「コンビニエンス(利便性)=地域密着の建設業」(7)小さな工事で儲けることへの“障害”とは

2014.04.30

前号で、「3つの統一基準」の作成が儲けるポイントだという話をしました。
忘れた方は、ぜひ前号を再読してください。
その上で今号をお読みください。

統一基準を作っても、最初から思うような結果は出ないでしょう。
でも、それで諦めてはダメです。
実行結果を溜めていくことが大事です。
溜まった実行結果を分析すれば、“うまくいかない”原因が見えてきます。
原因が見えたら「是正」、そして「再実行」。
これを繰り返していくのです。
このサイクルが回るためにも「3つの統一基準」が必要なのです。

ですが、作った基準は“絶対不変”ではありません。
現実に合わせて、どんどん変えていってください。
ただし、個々の結果に合わせるのではなく、溜まった結果を分析して得た結果に合わせるのです。
これが「実行する努力」で、その先の努力結果も「見える」ようにすることが必須です。

しかし、どんなことにも、じゃまをする“障害”が付きものです。
成果を上げることを邪魔する“障害”については、故ゴールドラット博士が掲げた“TOC(theory of constraints=制約条件の理論)が有名ですが、この制約条件に関する基礎理論は、19世紀の”リービッヒの最小律“で唱えられています。
“TOC”を学んだ、あるいは学んでおられる読者の方もいらっしゃると思います。
そのような方々には“釈迦に説法”なので、これ以上の説明は不要でしょうが、一つだけ注意すべき点があります。
成果を邪魔する制約条件は様々にありますが、それぞれの要素・要因が互いに補い合う場合があり、「制約はたった一つに絞られる」とする「サプライチェーン」のようにはいかない場合が多いということです。
特に、建設工事の工程管理に“TOC”を使う場合に、このようなパラドックスに陥る危険が多くなります。
建設工事特有の「無理が通れば道理が引っ込む」が、制約理論を崩してしまうのです。

今回のような「小工事管理」に対しては、工程は、単純な“リニア連結=先頭から順々に処理していく方法”の組み合わせで考え、各要素の関係を最小化してしまうことがポイントです。
そうすれば、障害の在処(ありか)が明確になり、取り除くことも容易になるでしょう。

小工事は短工期です。
それゆえ、障害除去に手間取ると、思わぬ原価増大を招き、たちまちのうちに赤字に陥ります。
こんなことも、小工事を嫌がる一因であろうと思います。
ですから、小工事管理においては、障害除去は大きな要素です。
事前に、出来る限りの障害発生予測を立て、工事に着工するまでの間に除去することが大事です。
また、実際に発生した障害の記録を取り、障害の普遍的発生原因を分析・抽出することも大事です。

このような管理と実行を継続して行なっていくことで、小工事の利益は確実に上がっていきます。
現に、本メルマガで紹介した企業は、地方の中小企業ですが、小工事用の原価管理・見積作成によるリアルな「見える化」と、実直な実行で、初年度で粗利30%強を達成し、3年後には36%にまで上昇しました。
勿論、単純にそこまで行ったわけではなく、通常工事と掛け持ちで頑張った工事社員たちの努力とリーダーに抜擢された社員のたゆまぬ工夫と努力があったことは言うまでもないことです。

でも、その第一歩は「やろう」というトップの決断から始まったのです。
それが一番大事かもしれません。

本シリーズは、今回で一応の終了とします。
また、新たなシリーズをお送りする予定ですので、楽しみにお待ちください。