中小企業の経営(3)

2015.01.30

飛び飛びになっていますが、「中小企業の経営」の3回目を送ります。
やはり不定期になっている「経営者の愚痴」と合わせて読んでいただくと、より実感を持ってお読みいただけると思います。
 
社員に向かって、「責任を持って働くように」と言う経営者は多いですね。
では、社員は「どんな責任」を負っているというのでしょうか。
また、受け止める社員の側からすれば、「どんな責任」を自覚しているのでしょうか。

実は、経営者は、全く無自覚に「責任を持て」と言い、社員は、無自覚に「責任を持ちます」と言っているのではないでしょうか。
そうだとしたら、実に“いいかげん”な言葉ですね。

そうです。
経営者が発する「責任を持て」は、法的な意味の言葉でも、具体的な実行を求める言葉でもなく、単なる「精神訓話」なのです。

実際、犯罪行為として実証されない限り、社員に強制的に「責任を取らせる」ことは出来ません。
逆に、自殺されたり、犯罪行為に走ったりすれば、会社が罪に問われます。
また、それがきっかけで過重労働に走り、過労死や病気になったりすれば、今はやりの「ブラック企業」の烙印を押されます。

退職に追い込むことも厳禁であり、どんな事情があっても、企業や経営者の負けになります。
かって、私の会社で、当時の専務が社員と衝突して「辞めてしまえ」と迫ったことがあります。
たしかに、その社員の勤務態度は悪く、問題社員でした。
しかし、その社員が労基署に駆け込みました。
会社は、労基署による事情聴取を受けました。
労基署の聴取員は、こちらに同情的ながら、会社の罪になると言い、和解金の支払いを勧めました。
和解に応じて、会社は数カ月分の退職金を払うことにしました。
専務の感情的発言が、大きな損害を会社に与えることになったわけです。

私は、もともと、この種の言葉を嫌う人間です。
「社員の責任を問うことはできない」と考えていますので、そのような発言はしません。
ですが、当時の専務は管理型のタイプでしたので、この種の発言が多かった人です。
それでも、この退職劇における専務の責任を問うことは出来ません。
会社の責任とは、全て経営トップたる自分の責任です。
その損害も、自分がかぶるべき責任です。
つまり、中小企業において責任を負うのは、「代表印」を持つ者だけなのです。
「社員に責任は無い」を肝に命じて、毎日の経営を行っていくべきなのです。

「そんなこと、言われんでも分かっている」と怒られそうですが、
お分かりであるなら、「責任を取れ」の言葉は封印されていると思います。
その姿勢を続けてください。