アベノミクスは実感に乏しい? (その4:労働生産性の続き)

2013.11.19

日本経済は着実に回復してきていると言われますが、「実感が乏しい」と、あちこちで回復を疑問視する声が聞こえます。
この「実感の乏しさ」の解説の4回目、「建設産業の労働生産性が上がらない」の続きです。

そもそも、大手であっても生産性を的確に把握している企業はほとんどありません。
数字が把握できなければ、数字の向上はありえないのですから、生産性が上がるわけもないのです。
他産業から見たら、「ウソでしょう!」なんですが、これが建設業の現実です。
その根本原因は、多重下請け構造にあります。

大半の建設工事は、複数の専門工事会社の協力関係で施工されますが、金銭のみの契約関係で成り立ち、生産性は受発注の基準になっていません。
だから、元請けの関心は、「発注価格をいかに下げさせるか」にしかなく、下請けの関心は、「いかに元請けの値下げ要求をかわすか、あるいは断るか」にしかなくなるのです。
そうなると、受発注価格は、両者の力関係で決まってきます。
つまり、不況の時は元請けが強く、好況の時は下請けが強い、という図式です。
だから、今は「下請けが強い」のですが、また、いつか逆転するわけです。

この不毛な関係を断ち切り、元請けと下請け双方が協力して目指すべきが「生産性の向上」なのです。
しかし、製造業では当たり前のこの意識が建設業では育ってこなかったのです。
どうしてでしょうか。

答えは、「面倒くさい」からです。
そして、そこまで追い詰められていなかったからです。
それだけ、建設産業は「ぬるま湯」の中の「ゆでガエル」だったのです。

これだけ言っても、多くの建設企業は重い腰を上げることはないでしょう。
それでも食べていけてるからです。
ですから、「そうだ、当社の取り組むべき課題は『生産性の向上』だ」と、決意した企業だけに教えます。
新年から、弊社のホームページの改編を行います。
新たなホームページも開設します。
ぜひ、それをご覧ください。
そこで幾つもヒントが見つかると思います。

筆者注:「下請け」という言葉は好きではないのですが、説明の都合上、使いました。
そのことをご理解の上、お読みください。