これからの近未来経済(15):山なり多重回帰曲線型経営(その6)

2022.03.14

弊社は奇跡により「倒産やむ無し」の事態を乗り越えましたが、この時「会社整理の対局にある経営政策とは何だろうか」と考えました。
この山なり多重回帰曲線の「改革域」の先に待つのは「危機領域」そして「整理領域」です。
ここを回避する領域とはなんだろうかと考え続け、ひとつの結論に達しました。
私は、それを「第二成長域」と名付け、理論構築を始めました。
そこで気付いたことは、「改革域」がある程度の成果を上げた時、その先にバラ色の未来があると考えずに、新たな経営戦略に切り替えることが必要ということでした。
つまり、この「第二成長域」は、それまでの経営を捨て、新たな経営を始めることを意味します。
 
実は、ここで経営トップが変わることが一番良い方法なのです。
それも20年以上年が離れた世代交代による交代です。
大企業の場合は、同世代あるいは10年未満の若い役員の昇格が一般的なパターンでしょうが、大企業はそれでも良いでしょう。
人材が豊富にいるからです。
しかし、中小企業は経営人材に乏しいのが普通なので、この年齢差が重要になります。
 
世襲かどうかは大事な要素ではありません。
ですが、世襲の場合の成功確率が高いのは事実です。
それは、実の親子であれば20年以上年が離れているのが普通で、確実な世代交代となるからです。
もちろん、後継者が「新たな経営戦略を持っている」ことが最重要の要素であり、先代がその戦略をどう支えるかが次に重要な要素です。
世襲でない場合は、この2つの要素は、さらに重要となります。
「引退後は楽隠居」も無ければ、先代が「院政を敷く」経営でもいけません。
そして、その後継者のブレーンとなる人材発掘が第3の要素ですが、その話は次回以降で・・
 
トップが交代しないで「第二成長期」に入る場合は、トップが自らを新しい経営者に作り変える必要があります。
しかし、「よし、きょうからオレは変わるぞ!」と言って変われるくらいなら誰も苦労はしません。
すぐに元の木阿弥になるのがオチです。
ゆえに、組織の構造改革が必須なのです。
新たな経営幹部の登用および次世代の若者の育成が根本の要素です。
その上で、新たな商品やサービス、市場開拓などに挑戦するのです。
 
この「第二成長域」に必須の戦略要素は「投資」です。
それも「改善のための投資」ではなく「経営を変えるための戦略投資」です。
「改革域」の成功で蓄えた利益を失う前に、積極的にこの投資を行うことです。
これは「言うに易し、行うに難し」の典型のような政策です。
順調に経営が回っている企業ほど、経営を変える投資には及び腰になります。
ゆえにトップ交代が必要であり、交代できない場合は、トップが一歩後ろに下がり、若い後継候補の支援と育成に自分の役割を変えていくことです。
 
しつこく言いますが、「山なり多重回帰曲線」理論では、「第二成長域」の経営方針を「新たな投資」に絞っています。
それまでの経営者は、この「新たな投資」の支援に回るのです。
資金調達の支援はもちろん、投資回収、市場開拓などの多方面に渡る支援策を、軍師的立場で考え、実行への後押しに徹することです。
読者のみなさまは、この理論の「山なり」という意味、そして「多重回帰」という意味が分かってきたと思いますが、最終回は、その解説を。