今後の建設需要(19):土地規制法が可決

2021.09.15


前号で、銀行の主張する「出口戦略」のことを続けると予告しましたが、今号では、それとは別の建設事業の障害のことを述べます。
 
少し前の話題になりますが、先の通常国会の最終日の深夜に、土地規制法が可決しました。
中国などの外国が、自衛隊や在日米軍の基地の周辺の土地を取得することを防ぐための法律ですが、
当然のごとく反対した野党や市民団体などの抗議を押し切っての可決でした。
もちろん、「基地への抗議活動を規制するものだ」というのが、その反対理由です。
たしかに、本法がそのような抗議行動の規制に使われることも想定されますが、外国人の不動産取得が野放図になっている現状に一定の制約を課すことは必要な処置だと思います。
 
安全保障上の問題は「国際問題、政治問題」の号で論じるとして、今号では民間事業上の問題を述べたいと思います。
弊社が扱っている案件で、敷地の境界確定が必要となりました。
しかし、隣接するマンションの理事長が、頑なに確定への立ち会いを拒否しました。
境界確定で揉める要素がまったく無かったので戸惑い、その理由を尋ねましたが、曖昧な返答ばかりで、交渉は暗礁に乗り上げました。
数カ月後、その理由がようやく分かってきました。
どうやら、マンションの2階にあるフィットネスクラブの所有者が外国人であることが理由のようでした。
その外国人がボルネオ人らしいということを聞いたので、さらに調査したところ、事態はもっと複雑でした。
そのボルネオ人はダミーであり、その後ろには中国の会社がいるというのです。
当のボルネオ人の住所には誰もいなくて、背後の中国人の会社に至っては、雲をつかむところまでもいかない有様です。
管轄する役所に聞いても、法務局に聞いても、明確な答えは得られず、計画は暗礁に乗り上げる寸前まで追い込まれました。
今度の土地規制法が、こうした事態に対する打開策になるかどうかは分かりませんが、外国人の所有に規制を掛け、少なくとも確かな情報入手と交渉ができるところまでは踏み込んで欲しいものだと思います。
 
コロナ禍の少し前に富士登山に行きましたが、登山口となる五合目の売店や食堂は中国語しか聞こえてこない有様でした。
入った食堂で注文したところ、そこの店員が「あ~、やっと日本人の客が来た」と言ったのに驚きました。
「このままでは、富士山が中国に実効支配される日が来るのかな」と、半分冗談、半分本気で思いました。
幸い(と言ってはいけませんが)、コロナ禍で外国人観光客の姿は消えましたが、この後、戻ってくるかどうかの心配より、土地所有に関する法律の未整備が心配です。
野党は、反対のための反対ではなく、国土を守るため、そして経済活性化の基盤となる土地関連法案の整備を国会に掛けることを政府に強く働きかけて欲しいものです。
これも一種の「出口戦略」ではないかと思います。
しかし、素人並みの知識、見識しかない今の野党には無理だなと思うことが虚しいです。