(2)チプラス首相の目論見

2015.07.06 9:00:00

EU側は、チプラス首相はユーロ圏から離脱する気なのかと受け取ったようだが、当初からそんな気は全くなかったらしい。

彼は、6月29日、国営放送(なんと2年ぶりの再開)に出演して「ユーログループが我々を追い出すとは思えない。その代償は非常に高いものにつくからだ」述べている。
 
ギリシャが抱えている負債は、3150億ユーロ(44兆1,000億円)と言われているが、その80%はトロイカが債権者である。
ギリシャがユーロ圏から離脱すれば、債務不履行が確定し、債権者は債権を取り戻せなくなる。
トロイカはそれを恐れていると、チプラス首相は今でも考えているようである。
だから、国民投票で「反対」が勝てば、トロイカとの再交渉はギリシャに有利に働くとチプラス首相は考えたのである。
 
結果は、チプラス首相の思惑通り、反対派が勝ち、ギリシャ国民はEU提案を拒否したことになった。