2021年8月15日号(国際、政治)

2021.08.17


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2021年8月15日号
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発行日:2021年8月16日(月)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2021年8月15日号の目次
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★コロナウィルスが気付かせた政治の不毛さ
◇抑止力という名の軍事力(16)
◇近代史を闇の中から引き出すことで、中国の戦略が見えてくる(5)
◇原発の再稼働(その2)
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
東京五輪での韓国の反日の酷さに眉をひそめた方も多いと思います。
日本への誹謗中傷どころか、自国選手にまで容赦ない悪口雑言を浴びせかける有様を見ていると、この国は大丈夫なのかと思えてきます。
 
かつて、韓国と仕事をしていた時期は、ここまでひどくはなかったです。
それが、経済力が増すに従い、国家も国民も自信過剰になり、節操を失っているようです。
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」のことわざは、韓国には無いのでしょうか。
世界がその異様さに気付き、距離を置き始める日が来そうです。
少なくとも、私は、もう関わりたくはありません。
 
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┃★コロナウィルスが気付かせた政治の不毛さ             ┃
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コロナ禍が起こる前から、多くの国民は感じていたはずです。
「なにが?」というと、日本がガバナンスと危機管理能力のない国になってしまっていたことにです。
それは、与党支持者であっても、さすがに否定できないはずです。
それでも、国民の多くは、国としての地盤沈下を見て見ぬ振りを続けてきました。
そのことを声に出すことを躊躇させてきた空気が、この国を覆っていたからです。
それが、コロナ禍というわかりやすい局面で誰の目にも明らかになってきたのです。
 
しかし、国民が気付いたことは表面的なことだけです。
その根本の要因が「変わらない、動かない」ことを最良としてきた国民自身の意識にあることまで自覚が進んでいるとは言い難いのです。
 
「変わらない、動かないことこそが『正常』な社会なんだ」という空気の支配はまだまだ圧倒的です。
74年間、一字一句も変わらない憲法を持つことが「正常な国家」であり、少しでも変えようとする者を悪魔のように忌み嫌う。
「リベラル」とは変革を意味する言葉なのに、左派リベラルの思想に染まった人たちが頑なな守旧至上主義で、強大な影響力を持ってしまっています。
そうした人たちの機関紙の役割をしている朝日新聞の二重規範ぶりは、酷さを増しています。
同紙は昨年春の緊急事態宣言の時、社説で「これは私権の制限であり、そういうことをやるのはよくない」と主張していました。
たしかに、この時点でのこの主張は間違いではありません。
ところが、緊急事態宣言を解除しようという時、「感染者数が減っていないのに緊急事態宣言を解除するのは問題だ」と書いたのです。
さらに、「こうした事態を招いたのは菅首相の重い政治責任だ」とまで書いています。
「緊急事態宣言は私権制限で、基本的人権に抵触する」と書いたことは、どこかに飛んでしまいました。
ようするに、なにが何でも政権の悪口を唱え続けるという姿勢には呆れるしかありません。
 
立憲民主党や共産党は、臨時国会の召集を要求して、政府が応じないことを批判していますが、国民から支持の声は上がりません。
それはそうです。
野党の白々しい思惑など、見透かされているのです。
臨時国会で有効なコロナ対策を超党派で協議しようという考えではなく、菅内閣を攻撃する批判一辺倒になることが分かりきっているからです。
その対応で政府が足を取られ、コロナ対策がさらに遅れることは明らかですが、野党はそんなことはどうでも良いのです。
いや、それによって政府の対策が遅れることを心の奥底では望んでいるのです。
国民のことなどまったく眼中には無いのです。
 
もちろん、政府・与党の責任は重いです。
ゆえに、来たるべき選挙のことなどは横に置いて、今は必死に対策を練り、即実行を繰り返していくのみです。
無用な国会などで時間や経費を空費すべきではないのです。
 
そして、国民は気づくべきです。
変わらないことが正常な国家ではなく、時代に合せて果敢に変えていくことが正常な国家であることをです。
変わることのない反日思想に毒されている韓国を他山の石として、変えていく実行力を持つ政治を望むべきです。
 
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┃◇抑止力という名の軍事力(16)                 ┃
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中国から「日本が台湾有事に軍事介入するなら中国は即座に日本を核攻撃する」という動画が配信されました。
たとえ動画といえども、中国では検問なしの配信はできませんから、政府主導と見るべきです。
国際社会では、核保有国は非核保有国に対する核攻撃は行わないことが暗黙の了解となっていました。
中国が、公然とこの了解を覆してきたのですから、米国でも大きな波紋を広げています。
 
この動画では、「中国は、日本が台湾有事に一兵卒でも一軍用機でも送って参戦した場合、ただちに日本に核攻撃を行う。この戦いは全面戦争であり、日本が完全に降伏するまで核攻撃を続ける」と日本への威嚇で溢れています。
こうした中国の姿勢を支持する国家は北朝鮮ぐらいであり、ロシアは無反応、反日に染まる韓国もさすがに沈黙です。
中国の核兵器は、日本だけでなく韓国にも照準を合せていることを、否が応でも思い知らされたはずです。
 
習近平政権の無軌道ぶりが、これほどはっきり示されたことは驚きですが、冷静に中国の意図を分析することが大事です。
いまや中国の外交は行き詰まりを見せ、何もかもうまくいかなくなっているのです。
数字的には好調さを見せている経済も、バブル崩壊の兆しが現れ始めています。
そうした中での今回の動画騒動ですが、実際に核攻撃に踏み切る可能性は「ゼロではないが・・」というレベルです。
逆に、台湾侵攻や尖閣侵攻が難しくなっている状況にあることを物語っているといえます。
(東沙島などの台湾の離島への侵攻はあるかもしれませんが・・)
 
その裏返しとして、日本への核攻撃という恫喝戦術に出たということです。
しかし、日米両国を同時に相手とする戦争はもちろん、日本単独に対しても勝つ戦略が描けないというジレンマ状態にあることを、むしろ露呈したといえ、外交的にはマイナス要素にしかなりません。
 
核兵器は、自国に対する核攻撃への報復という意味しか持たない兵器です。
例外は、イスラエルであり、北朝鮮です。
イスラエルは周囲全てが敵であり、数の上の圧倒的劣勢を補う上での核武装です(公式には一切保有を認めていませんが・・)。
北朝鮮は、あの貧弱な通常兵器では戦争になりません。
軍事弱国なのに平和路線を選択できない国の末路といえます。
 
こうした国家とは違う非核国は「持たない」ことが一番の防衛策です。
日本の一部に核武装論を唱える人たちがいますが、「持ちたがり病」としか言えません。
 
しかし、中国による核攻撃の可能性がゼロとはいえない国際政治の現実は無視できません。
人民解放軍の中には「日本への軍事攻撃を」という声があることも事実です。
国際社会には、「日本は、核兵器を持とうと思えばいつでも持てる国」という認識があります。
核保有国に囲まれている日本は、こうした認識を勝手に持たせておくことも抑止力です。
それゆえ、核兵器廃絶条約に加盟しないという政治的選択は現時点では正しいと思います。
中国による恫喝が続く限り、外交的防衛策をたくさん持つ必要があるからです。
残念なことですが、日本を取り巻く情勢は平和ではないのです。
 
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┃◇近代史を闇の中から引き出すことで、中国の戦略が見えてくる(5) ┃
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日本は、かつて中国を侵略したとして、中国に対する贖罪が国民意識になっていました。
そうした背景から、訪中した政府要人は、判で押したように戦時中の中国侵略を「申し訳ない」と謝ってきました。
若い方たちには、そうした記憶があまり無いと思いますが、私のような年代が上の人間には、そうした記憶はとても強いのです。
しかし、それらの要人を迎えた生前の毛沢東の言葉は、あまり伝えられていません。
毛沢東は、陳謝する日本の要人に向かって、いつも次のように答えたと言われています。
「申し訳ないことはないですよ。日本軍国主義は今の中国に大きな利益をもたらしたのです。皇軍(という言葉を使ったと言われています)がいなければ、われわれは政権を奪えなかった」
 
前回まで説明したことで、読者のみなさまは、この言葉の背景をお分かりかと思います。
“長征”という言葉とは裏腹に、中国共産党が国民党軍に追われた逃避行は過酷で、敗走相次ぐ共産党軍の兵力は延安まで落ち延びた時には2万5千人にまで激減していました。
しかし、昭和12年に日本軍が国民党軍と全面戦争に突入したことで、蒋介石は共産党軍の殲滅を諦め、国共合作に踏み切らざるを得なくなりました。
それで息を吹き返した共産党軍は、毛沢東の卓越した指導力で力を蓄え、昭和20年の終戦時にはその兵力は120万人にもなっていました。
しかも、終戦を迎えた日本軍は、かなりの重火器を共産党軍に引き渡しました。
兵力差だけではなく、こうした近代兵器の多寡も戦後の国共内戦に打ち勝つ要素だったと言われています。
毛沢東の言葉は、単なる社交辞令ではなかったということです。
そして、戦後の中国経済は、日本の外交政策で近代化を成し遂げていきました。
 
ところが国際政治の現実は皮肉なものです。
日中戦争の主要な相手であった国民党が逃れた台湾との仲が良好な反面、間接的に支援した格好になった共産党が支配する中国とは緊張状態にあります。
もともと民主主義と共産主義は水と油の関係ですから、両国が敵対関係になるのは必然といえます。
 
しかし、国民すべての考えが国家と同じであるはずはありません。
共産党の一党支配がますます強固になっている中国では、国民は本音を語ることができません。
米国に憧れる人、日本と仲良くしたい人、他国と戦争などゴメンだという人もたくさんいます。
東京五輪では、中国からの日本選手への誹謗中傷と同時に、心のこもったコメントもありました。
日本人も、中国選手の立派な言動に胸を打たれたこともありました。
 
どんな政府であれ、国民一人ひとりの心の奥底までも支配することはできないはずです。
しかし、習近平政権は、本当にそれをやろうとしています。
中国国民はもちろん、全世界の人間が自分にかしずく夢が習近平主席の唱える「中国の夢」なのでしょうか。
毛沢東ですら、そこまでの考えはなかったでしょう。
日本は「核攻撃するぞ」という恫喝に負けるわけにはいかないのです。
本シリーズは、この言葉で終わります。
 
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┃◇原発の再稼働(その2)                     ┃
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1回飛ばしになりましたが、6月15日号の続きです。
その号では「私が原発内で経験した少々“やばい”話をしたいと思います」と書きました。
正直言って、この手の話は書くことがためらわれます。
私が原発廃絶には賛成できないことは、本メルマガで何度も述べてきました。
しかし、過去の、そして今の原子力行政に賛成できないというジレンマもあります。
 
先日、政府は脱炭素を踏まえた2030年までのエネルギー比率を発表しました。
お粗末な内容で、「こんな政府で大丈夫か」と真剣に危惧しています。
この計画によると、原発比率は20~22%(現状維持)となっていますが、現状維持とは、現在停止中の原発をすべて再稼働するということです。
とても現実的とは思えません。
私からみても再稼働は無理と思える原発も相当数ありますし、安全確保や地元対策、世論の動向を考えれば、半分も動かせないでしょう。
こんな計画を発表する政府および官僚の劣化が本当に心配になります。
 
こうした空気の中で、過去の“やばい”話をすることに大きな葛藤があること、それはご理解できるでしょうか。
福島原発事故の際、弊社のHPに原発や核についての連載記事を掲載しました。
当時は反響も大きくHPの閲覧数が一気に3桁も増えたことにびっくりしたものです。
多くの質問もいただき、できる限り返答もしました。
今でもHPの「アーカイブス」で閲覧ができますので、ご興味のある方は覗いてみてください。
 
前段ばかり長くなってすみません。
私は、あの福島第一原発で「放射性廃棄物の動向調査」の特別チームに入り、半年ぐらい原発内での仕事に従事しました。
予備知識はあっても、そこで体験し、また見聞きしたことは驚くことばかりでした。
何より自らがかなりの被曝をしたことで、身を持って放射線の実態が理解できました。
まず、かなりの被曝をしても「放射線を浴びた」という実感がまったくゼロということを述べておきます。
1日の許容量をかなり超える被曝をしても、自覚症状は皆無です。
それがかえって恐ろしいともいえます。
体内の臓器や血液は確実にダメージを受けているからです。
あとは、被曝した本人の回復力にかかっているのです。
その力が弱ければ、あるいは、当人の回復力以上の被曝を受ければ、やがて症状が出てくるのです。
 
私が働いていた時代にも様々なことが起きました。
作業員が燃料プールに落ちるという事故も発生しました。
使用済み核燃料が保管されているプールですから、大変なことです。
幸い、底にある燃料棒に触れることなく引き上げられましたが、その作業員のその後はいっさい不明です。
そうした時の箝口令は徹底していましたが、それが良いとは思えません。
 
作業員が落ちた燃料プールは、各原発内の格納容器に隣接して設けられています。
格納容器から取り出した燃料棒を水に漬けたまま燃料プールに移動するため、水路でつながっています。
こうした使用済み燃料棒を冷却するため、プールの上部は完全に開放されています。
見た目は競泳プールのようですが、中はとんでもない状態なわけです。
一番の問題は、安全確保がほとんどなされていないことです。
一番古い1号炉は、米国GE社の設計ということもあり、危険な箇所が随所にありました。
このプールの上に突き出した作業用設備があり、移動の障害になっていました。
我々は、作業で移動の度に、設備の取手などを掴み、水面上に身を乗り出すという有様でした。
もちろん、プールの水面に触れないように細心の注意を払っていましたが、緊張を強いられました。
ゆえに、作業員が落ちたときも、チーム仲間と「落ちるよな・・」と話したものです。
 
次回以降も、こうした話をお伝えしようと考えていますが、気持ちが持たずに中断もありえますので、あらかじめ、お許しを得ておきたいと思います。
 
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<編集後記>
「行う勇気」と「止める勇気」、どちらが難しいでしょうか。
それは、簡単です。
決定する前であれば前者、決定した後では後者に決まっているからです。
次の首相には、この2つの勇気を持って実行できる人になって欲しいです。
直接、首相を選ぶことができないのが“もどかしい”ですが、間近に迫ってきた総選挙では、間接的に、それにつながる議員を見極め、投票をと思っています。
 
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