これからの近未来経済(6):バイデン政権の経済政策

2021.05.17


就任3ヶ月でバイデン大統領の経済政策がはっきりしてきました。
先に政権は200兆円規模の経済対策に加え、200兆円規模の先端技術開発への投資を発表しました。
しかし、その財源を国債発行に求めるのかという疑問がありました。
その答えとして、大統領は財源を増税に求めるという政策を発表しました。
中身は、年収100万ドル以上の富裕層への税率を現行の20%から39.6%に引き上げる案です。
 
米国の富裕層は、収入の多くを投資によるキャピタルゲインで得ています。
すでに、所得が20万ドル(夫婦合算の場合は25万ドル)以上の者に掛けられている純投資所得税が3.8%ですから、キャピタルゲイン税率は43.4%に跳ね上がる計算です。
日本では考えられない規模の大増税です。
この報道を受け、米国の株式市場は下落しました。
 
また、増税には議会の承認が必要です。
当然、野党共和党は反対に回りますし、与野党が50:50の上院では、身内の民主党の中から一人でも造反が出れば否決されます。
 
ここで、誰もが疑問を持つはずです。
バイデン大統領は、豊富な政治経験を持つ百戦錬磨の政治家です。
否決される危険を犯してまで、なぜ、こんな大増税案を出したのでしょうか。
たぶん、これが彼特有の政治戦術なのだと思われます。
先に39.6%という「過激な」案を出し国民の関心を引きつけ、落とし所をぼかす作戦です。
狙っている落とし所は、現行の20%との中間、29%あたりでしょうか。
 
さらに、この金持ち増税案に合わせて、一般の所得税の限界税率を現行の37%からキャピタルゲイン税率と同じ39.6%に引き上げる方針も伝わってきています。
対象者の多い、こちらの法案こそが真の狙いともいえます。
先に金持ちへの大増税案で注目を引きつけてから、一般の所得税増税案を出すというわけです。
バイデン大統領は、結構したたかな戦術家です。
菅総理は、大統領からこうした戦術を学んでくれば良かったのにと思いますが、さて、どうでしょうか。
 
この増税案に反応して、米国の株式市場は含み益の多いハイテク関連の銘柄が多く売られ、株価は下落しました。
しかし、長期金利は上昇しませんでした。
それは、冒頭で述べた成長戦略の財源が国債増発だけでなく増税も充てることが明確になったからです。
来年の中間選挙をにらみ共和党は反対するでしょうが、成長戦略には反対しにくいですから、難しい対応を迫られる公算になります。
この先のバイデン政権の政策には目が離せないようです。