経営者の愚痴(2):企業の目的は利益ですか?

2014.07.29

「経営者の愚痴」コーナーの2回目です。
読者のみなさん(特に経営者の方)、本メルマガに「どうしようもない」愚痴をお寄せください。
勿論、匿名でその愚痴を紹介したいと思います。
今回は、愚痴というより、私からの問題提起の続きを書かせてもらいます。
前回は休んだので、前々回(5月31日号)の最後の引用から始めます。

経済学者のドラッカーが言っています。
『企業が利益を上げることは必須だが、企業の目的が「利益」になると、実は、社員は「自分たちは、何をすべきなのか」が分からなくなり、「利益を作り出す」ことにしか邁進しないようになる』

つまり、企業が生きるためには当然必要な「利益」ですが、利益を企業目的にしたとたん、社員は、「何をすべきなのか」が分からなくなる、とドラッカー先生は申しているのです。
でも、社員が「利益を作り出す」ことに邁進するなら、「それでいいじゃないか」と思えますよね。
しかし、ドラッカー先生は、それを「良し」とは言っていないのです。

でもですよ、私は「利益を度外視しろ」とは決して言いません。
利益を上げることは、企業にとって必須事項です。
経営者たる者、片時も頭から外してはならないことです。
酒を飲んでいる時も、ゴルフをしている時も、女性と遊んでいる時もです。
だから、「経営ってめんどうくせえ~」のです。

だけど、利益を上げること以上に大事なことがあります。
「その利益を使うこと」です。
ただし、カネをばらまく散財はダメですよ。
経済用語で言えば、「拡大再投資」に使うことです。
投資をして、事業をさらに大きくするということです。

俗な言葉で言えば「海老で鯛を釣れ」ということです。
中国の兵法書、三十六計の第十七計で言うところの「抛磚引玉(ほうせん・いんぎょく)」です。
意味は単純。
磚(せん=レンガ)を抛(な)げて、玉を引くという意味です。
日本のことわざのほうが上品ですね。

このような投資のことを「戦略投資」と言い、経営者の専権事項です。
つまり、この才能を持つことが経営者たる者の資格ということです。
この投資に失敗すれば企業は大きな損失を蒙りますから、この才能があることは当然です。
やはり、「経営ってめんどうくせえ~」ですね。

次回は、この面倒臭さから逃れる方法を伝授しましょう。
私も実践していることです。