「コンビニエンス(利便性)=地域密着の建設業」(4)小さな工事の市場規模

2014.01.31

前回の宿題を覚えていますか。
「建設業に置き換えてみて、このコンビニエンス(利便性)の2つのポイント、つまり、距離と金額の関係を数字で表現してください。」

ちゃんと宿題をやった方は答え合わせを、“そうでない方”は、自社の近辺の住宅地図を出して計算してみてください。

自社を中心に半径500mの円を描いてみてください。
その中に何件の住宅が含まれていますか。
もし、廻りが全て住宅街だと仮定すると、2000軒程度になるはずです。
一般住宅のリフォーム・修繕に掛ける費用は、平均で年間35万円くらいと推定されます。
仮に30万円/年としても、全部で6億円/年です。
つまり、6億円のリフォーム会社が成り立つということです。
これが「距離と金額の関係」なのです。

あとは、この自社の商圏に競合他社の侵入を許さないことです。
といっても、まさかバリゲートを張るわけにはいきません。
侵入阻止を、ハードパワーでいくか、ソフトパワーでいくかの戦略が必要になります。
ハードパワーとは、材質、施工の出来栄え、金額など、形として目に見える力です。
それに対し、ソフトパワーとは、形として目に見えない力です。
提案力、迅速性、挨拶、接客態度、日頃の付き合い、地域ボランティア活動、イベントへの参加・・
いくらでも出てくると思います。
まさに、最近のコンビニエンスストアの戦略と同じです。
前にも述べた「コンシェルジェ作戦」です。

この500m半径が重ならない限り、競合他社に対し、地の利はあなたの会社にあります。
あとは天の利、人の利を築くことで、あなたの会社の商売は万全になります。
コンビニだって、同じような努力を重ねているのです。
あなたの会社に出来ないはずはありません。

新築工事主体の会社であれば、さすがに500mでは不足です。
データなどで地域の新築割合を調べ、そこから自社の商圏半径を割り出せば良いのです。
半径を大きくすれば、金額は増えていきますが、経費の増大を招くことと、競合他社と商圏がぶつかる可能性は増えていきます。
その場合、価格で戦うか、施工の質あるいは設計力、提案力などで差別化を図るなどの追加戦略が必要になります。
いずれにしても、「距離と金額の関係式」を設定し、その確実性を増す具体策を考え、実施することです。
ちょっと考えれば、そんな策は幾らでも出てくるでしょう。
ハード面、ソフト面に分けて、それぞれ個別戦略を作成します。
その後、様々な戦略の組み合わせを考え、立体的な戦略MAPを作成します。
そうすることで、新築工事でもコンビニエンス(利便性)が重要な要素であることが浮き彫りになってくるはずです。

「地域密着の建設業」とは、その地域で「なくてはならない建設会社」のことです。
そうなるには小工事の受注を丁寧に積み上げていくことです。
「あそこに言えば、どんなことでも解決!」となることです。

それでも、こんな声が聞こえてきます。
「小工事は手間ばかり食って儲からないよ」
たしかに、そうかもしれません。
しかし、「儲かるようにする工夫、努力をしていますか」と言いたいです。
漫然と受注して、漫然と工事していては、儲からないのが当然です。
次回、そんな工夫をして、粗利率30%以上を出している例を紹介しましょう。