「コンビニエンス(利便性)=地域密着の建設業」(2)まだまだ先生に学ぼう

2013.11.29

今期中に飽和点と言われた5万店舗に達するも、なお出店競争を止めようとしないコンビニ業界。
彼らは「海へと突入するねずみの大群」なのか、それとも的確な戦略があってのことなのか。
もちろん後者だと思いますが、その要のポイントを探ります。

前回、セブンイレブンの戦略の一端を紹介しました。
そこには次の2点が掲げられていました。
(1)まだ進出していない県への進出。
(2)品揃えや各種の代行業、無料Wi-Fiなどのサービスの充実

1点目には裏があり、既存の他社店舗を丸ごと食ってしまおうという戦略が見え隠れしています。
この戦略は資本の論理ですので、中小企業が参考にできることはありません。
参考にすべきは2点目です。
この戦略は、地域密着の利便性を具体化したものです。
今回は、このことをコンビニ業界から学んでみましょう。

「地域密着の利便性」とはよく聞く言葉ですが、読者のみなさんは、ユーザーサイドから考えた具体的なイメージが湧きますか。
建設業界では、このような具体性に欠ける言葉が多すぎます。
「適正価格」とか「適切な処置」とかの言葉です。
これらの言葉の真の意味は、「具体的なことは分からない」なのです。

では、コンビニ業界は「地域密着の利便性」をどのように具体化しているのでしょうか。
まず「地域」ですが、店舗からの距離でそのお店の地域を限定しています。
この距離を、かっては500mとしていましたが、最近では200~300mにまで縮んでいます。
理由は3つあります。

(1)高齢者がコンビニを利用するようになった
高齢者の歩ける範囲は、健康でも300mが限界。

(2)同じフランチャイズのお店の間に、他のフランチャイズのお店を入れない。
必然的にお店間の距離は250m以下になる。

(3)配送の効率化
小さな店舗に多くの品揃えがコンビニの特徴。
一店舗に対する配送回数が2~5回と増えてきた。
流通コスト低減のため、配送センターに近い距離に店を集める傾向が強くなった。

このように、彼らは具体的な数値と理由で「地域」を明確化しているのです。
建設会社も自社の「地域」を明確化することが出来てはじめて「地域密着」を語れるのではないでしょうか。

次に「利便性」です。それも「密着型の利便性」です。
これは、コンビニ店をよく使われている方には、すぐに分かるテーマでしょう。
食品や日用雑貨類だった初期のコンビニに比べ、今のコンビニは飛躍的に扱い品目を増やしています。

弁当や“おでん”などの調理品を扱うことで、顧客の食事作りの代行を行い、さらに、各種公共料金、分割払い、通信販売代金などの料金収納代行サービスは、24時間営業と相まって、顧客の「利便性」を飛躍的に向上させました。
2008年時点で、料金収納代行サービスの扱い高が、物品販売の売上高を上回ったことで、この「密着型の利便性」が広く支持を受けたことが分かります。

この影響は大きく、高額な商品(ゲームソフトやDVD等)を扱い出した効果もあって、顧客単価は急激に伸びています。
皮肉なことに、コンビニ強盗事件の一件あたりの被害額が、従来の2 - 3万円から、近年では10万円近くにまで跳ね上がったことで、扱い金額の高騰が証明されています。

「密着型の利便性」こそが、まさに「コンビニエンス」なのです。
そして、それは購買者の視点に立って初めて分かることなのです。
地域密着をうたい文句にする建設会社であれば、それを購買者に示せなければウソです。
その思いと仕組みが購買者に届けば、あなたの会社のコンビニエンス(利便性)は、低価格を覆す武器になることでしょう。