建設行政も業界も“おかしく”ないですか(2)

2015.02.28

「公共工事標準請負契約約款」に保険未加入1次下請け排除の規定を追加、適正利潤の確保のために「土木工事積算基準」を改正、労務単価を改正。

上記は、国交省が矢継ぎ早に打ち出している政策の一部である。
「頑張っているな」と見るか、「右往左往しているな」と見るか、見方はいろいろである。
私は、「皮肉屋」と言われるでしょうが、後者の見方をしています。
上記の政策については評価しています。
しかし、以下はどうでしょうか。

・主要な民間発注者団体に必要経費を適切に見込んだ適正価格での契約を求める。
・技能労働者の賃金、適正水準確保へ
・若年技術者・技能者の雇用、経審改正で加点措置適用

大義名分としては正しいのですが、民間会社に対して、国がそこまで強制すべきでしょうか。
それでは、ほとんど社会主義国です。

実際、そうした政策とは裏腹に、市場では「2016年問題」がささやかれています。
今年の夏以降、首都圏で工事が集中するという予想が立てられています。
その中で、1次下請けが低価格受注に直面するであろうという予測です。

業績が回復したとはいえ、大手の営業利益率はさびしい限りです。
大成4.0%、清水2.8%、大林2.2%、鹿島2.1%
大手がさらなる増益を狙うとすると、その直撃を受けるのは1次下請けです。
しかし、専門工事業者の団体を率いる雑賀会長は、ことあることに激を飛ばしています。
「安値にはノーと言おう」と対決姿勢を前面に出しています。
1次下請会社は、板挟みで、収益悪化に見舞われることが確実です。

このジレンマを解決する手段は、生産性の向上しかないのですが、重層下請け構造がネックとなって、さっぱり進まないのが現状です。
国交省が矢継ぎ早に打ち出す政策に、重層下請け構造を壊す意図があるのかどうかは不明です。
ですが、今のところ、その意思は薄く、「下手な鉄砲も数打ちゃ・・」のようです。
抜本的な政策が待たれますが、今の国交省にその力があるかどうかは疑問です。