これまでの経済、これからの経済(5)

2020.01.16

本シリーズは「経済の発達の歴史から近未来の経済予測」という触れ込みで始めましたが、このところ、金貸しの話になっています。
ですが、経済を根底で動かしているのはカネです。
企業経営にとっても、資金調達は生命線です。
というわけで、もう少し金貸しの話にお付き合いください。
 
サラ金の衰退とともに街金や闇金の話題も下火になっていますが、どっこい、彼らはしぶとく生き残っています。
余談ですが、コミックから映画になった「闇金のウシジマくん」という映画がありました。
主演の山田孝之の怪演が堂に入っていましたが、あの映画のシーンでウシジマくんの机の後ろに「金融業の許可証」が張ってあるのに気が付いた方はいらっしゃるでしょうか。
あれが正規の許可証であれば、ウシジマくんは違法な闇金ではなく、一応正業の街金ということになります。
もっとも、表では街金を装う闇金業者もたくさんいますから、映画のシーンが間違っているわけではありませんが・・
 
弊社は、経営コンサルも事業の一つにしていますので、倒産の危機に面した会社の支援などもしてきました。
その一環で、闇金との借り入れ交渉を何度か行ったことがあります。
その結果、分かったことがあります。
彼らの話は、ほぼ全てがウソです。
たとえば、「ウチが入っている○○協会のブラックリストにはオタクのヤバイ借入がいくつも載っているよ」とか言いますが、そんなリストは存在しません。
たしかに闇金仲間同士のある程度の情報共有はありますが、リストと呼べるようなものではありません。
 
つまり、彼らの脅し文句は、いわゆる「カマ掛け」なのです。
でも、ビクビクしている借り主は、その脅しに負けてべらべら喋ってしまうのです。
そうしてカモになっていくのです。
 
そもそも闇金のバカ高い利息など、資金繰りに窮した会社が払えるわけはないのです。
もちろん、違法ですから、払う必要は微塵もありません。
「でも、暴力で脅されたら・・」と、たいがいの方は心配しますが、あれは漫画やドラマの世界の話で、せいぜい、「机ドン」程度です。
 
でも、たしかに怖いですよね。
ですから、そんな連中のところに行く前に、信頼できる存在に相談に行くべきなのです。
私であれば、その企業がどのくらいの負債に耐えられるのかを、まず計算します。
ですから、その前提となる各種資料を整えることが必要です。
その上で、正規の金融業者との交渉に臨むのです。
その前提となる財務数字を粉飾する経営者の方もいますが、どこかで数字の辻褄が合わなくなるので、すぐに分かってしまいます。
そうなると、支援したくても無理となってしまいます。
追い込まれたら正直になることです。
 
闇金とは違いますが、投資ファンドの資金調達も同様の構図です。
配当利率は、闇金とは違いますが、銀行融資に比べれば異常な高利息です。
ソフトバンクGの10兆円ファンドの大半は、7~8%の配当を約束しています。
ということは、12~13%ぐらいの投資利益が必要です。
かなり博打的な投資だということが分かると思います。
 
知り合いに米国の大手投資ファンドのマネージャがいますが、彼は投資先には「15%の配当」を要求すると言います。
「実際は13%ぐらいになっちゃうけどね」と言っていますが、調達金利を考えると、そのくらいはないとやっていけないのです。
 
投資ファンドの資金調達に必要なのは、資金を集める才覚と行動力、付き合いの幅、話術、そして度胸だと言います。
あのソフトバンクGが出資する資金もその大半は借金で賄っています。
次回は、そうした投資が生み出すバブルの仕組みを述べたいと思います。