日本経済は新次元の入り口にある(その7)

2018.02.16

前述した「トランプ大統領の誕生は、マスコミ報道とは逆に米国経済にはプラスに働いたようである」という現実を考えてみた。
前任者のオバマ氏は、その人間性と格調の高さで人気があったが、外交、経済政策となると、及第点はつけ難いのではないか。
これに対し、トランプ大統領はオバマ氏とは真逆な大統領で、人間性は最悪ともいえるイメージである。
しかし、経済の結果で判定を下せば、今のところはトランプ氏の勝ちとなる。
今年の中間選挙の結果が見ものである。
 
経済市場とはカネが支配する世界である。
そして、外交とは軍事力と経済力が支配する世界である。
つまり、国家とは「カネと軍事力」を土台とする機構であると言い切れるのではないか。
もちろん、普遍的価値としての人間性や人権を否定しているわけではないが、世界の現状を見ると、それとて、カネと軍事力によって支えられている側面がある。
その意味では、「カネの無い」北朝鮮が、乏しいカネで一番有効な軍事力を持つに至ったのも必然といえる。
トランプ大統領と米国経済の好調さの関係も無視できない現実である以上、日本の新次元の経済の参考になるのではないかと考えるのである。
 
新次元経済というと、すぐに、グーグルやアマゾンが思い浮かび、AIの時代が来ると短絡して考えがちになるが、そうは思えない。
AIがどれほど進化しようが、AIだけでは、情報以外の何も作れない。
AIは、現実に存在するモノ作りや実態のあるサービスなどを支援する役割に過ぎないのである。
 
映画のマトリックスのような世界を目指すのでなければ、大事なのは「実態として存在するもの」のほうである。
ゆえに、新次元といえども、1次産業や製造業、サービス業のリアル産業が主役になるべきである。
バーチャル世界のAIは脇役でなければならない。
 
私は、こうしたリアルな世界とバーチャルな世界が融合するビジネスこそ、新次元のビジネスと位置付けている。
アマゾンが既存のスーパーやコンビニの買収工作を始めているが、同じことに気付いたからではないか。
これから既存の商売との激しい競争(というより戦争)が始まるであろう。
 
我々中小企業は、こうした巨大資本の戦いには参入できない。
参入したとしても、尖兵として使われ、討ち死にするのが関の山である。
彼らが入って来られない山間の谷間のような市場を主戦場としていくべきである。
そこで力を蓄えた者同志が連合を組み、やがて盆地ぐらいは制圧できるようになれるであろう。
その上で、今までにはない新しい市場を築き、いつの日にか、平原を陣取る覇者に戦いを挑むことも出来る日が来ることを信じたい。
 
次回は、EV化と自動化が進む自動車産業の行末を論じてみます。