これまでの経済、これからの経済(7)

2020.03.17

数年前からの日本経済は「戦後最長の好景気」などと言われてきましたが、その中身は実質経済の衰退と言えるのではないでしょうか。
実態は、ソフトバンクなどの投資型企業およびネット通販企業、それとニトリやしまむらなどの安売り企業が引き起こした「ベンチャー・バブル」とでも呼ぶような薄っぺらな景気といえます。
経済評論家の中には「貧富の格差拡大による一極集中」によって引き起された経済と言う方もいます。
こうした見方も「当たっている」と言えます。
「一般庶民には経済成長率に見合った実感が無い」という意見からも裏付けされる見方です。
 
こうした傾向は、企業間でも同様で、大企業各社は、空前の利益を上げ、膨大な内部留保を溜め込んでいますが、中小企業の業況は今ひとつです。
大企業は、内部に大量の資金を溜め込んでいますが、少子化への不安から生産設備や将来への投資には二の足を踏んでいます。
しかし、低金利の現在、預金として寝かせておくだけでは「死に金」となってしまいます。
そうした現状が「うまい投資先はないか」という動きになっているのです。
つまり、こうした滞留資金がベンチャー・バブルを引き起こしてきたわけですが、ベンチャーのネタが尽きてきています。
 
楽天が今期、大赤字に落ち込みますが、投資の失敗がその主因です。
ウィーワークスで巨額の損失を出したソフトバンクと同じ道です。
そのソフトバンクは、LINEを買収して、ヤフーとの相乗効果で大儲けを画策しています。
後ろ盾になっているみずほ銀行と、共同でネット銀行の「LINE BANK」を立ち上げるとぶち上げていますが、「どうなることやら」です。
 
10兆円もの資金を集めて「ビジョン・ファンド」を立ち上げた孫正義氏は、「7兆円投資して2兆円の利益を上げた」と豪語していますが、その利益の大半は未上場会社の株価で、自分で値付けしたものばかりです。
知人のファンドマネージャーは、この発言に対して「利益率28.57%・・、あり得ないよ」と、一言のもとに切り捨てました。
彼が動かす資金は、年間で2500億円ぐらいですが、平均利回りは12~13%ぐらいということです。
彼に孫正義氏のことを聞きましたが、「投資家はそれぞれだからね」と言うだけでした。
 
ウィーワークスの巨額損失を見る限り、ソフトバンクの発表を鵜呑みにはできません。
もっとも、孫正義氏には、我々では考えつかない秘策があるのかもしれません。
それは、誰にも分かりません。
でも、ひとつ言えることがあります。
「投資バブルでは実質経済は動かない」