中国バブルの崩壊(1)

2014.09.30

中国経済がバブル状態であることは誰もが承知している。
しかし、では「中国バブルはいつ弾けるか?」の問に対しては、専門家諸氏の意見もバラバラになる。
世界史に例のない「社会主義市場経済」という特殊な中国経済が予測を困難にしている。

習近平政権が目論むバブルからのソフトランディングは、短期では可能と思うが、長期では無理と思う。
経済を市場主義で運営するには自由な経済活動を許容しなければならないが、政治を共産党独裁の下に固定するという社会システムは、これと明らかに矛盾する。

でも、世界第二位の規模にまで肥大化した経済を、この矛盾する社会システムで制御しようと、習近平政権は必死にあがいている。

9月19日、習近平主席は、10月1日から始まる国慶節への景気付けとして、中国インターネット通販の最大手アリババ集団を2兆7000億円という史上最高値でニューヨーク証券取引所に上場させた。
日本では、この上場でソフトバンクが巨額の含み益を得たことばかりが報道されているが、世界は、それだけ中国経済が危機に陥りつつあると見ているのである。

しかも、この危機の元凶は「社会主義市場経済」そのものなのだから、始末に悪い。
そもそも、中国経済は非常に単純な金儲けの仕組みで回っている。

たとえば、資金を金融機関から年利2%前後で借り、このカネを「10%の理財商品」で運用すれば差額の8%が利益になるという単純な商売が横行している。
この理財商品のメインが不動産で、金融機関としての受け皿がシャドーバンクだった。
昨年末から、その不動産が下落し始めたことで、メインは商品相場に移っている。
今年になって鉄や銅が異常な値上がりを見せたことで、それは裏付けられている。
不動産投資での資金の借り手がいなくなった金融機関は、商品相場のリスクが判っていても、平気で貸し付けている。
しかも、その担保は価値が下落した不動産である。

おどろくような感覚であるが、「商品相場は数カ月単位でくるくる回るので、効率が良い」と考えているのが共産主義における金融期間の判断基準なのである。

日本や欧米では、こんな乱暴な融資は考えないし、第一、金融当局が許さない。
が、そこは中国である。
公安当局への賄賂で「一件落着」なのである。

そして、中国経済が巨大になったことで、そのボリュームがこうした乱暴なマネーゲームを支えている。

どこか、米国のサブプライムローンと似ている構図である。
かつ、一党独裁ゆえ、政府が強引にバブル崩壊を抑え込んでいるのである。

しかし、いくら一党独裁の強大な国家権力でも、バブルの崩壊を止めることはできない。
賄賂の横行で一般国民の不満は募り、共産党一党独裁体制に影響を与えかねない状況にまで来ている。

バブル崩壊は、ある日、突然やって来て、一発で経済に大きなダメージを与える。
それを回避するためには、微妙な舵取りをしながら、若干のバブル状態を維持することが必要である。

次号で、習近平政権が行っている、その微妙な舵取りのことを解説する。