AIは果たして人間社会に益をもたらすのか(3)

2016.11.16

8月31日号で「AIがもたらす未来社会の姿を想像する」と予告しながら、前号が「豊洲問題特集号」となった関係でお休みしてしまいました。
お詫びを申し上げ、今号で続きを述べていきます。
 
以下は、野村総合研究所が行った調査で「近い将来コンピュータによって置き換えられていく可能性の高い職業」にあげられた仕事の一部です。
 
「IC生産オペレータ、こん包工、コンピュータ保守員、一般事務員、電子部品製造工、鋳物工、産廃収集運搬員、電車の運転士、医療事務員、受付、自動車組立工、自動車塗装工、バイク便配達員、駅務員、出荷・配送要員、発電員、NCを使う機械工、ゴミ収集作業員、会計監査係員、新聞配達員、etc.,」
 
建設に関係する仕事としては、以下があげられていました。
「サッシ工、道路パトロール隊員、非破壊検査員、ビル施設管理技術者、ビル清掃員など」
 
さらに、AIは以下の職業から人間を駆逐していくと予測しています。
 
「アートディレクター、バーテンダー、アウトドア関係のインストラクター、シナリオライター、俳優、アンウンサー、鍼灸師、アロマセラピスト、社会教育主事、美容師、犬の訓練士、介護要員、医療ソーシャルワーカー、社会福祉施設指導員、ファッションデザイナー、インテリアデザイナー、フラワーデザイナー、ジュエリーデザイナー、獣医、フードコーディネーター、舞台演出家、映画監督、映画カメラマン、舞台美術家、フリーライター、柔道整復師、などなど」
 
意外と思う職業もありました。
「児童厚生員、小学校教員、社会学研究者、評論家、エコノミスト」
 
本来、きめ細かに人と接する、あるいは分析する職業なのに、近年は「機械的な対応になっている」という現れでしょうか。
 
別の調査におもしろいものがありました。
コンピュータやAIによって代替可能な労働人口の占める国別割合です。
それによると、日本49%、米国47%に対して英国が35%でした。
英国の職場ではシステムの導入が進んで、どんどん人がコンピュータに取って代わられているということでしょうか。
それに対し、日本や米国では、まだまだ人間が行っている非効率な仕事が多いということでしょうか。
 
この調査では日米の差はありませんが、単純に安心するわけにはいきません。
米国は貧富の格差が激しく、低賃金の労働者(かなりの比率で不法移民がいます)が多く存在しています。
システムを導入するより、彼らを安い賃金で働かせたほうが経済的という職場が多いのです。
そういった要素のない日本の場合、終身雇用制のせいでシステム導入が遅れているという側面があります。
「だから人員整理を」というわけではありませんが、経済競争がグローバル化してきた現代、弱点になることは確実です。
 
最近、自動車の自動運転が話題になっていますが、実用化されれば、路線バスの運転手、タクシー運転手などもシステムに代替されることになるでしょう。
 
さらに、プロの将棋や囲碁の世界でAIが人間の名人を打ち負かしていく姿を見せつけられると、
そう遠くない将来、弁理士、司法書士などの仕事は言うに及ばず、医師、弁護士や公認会計士などの難関の資格が必要な仕事もAIに置き換わるような気がしています。
(“ドクターX”こと大門未知子は生き残れるだろうか?)
建設関係では、建築士や建設コンサルも同様の運命をたどりそうです。
 
ただ、いずれの予測調査でも、建設現場の仕事の大半はリストに入っていません。
建設現場は安泰(?)なのでしょうか。
それについては次号で解説したいと思います。