2023年9月15日号(国際、政治)

2023.09.19

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2023年9月15日号
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発行日:2023年9月15日(金)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2023年9月15日号の目次
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◇ロシアと北朝鮮、そして中国の関係は?
◇情報化が進む中国の闇の実態
◇空母化する「いずも」「かが」は戦力となるのか
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
ロシアでのプーチン・金正恩会談は、マスコミが騒ぐほどの意味はないと思っています。
ウクライナの泥沼で喘ぐロシアと経済停滞に喘ぐ北朝鮮の“弱り目”同士の「化かし合い」です。
一方、この会談を猜疑心いっぱいで見ているのが中国です。
TV画面で“おなじみ”の女性報道官は、記者の質問に対し、「北朝鮮指導者のロシア訪問に関することは、北朝鮮とロシアの間のスケジュール」と素っ気ない回答。
「ふん!」といった表情が印象的でした。
 
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┃◇ロシアと北朝鮮、そして中国の関係は?          ┃
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プーチンは、金正恩との会談場所をロシア・アムール州のボストーチヌイ宇宙基地にし、その場で北朝鮮が切望する人工衛星(軍事偵察衛星)の打ち上げに協力する旨の発言を行いました。
人工衛星打ち上げの連続失敗で焦る金正恩に対して「これが欲しいだろう」という露骨な誘いです。
本来、権威主義者のプーチンにとり、格下の北朝鮮の指導者を同格かのように扱うことは、死ぬほど嫌なはずです。
でも、そうは言っていられないほど、ウクライナ侵攻が失敗に終わる公算が高くなっているということなのでしょう。
 
その北朝鮮の軍事支援ですが、旧ソ連製の旧式な武器ばかりで、現在の事態を打開する力はないと思われます。
現実的な支援と言われている弾薬類ですが、一定数の量を確保できても質の悪さには定評があります。
実は、すでに秘密裏にロシア軍に供給されていると言われていますが、前線での評判は散々です。
不発弾も多く、事故も起きていると言われています。
こうした話は“うわさ話”の範囲を出ないのですが、「あり得る」話ではあります。
そんなことは、当のロシアは承知なのでしょうが、それでも切望する姿勢をここまで露骨に見せるほど切羽詰まっているのでしょう。
 
しかし、金正恩が人工衛星以上に切望する原子力潜水艦の建造への協力は、さすがに危険すぎて実行できないと思われます。
北朝鮮は、ロシアの技術者を含めた技術供与を要求すると言われていますが、ロシアにとり「割の合わない話」です。
一方で、必死の金正恩は、ウクライナ侵攻を「正義の偉業」と発言し、プーチンを持ち上げることに懸命です。
さて、プーチンの返答はいかにですが、“うやむや”にごまかすのではないでしょうか。
 
そもそも、ロシア国民は北朝鮮が嫌いです。
このような「交換バランスがロシアに不利」な話を飲んだら、プーチンの地位も危うくなる可能性があります。
しかも、この2つを実行すれば、常任理事国としてのロシアが国連決議違反を犯すということになります。
大っぴらに実行はできないので、武器ブローカーを通じて行うでしょうが、米英の情報機関の目をごまかせるはずはありません。
国連の存在意義に関わる事態であり、やむを得ずロシアへの配慮を行っている他のBRICS諸国も擁護はできないでしょう。
 
また、北朝鮮を子分としている中国との関係も微妙となります。
中国はロシア・北朝鮮の接近自体には「意味はない」との姿勢を貫いていますが、警戒感も強く、ロシアが望む「3カ国連合」はとても無理でしょう。
ロシアと北朝鮮の両国にはメリットがありますが、中国にはデメリットのほうが大きいからです。
中国にとり両国は、軍事ではなく外交的な道具に過ぎないのです。
 
「しかし、日本近海における中国・ロシア艦隊の共同軍事演習が増えているではないか」と言われるかもしれませんね。
確かに増えていますが、訓練の内容はデモンストレーションの範疇を出ていません。
米国と同盟国による「リムパック」はもちろん、日米両軍(あえて自衛隊も“軍”と呼びます)による共同軍事演習に比べて質・量とも大きく劣っています。
 
ただし今後、ロシアと中国の軍事協力は加速するでしょうから、対抗手段の強化は必要です。
日本は、日米豪印のQUAD(クアッド)の強化など、米国とだけでなく民主国家との連合を政治・外交だけでなく軍事面でも強化すべきです。
今の世界情勢では、それが平和への道なのです。
 
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┃◇情報化が進む中国の闇の実態               ┃
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中国がコロナ対策アプリを国民の統制に使い出しました。
「やっぱりね・・」と言うしかありません。
中国ではスマホ決済が爆発的に普及し、日本でも「中国はIT先進国」と報道されています。
それは確かですが、その裏を見る必要があります。
 
まず、地方における金融機関の少なさなどの社会インフラの貧弱さがあります。
大都市は日本以上の繁栄ぶりですが、地方へ行けば光景は一変します。
金融機関の支店などは少なく、サービスも最悪な状態です。
ゆえに、スマホ決済を進めて、こうしたインフラの貧弱さを補っているといえます。
単純に「IT先進国」とは言えない事情があるのです。
 
また、中国政府にとっては、ITは国民監視の道具として非常に都合が良いという事情もあります。
例えば、冒頭に述べたコロナ対策アプリです。
この対策アプリには以下の「健康コード」が表示されます。
「赤=感染、黄=濃厚接触疑い、緑=異常なし」
コロナ禍においては、この登録内容を交通機関や商業施設に入る時に提示し、緑以外は制限されてきました。
この情報は中央政府が一手に管理していて、今では政府が国民の行動監視に使っている一端が暴露されました。
不動産事業の破綻が相次ぐ中、銀行への取次騒ぎの制御に使われていました。
暴力的な手段に訴えた市民は、しっかりと当局に「赤=監視対象」としてマークされています。
このように、他のアプリ情報も政府の管理下にあり、国民の個人情報は完全に制御されているのです。
 
かつて、トランプ政権が「TikTok禁止」を打ち出しました。
バイデン政権になり、この禁止は撤回されましたが調査は継続しています。
それによると、外国人を含めた個人情報が抜き出されていることが発見されています。
 
今の中国の市街は「監視カメラだらけ」で、個人の行動はすべて当局に把握されています。
私は、「中国には行かない、中国とはビジネスをしない、中国人とは付き合わない」の“三無い”を実行するしかないと思っています。
中国人の友人もいるので、非常に心苦しいのですが、習近平政権が続く限り、やむを得ないと思っています。
 
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┃◇空母化する「いずも」「かが」は戦力となるのか      ┃
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日本は、離島の防衛力強化を目的に、ヘリコプター空母の「いずも」と「かが」の2艦を軽空母に改修中です。
この改修の目的は、当然、海洋進出を進める中国海軍への対処です。
では、両艦は果たして中国海軍に対抗する戦力に成り得るのでしょうか。
 
まず、両艦の大きさを確認します。
基準排水量26,000トン、長さ248m×幅38mですから、軽空母としては大きいレベルです。
米国最大の空母ジェネラル・フォードと比較してみましょう。
同空母は、基準排水量101,600トン、長さ333m×幅78mの大きさです。
排水量において3.9倍、甲板の広さは約2.7倍となりますから、巨大すぎて、ちょっと比較にならない規模ですね。
 
では、中国の空母とはどうでしょうか。
中国海軍は、現在3隻の空母を擁していますが、数年後には4隻体制になると言われています。
しかし、1番艦の「遼寧」はウクライナから海上カジノにするといって買った艦を改造したもので、実戦に使えるかどうかという代物です。
2番艦の「山東」は国産ですが、スキージャンプ方式の戦闘能力の劣る空母です。
3番艦の「福建」は、最新の電磁カタパルトを備えた米国型の空母ですが、進水しただけで、完成まではかなり時間がかかりそうです。
しかも、米国でも故障に悩まされている電磁カタパルトを、原子力エンジンを持たない「福建」が運用できるのか、世界の軍事専門家から疑問視されています。
つまり、現時点で「いずも」型が相対するとしたら「山東」だけとなります。
 
その「山東」のスペックは以下のとおりです。
基準排水量56,000トン、長さ315.5m×幅38m(飛行甲板75.5m)ですから、大きさだけは、米空母より少し劣る程度となります。
 
次に搭載可能な戦闘機などの固定翼機の数ですが、「いずも」型は10機と言われています。
米空母ジェネラル・フォードは75機ですが、これは甲板上にも並べた総数です。
「いずも」型も、同様に甲板にも並べれば16機と言われています。
甲板の広さの比率からいえば、もっと搭載できそうですが、そうはいきません。
航空母艦は、搭載機の格納だけでなく戦闘に必要な様々な装備にスペースを取られますし、艦の乗組員以外に搭乗員や整備要員、戦闘指揮要員などの配置場所や居住スペースも必要です。
かつて、米空母内部を見学したことがありますが、最下層に広がる居住区は、食堂や雑貨屋、床屋まであり、まるで本物の町にいると錯覚するくらいの広さでした。
 
一方、中国の「山東」の搭載機数は36機と「いずも」型の倍を超えます。
「そんなに差があって大丈夫なのか」という声が聞こえて来そうですが、以下の2点で「いずも」型が優位にあるといえます。
まず、「いずも」型が搭載する“F35B”は第5世代のステルス戦闘機ですし、垂直離着陸が可能です。
同機は、短時間での発艦が可能で、すぐに上空で戦闘態勢の編隊を組むことができます。
それに対し「山東」に搭載される“J15”は第4世代の戦闘機でステルスではありません。
さらにスキージャンプ方式での発艦は連続発艦が難しいという難点があり、燃料やミサイルなどの搭載量も最大量の50~60%と言われています。
編隊を組むための必要時間で「いずも」型に大きく劣ります。
 
唯一、行動範囲が“F35B”の900kmに対し、“J15”は3000kmと優位に立っています。
しかし、防衛に徹する日本に対し、攻撃側の中国機の行動範囲の広さは優位とはいえません。
日本空母は離島防衛が主任務ですから、日本本土から遠く離れた海域で戦闘するわけではありません。
ゆえに、この行動範囲で十分であり、むしろ搭載する燃料の少なさは戦闘では有利に働きます。
さらに、本土の基地からは、より強力な“F35A”の援軍がやってきます。
その到着までの時間が稼げればよいわけです。
この続きは次回に。
 
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<編集後記>
8月24日から福島原発の処理水の放出が開始されましたが、当然のごとく健康被害など皆無であり、トリチウムもほとんど検出されないレベルでしかありません。
未だに「汚染水」というウソを垂れ流している中国や韓国野党は、どんどん分が悪くなっているようです。
日本でも、野党の一部議員が未だに騒いでいますが、いつものことです。
今回は、日本政府の冷静な対応と世界に向けた徹底した広報戦略が功を奏したといえます。
今後も気を緩めることなく、放水を続け、科学的に正確な情報を世界に広報し続けることで「災い転じて福となる」にして欲しいものです。
 
 
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