「コンビニエンス(利便性)=地域密着の建設業」(5)小さな工事で儲ける法

2014.03.03

前号で、自社にとっての「小工事の市場規模」を算出する簡単な方法を紹介しました。
実際にやってみましたか。
もし「なるほど」と思われたのであれば、即実行することです。
実行しない限り、何も成果は出ません(当然ですが・・)。

自社の商圏を把握したら、営業も即実行です。
そのための短期戦略を作るポイントも前号で解説しました。
最近のコンビニエンスストアの戦略と同じ、「コンシェルジェ作戦」です。
これは、地の利を活かす作戦でなければなりません。
この作戦に、天の利、人の利を乗せて実行できれば、成果を手にできます。
この作戦の第一の成果は、自社の商圏に競合他社の侵入を許さないことです。

さて、そこまで復習していただいて、今号の本題に入ります。
「小工事は手間ばかり食って儲からない」ことの解決法です。

第一のポイントは、「確実に儲けが出る見積書」を作ることです。
第二のポイントは、お客様の予算(といっても、多くは腹づもり程度ですが)を推測することです。
そして第三のポイントは、「無駄を出さない施工計画とフォロー」です。

「なんだ、当たり前のことばかりじゃないか」と思われましたか。
そうです。当り前のことばかりです。
でも、いま、それができていますか?

これから紹介する会社も、そうでした。
小工事は“お荷物”だったのです。
それが、1年で、その会社で一番儲けが出る工事になったのです。
今回は、その第一のポイント、「確実に儲けが出る見積書を作ること」を簡単に説明しましょう。

その基は原価計算ですが、労務、機械の実稼働数を算出することにあります。
「作業員が2人で3日フル、0.25バックホウ1台を3日間・・」ということを、生産性の裏付けを作りながら算出するのです。
弊社が開発した「クッションゼロ」式原価計算のミニ版のような感じです。
資材は、必要数量を算出した上で単価を相場調査で決定します。
あとは、必要な経費を実費計算か%基準で算出し、さらに必要な利益を上乗せします。
こんな単純なことで見積書を作るのです。

「そんなことで儲けが出るの?」と疑問に思うはずです。
実は、その会社もそうでした。
それで、その会社の工事部員たちに、ある課題を与えて見積書を作成してもらいました。
もちろん、自分たちのやり方でです。

結果は、ものの見事に“バラバラ”でした。
2倍以上開きが出たのです。
さらに、一人ひとりに算出根拠を聞くと、またも“バラバラ”。
実にいいかげんな算出方法の部員が大半でした。
儲からなかった理由はここにあったのです。

この結果を一覧にして、全員に確認してもらいました。
みな、「う~ん」と唸って、しばらく声もありませんでした。
やがて、今度は喧々諤々(けんけんがくがく)、口々にかってなことを言い合い出しました。
しばらく言わせたあと、みなを制止して、以下のことを協議しながら決めていきました。

算出する方法を統一し、労務単価や機械の使用単価を一定の計算方法を確立した上で決めていく。
さらに経費の計算や必要利益の比率など、一切の漏れがない計算方法を統一して決めていきました。
でも、これだけではダメです。
続きは次回としましょう。