2019年1月31日(経済、経営)

2019.02.01

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2019年1月31日号
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発行日:2019年1月31日(木)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2019年1月31日号の目次
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★中国の景気減速が止まらない(2)
★韓国はゴミで埋まる
☆世界は新たな技術革新の時代に入ってはいない
☆企業における社長の力(7)
 
http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、今年最初の経済、経営の話題をお送りします。
 
米中貿易戦争が本格的な経済戦争に発展してきました。
世界経済にとって短期的にはマイナスですが、中国の野望阻止というプラス面も考える必要があります。
また、貿易や観光で中国頼みが強まっている日本にとっての警告というプラス面もあります。
一国に傾倒する経済は弱いですから。
 
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┃★中国の景気減速が止まらない(2)                ┃
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日本や欧米が政府調達からファーウェイを締め出したことを「不当だ」として中国は反発を強めていますが、自業自得の感があります。
中国は「国家情報法」なる法令によって、自国企業や自国民に中国政府への情報提供の協力を義務づけています。
つまり、政府が自国民や自国企業に対し、スパイ行為を強制しているわけです。
ファーウェイ問題は、こうした実態を米国が全世界に示したことが重要なのです。
中国からは、人々がアップルのiPhoneを壊すシーンの映像が流れていますが、世界に対してはマイナス効果を加速させるだけです。
実際、外国企業が中国事業から撤退する動きが拡大しているといいます。
 
米国の強硬姿勢に、中国は防戦一方になっています。
近く制定がうわさされている「外商投資法」という新法があります。
一言で言うと「外国企業に対する技術移転の強要を禁止する」という法律です。
「ほんとう?」と耳を疑いますが、中国では政府当局の思惑一つで法律は恣意的に運用されます。
この法律も、実効的な意味合いはゼロでしょう。
かつて、中国とのビジネスで何度も経験したことです。
 
そう、中国は民主主義国家ではなく、一党独裁国家なのだということを、ビジネス上も頭から離してはいけないのです。
その中国が、このように屈辱的ともいえる法律の制定に動いているのは、米中貿易戦争の「90日の休戦」が2月末に期限を迎えるからです。
中国は、形だけでも米国に「恭順する姿勢」を示さなくてはならないほど、追い詰められているのです。
この緒戦はトランプ大統領の勝ちというところでしょうか。
 
中国の公式発表では、減速しているとはいえ、GDPの伸び率はなおも6%台を維持しています。
しかし、本当は3%台に下落しているといわれますし、マイナス成長に転落しているとする説もあります。
それを証明するように、外貨準備高が急減して、人民元の下落につながってきています。
1ドル=7.0元が攻防ラインと言われていますが、一時6.9元まで下落しました。
最近は6.7元まで戻していますが、中国当局が介入していると思われます。
そのくらい当局は必死なのです。
一方の外貨準備高は、2014年をピークに減少傾向が続き、3兆ドルを切る目前です。
中国経済の高度成長期は終わったということです。
 
現政権がこうした事態を座視できるわけはなく、旅行や買い物の規制に動くのも時間の問題と見られています。
中国人観光客による日本での消費は、2017年度で1兆7000億円に上ります。
波及効果を加味すると、3兆8000億円と言われていますので、中国政府が規制に乗り出せば、日本経済へもかなりの影響が出ます。
米中対立にも関わらず、安倍首相が中国に秋波を送るのも“止むを得ない”ということでしょうか。
 
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┃★韓国はゴミで埋まる                       ┃
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あまり大きなニュースになっていませんが、中国がゴミの輸入禁止処置を打ち出しました。
実は、世界のゴミの半分は中国が処理してきたのです。
もちろん、それがおカネになるからですが、ゴミの受入れで国内の環境が急激に悪化してきました。
やむなく、中国政府は、昨年7月にプラスチック、ビニール、繊維、金属など24品目の資源ごみの輸入を禁止することをWTO(世界貿易機関)と各国に通知したのです。
 
その結果、どうなったか。
世界中から韓国に廃プラスチックが集まってきたのです。
韓国の規制が緩いことが原因ですが、これまで韓国は、そうしたゴミを中国に輸出して利ざやを稼いでいたのです。
ところが、中国の輸入禁止令で、中国への輸出が92%も減り、事実上ゼロになりました。
結果、行き場がないまま、大量のゴミが韓国に集中しているのです。
 
では、韓国もゴミの輸入禁止を打ち出すかというと、そうはいかないのです。
こうした廃プラスチック類の多くはペットボトルですが、外国製(特に日本製)は価格も安いうえに品質が良いのです。
当然、韓国の資源ごみ業者は、国内産のゴミを避け、外国製を優先して処理します。
しかし国内産のゴミの受け皿だった中国から拒否され、国内産のゴミは行き場がなくなっているのです。
ゴミの質まで悪い韓国自身が、自国をゴミの山にしつつあるのです。
 
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┃☆世界は新たな技術革新の時代に入ってはいない           ┃
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技術の歴史を顧みると、革新的な技術発明の時代と、その技術の応用発展の時代が交互に来ることがよく分かる。
1790年代から1800年代中期にかけて起きた最初の産業革命、そして1890年代から1930年代に起きた第二の産業革命を推進したのはエネルギー革命だった。
そのエネルギーは、最初は「蒸気」そして第二は「電気」だった。
その後、1950年代から始まった原子力の利用は、第三のエネルギー革命、そして第三の産業革命になると言われたが、スリーマイル島から始まった3回の原発事故で、あっけなく止まってしまった。
 
その代わりに、1970年代から始まったのがIT(情報技術)革命であり、これが第三の産業革命と言われる。
そして、インターネットがもたらした通信技術の革命が第四の産業革命だという意見がある。
その代表がAIと呼ばれる人工知能だというのだが、大きな誤解がある。
人工知能と呼ぶには、ハード(チップ)とソフト(プログラム)が、共に次元の違う進化を遂げる必要があるが、両者とも1950年代のまま基本的には一歩も進化していない。
 
つまり、現代は、まだ第三の産業革命の時代であり、その応用発展の時代なのである。
インターネットも第三の時代の産物に過ぎず、第四の産業革命は、まだ先の話なのだ。
 
過去、技術としての電気が蒸気を超えるのに20年かかり、それが家庭にまで普及するには40年かかったといわれる。
それはそうだ。
蒸気は、その場で作りその場で使えるエネルギーだが、電気は作る場と使う場が遠く離れている。
その間をつなぐ送電網の装備だけでも長い時間と投資が必要だし、産業や家庭で標準的に使用できるようにするには、電気を使う機器類の発明や仕様の標準化、法整備など気の遠くなるような努力と時間とカネを必要とした。
この期間を応用技術の発展期間という。
 
AIと呼ばれた最初のマシンは、IBMが開発したスーパーコンピュータ「ワトソン」である。
2011年、ワトソンはTVの人気クイズ番組の「ジェパディ」に挑戦し、賞金100万ドルを獲得した。
その5年後、Google傘下のDeepMind社が開発した「アルファ碁」が、世界最強の棋士と言われていた韓国のイ・ドルを破った。
そこから一気に「AI」と言う言葉が巷で言われ出した。
だが、所詮はプログラミングの世界であり、チップそのものが思考しているわけではない。
だから、私はそれらをAIとは呼びたくない。
あえて言うなら「AI型ソフトウェア」と呼ぶべきであろう。
 
つまり、2010年からは「第三の産業革命」の応用発展の時代に入ったという認識こそ正しいのだ。
では、それがいつまで続き、いつ「第四の産業革命」に入るのであろうか。
 
予測に過ぎないが、今までの2回の産業革命での応用発展は約40年かかった。
とすれば、現代の応用発展期は2050年代まで続くことになる。
そして、そこからの20年間で真のAIコンピュータが誕生すると予測できる。
すでに、その技術の芽は出来つつある。
「量子コンピュータ」とも「光コンピュータ」とも呼ばれるものである。
そうしたチップは、今の2進法チップではなく10進法チップとなるのではないか。
いや、複合化した10進法チップとなるであろう。
そこから人間の頭脳に近づくことができるチップが出来るのではないか。
 
人間がそのコンピュータに触れるのが2070年代だとすると、残念ながら私は生きていない。
主役は「これから生まれてくる子供たち」となる。
それも「これから50年後に生まれてくる子供たち」であろう。
 
さらに、それから40年を経た22世紀には、再びエネルギー革命が起き「第五の産業革命」の時代に入るであろう。
そのエネルギーとは「核融合」である。
ゆえに、その時代につなげるためにも、今の核分裂の原子力技術を絶やしてはいけないのである。
私が「原発廃絶」に反対する理由はそこにある。
 
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┃☆企業における社長の力(7)                   ┃
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前回の続きです。
自分なりの「ブルー・オーシャン戦略」として「競争前の競争に勝とう」で企業内の競争を勝ち抜いてきましたが、それも所詮は「コップの中の勝ち負け」であり、「井の中の蛙」だったのです。
 
創業してからは、そのことを思い知らされる毎日でした。
自信があった建築の技術は、大海の中では「その他大勢」としか見てもらえず、最下層の評価しかもらえませんでした。
「世の中が悪い」と嘯(うそぶ)いたところで、意味はありません。
この評価を現実と受け止めて進むしかありませんでした。
 
その打開の道を示してくれたのは市場でした。
「そんなこと分かっている」と言われる方が多いでしょうが、本当に分かっておられるでしょうか。
「市場に問う」とか「答えは市場にある」とか言われますが、「市場」とはあいまいな言葉の代表という認識が必要です。
あいまいなままの「市場」に攻勢を仕掛けられるのは、資金力の豊富な大企業だけです。
中小企業は、核になる一点に攻勢を集中させるしか道はありません。
 
そして、その核になるのは、顧客企業のキーマンに他なりません。
優れたキーマンを有する企業を市場の中から見出し、そのキーマンに接触しなければならないのです。
これが中小企業の「ブルー・オーシャン戦略」の第一歩です。
そして、そのキーマンの懐に飛び込む武器を作り磨き上げることが必須です。
 
その武器に必要なのは「先進性」という刃です。
つまり、先進性の追及こそが企業の命であり、「ブルー・オーシャン戦略」つまり「競争前の競争に勝つ」ための武器なのです。
 
ただし、こうした先進性のある武器(商品)の開発投資はバカになりません。
弊社は、年により上下がありますが、平均すると、売上げの20~30%を開発投資に投じています。
「新商品開発」の期間に入ると、この比率が40%を超えるため、経営は火の車となります。
付き合いのある経営者からは、だいたい「狂っている」と言われますが・・。
 
このように、私のブルー・オーシャン戦略は、両側が崖になっている山の稜線を歩くようなものといえるかもしれません。
しかも、前方は霧で見えず、一歩間違えれば奈落の底に落ちるような稜線です。
 
若い頃、後立山連峰の剣岳に冬季に挑んだことがあります。
頂上を目前にして、両側が深く切れ込んだ尾根に出ました。
吹雪吹きすさぶ尾根に一方足を踏み出しましたが、それ以上は進めませんでした。
そこには確実な死が待っていたからです。
あの光景は今でも網膜に焼き付き消えることがありません。
経営者になってからは、あの時の光景を見続ける毎日でした。
 
そして、経営の稜線を踏み外しました。
その話は、次回に。
 
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<編集後記>
前号の「インド人は数学に強い・・」の続きです。
米国で働いていた時、あるインド系の技術者と親しくなりました。
彼の両親ともインドからの移民でしたが、彼は米国で生まれ育ち、米国籍を持つ米国人でした。
スタンフォード大学の情報工学科をトップで卒業した秀才ですが、“いいヤツ”でした。
彼が言うには「インド国内のIT企業は少なく、しかも高位カーストに所属している人しか入れない」ということでした。
つまり、彼ら米国人となったインド人のイメージだけで「インド人は数学に強い」という幻想が、世界に広まってしまったということです。
 
実際、インドでは理工系学部は人気がなく、理系大学の閉鎖が相次いでいるといいます。
こうしたインドの発展を阻害している最大の要因がカースト制度です。
我々が知るカースト制度は「バラモン(司祭)、クシャトリア(王族、騎士)、ヴァイシャ(一般庶民)、シュードラ(奴隷)」の4階層ですが、その中でも細かく分かれ、全部で5000くらいの階層があるとのことです。
「日本に生まれて良かった」と言いたいですね。
 
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