ずる生存本能による衝動と言われています。
 
韓国の政府・与党の今の姿は、「狂ってる」というより、こうした原始的本能に動かされているといったほうが合っているように思います。
それは、幹部の多くが学生運動や労働運動家あがりという出自を考えれば明らかです。
一方的で極端な思想の中に身を置き、それ以外の思想があることを決して認めない半生を送ってきたことで、こうした原始的本能だけの人間になってしまうのです。
 
さすがに、韓国民もこうした政府・与党を「異常」と思い始めたのか、支持率が急落しています。
焦った文政権は、ケチが付いた慰安婦に代わって、徴用工の反日看板を前面に出してきていますが、ウソで固めた、この看板は、慰安婦ほどには効果がないようです。
 
それでも、日本への恨みしか教えない反日教育が続く限り、この隣国との和解の日は来ないでしょう。
残念ですが、日本人は、その現実を受け入れるしかないのです。
 
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┃◇抑止力という名の軍事力(4)                  ┃
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今回のコロナウィルス禍は、今の世界の状況を見事なまでに明るみに出したといえます。
トランプ大統領の言動によって、世界は米国の能力に疑問を持ち、米国への信頼性に陰りを生んでいます。
一方で、ウィルスの感染源である中国が、自分本位で無責任な行動を取る国であることが、だれの目にも明らかになりました。
両大国の身勝手さ、お粗末さに世界は呆れたわけですが、自由主義諸国にとっては、米国は同じ思想の国家です。
しかし中国は、イデオロギー的に相容れない権威主義国家です。
14億人の市場に目がくらんできた欧米や日本ですが、ようやく中国の野望の危うさに気付いてきました。
とても、中国を世界の指導的地位に就けるわけにはいかないという点で、西側諸国は一致団結してきています。
また、一帯一路で借金漬けにしたアジア・アフリカ諸国も、中国の意図に気づき始め、反旗を翻し出しています。
今の中国が、国連のあらゆる機関を利用して自国の権益を守り、人権よりも国家の主権が重視されるよう外交面で全面攻撃を仕掛けていることは、多くの人が知るところとなっています。
 
中国は、孫子の兵法を駆使していると分析される「シャープパワー」戦略で、外国に対する世論操作や工作活動などで自国に有利な状態をつくり出すことに一定の成功を収めてきました。
各国にアメリカを上回る数の外交官を送り込み、さらに金融や気候変動対策などのルール作りを担う国際機関で議論を主導するため執拗な働きかけを行い、こうした機関の幹部の一角を占め、あるいは他国の幹部をカネ漬けにしてきました。
コロナ禍におけるWHOのテドロス事務局長などは、その典型的な例です。
 
中国は、コロナ禍で世界が混乱している今がチャンスと見て、露骨な野望をむき出しにしてきましたが、少々焦り過ぎといえます。
中国の露骨な攻勢によって作り出された一連の緊張状態は、地政学的な利害衝突よりも、民主主義vs権威主義の全面的対立ではないかという本質問題に欧米が気付き、危機意識を共有してきました。
英国がアジア海域に空母艦隊を派遣するという動きに対し、中国が激しい反発を見せたのは、中国にとって予想外だったことが伺えます。
 
中国の次の照準が台湾と尖閣であることは、誰の目にも明らかです。
しかし、日本政府は、河野防衛大臣一人に強硬論を言わせ、安倍首相は沈黙を守っています。
この沈黙が中国に対する忖度なのか防衛戦略なのか、今のところは手の内を明かさないようです。
 
南シナ海で、フィリピンやベトナムが実効支配していた島々を中国に取られたのは、両国の軍事能力、特に海軍力の弱さが主因ですが、トランプ政権が自国主義に縮こまったスキを突いたものであることは、誰もが知るところです。
日本は、中国の侵略に対抗できる自らの抑止力の整備と併せ、後方支援力としての米軍との一体抑止力の存在を世界に示す必要があります。
 
しかし、単純な軍事国家を目指すのではなく、以下のアピールが大切です。
「日本は、他国に侵される隙を作らず、侵そうとする相手には多大な犠牲・損害を生ぜしめる合理的防衛力を保持する中庸の国家(Middle Power Country)を目指す」というアピールです。
かつ、「各種紛争に対し、仲介・調停に長けた外交力を持つ国家として国際社会に寄与できる実力を備えた国家になる」ことを宣言するのです。
 
このアピールは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」を前提とする現行憲法と矛盾します。
単なる改憲への賛否ではなく、上記のアピールを考えた議論を望みます。
 
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<編集後記>
米国の大統領選挙が迫る中、トランプ大統領の再選が怪しくなってきました。
共和党の中からも、公然と反トランプの声が上がってきています。
岩盤支持層頼みのトランプ大統領の発言は、過激さを増していくでしょう。
最後の手ともいえる、中国との限定戦争や北朝鮮攻撃もシナリオに入ってきている可能性があります。
 
一方、支持率調査で優位に立っている民主党のバイデン候補ですが、副大統領候補のほうが話題になるなど、影の薄さが際立ち、強さを求める米国民の支持を固めきれていません。
つまり、トランプ大統領が巻き返せる余地もあるというわけで、五分五分と分析しています。
カギは、コロナウィルスの抑え込みと対中国戦略です。
 
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