これからの近未来経済(17):岸田首相は勇気を持て

2022.05.16

「悪貨は良貨を駆逐する」
有名な言葉ですが、岸田首相はこの意味をどう捉えているのでしょうか。
 
コロナ禍とウクライナ侵攻は日本経済にも大きな影響を及ぼしています。
バブル崩壊後の対応を誤り続けた末に今回の2つの災禍に襲われたことで、日本への影響はことさら強くなっています。
 
この間、3年半の民主党政権時代がありました。
それゆえ、自民党の責任だけを問うわけにはいきません。
日本の致命的な欠陥は、与野党を問わず政治家の能力があまりにもお粗末なことです。
特に、経済に対する能力の低さが深刻です。
 
先の戦争で壊滅した日本経済を立て直したのは、吉田茂を始めとする自民党政権です。
憲法9条を利用して軍事は傭兵(米軍)に任せ、すべての投資を経済立て直しに集中させたのです。
この政策は的確で、1980年代には「世界に敵なし」と言われるほどの経済的発展を遂げました。
 
しかし、時代は過ぎ、その先を先導する能力を持つ政治家はいなくなっていました。
米国は、そんな日本に対し、経済戦争を仕掛けてきました。
日本経済の主力であった半導体産業を締め上げ、技術を中国と韓国に強制移転させました。
(米国は、今では多少後悔しているようですが・・)
もう一つの主力の自動車産業は、トヨタやホンダの奮闘で、どうやら生き残りました。
もし、いま、自動車産業が半導体産業のように衰退していたらと考えると恐ろしくなりますね。
 
もはや、政治主導の経済ではダメな時代に入っています。
バブル崩壊から30年、未だ日本経済が底辺を這い回っているのは、政治が主導を取り続けているからです。
補助金漬けで、本来、存続する力のない企業を活かし続ける政策が続いています。
そうした企業の安値攻勢、製品の質の悪化、詐欺的商法の温存が、経済再生を阻んでいます。
その結果、自立している健全な企業が圧迫を受け、苦しめられています。
まさに「悪貨は良貨を駆逐する」現象です。
 
アベノミクスは間違いではありませんでしたが、当の安倍元首相が本質を理解せず、肝心の第三の矢「規制緩和」で腰砕けになってしまいました。
そのことで、規制に頼る企業が生き残り、新たな起業の芽が摘まれてしまっています。
安倍さんの責任は重大ですが、もはや終わった人です。
 
必要なのは「事業再構築補助金」ではなく、価値を生み出せない企業の淘汰なのです。
そこで、現首相の岸田さんに問いたいのです。
「悪者になる勇気があるか?」とです。
次回に続けます。