2018年3月31日号(経済、経営)

2018.04.17

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2018年3月31日号
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発行日:2018年3月31日(土)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2018年3月31日号の目次
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★総理、ピント外れですよ
☆ヤクザ型民主主義
★英語教育が間違った方向へ
★自動運転車の事故
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は経済、経営の話題をお送りします。
 
トランプ大統領のスーツは、イタリアの高級ブランド、ブリオーニです。
1着50万円以上といわれるスーツですが、バカ長いネクタイが悪いのか、そんな高級品には見えません。
長女で大統領補佐官のイヴァンカ氏は、抜群のスタイルでおしゃれも相当なもの。
大統領へのアドバイスはしないのでしょうか。
米国にもラルフローレンなどのブランドがありますが、スーツは「アメリカン・ファースト」ではないようで。
 
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┃★総理、ピント外れですよ                     ┃
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日本商工会議所の総会に招かれた安倍首相は、「全国の中小企業は賃上げを」と発言しました。
大手企業の春闘回答を念頭に、「昨年を上回るペースでのベースアップや、私が申し上げてきた3%を上回る賃上げがトヨタ自動車などで実現した」と強調した後、「賃上げこそが、デフレ脱却の鍵となる。(大手の)賃上げの暖かい風を、全国津々浦々にしっかり広げていくためにもみなさんに協力いただきたい」と、中小企業に対する賃上げを求めました。
 
はっきり言って、この発言は不快です。
安倍首相は、自分の力で大手企業に賃上げさせたのだと言いたいのかもしれませんが、同じ図式を中小企業に当てはめるのは傲慢です。
いったい、いつから日本は社会主義国になったのでしょうか。
賃上げは、個々の企業がそれぞれに考え、決定することです。
市場活性化への有効な政策もなしに、賃上げ強制は止めていただきたい。
 
さらに演説では、中小企業の賃上げに向け、生産性向上が必要ということで、政府が進める「中小企業100万社へのIT導入支援」に商工会議所の協力を求めました。
ここまで来ると、ほとほと呆れてしまいます。
小学生にも笑われてしまうレベルです。
 
弊社の主力事業は、自社開発の基幹業務システムを使った企業経営の効率化ですから、こうした発言を本来歓迎すべきなのかもしれません。
しかし、企業経営は「IT導入→生産性向上→賃上げ」というような単純なものではありません。
こんなこと、私が言うまでもなく、読者のみなさまは十分に認識されていることと存じます。
 
安倍首相に申し上げたいのは、短兵急に結果を求めるのではなく、地味で良いから中小企業が着実な歩みを刻めるような「地に足が付いた」政策を立案・推進することです。
ご自分の任期中に、目に見える成果が達成できなくても良いではないですか。
十年先、二十年先に、「あの時の政策が実を結んできたね」と思えればよいのです。
 
森友問題を蒸し返して国政を停滞させている野党に何の期待も出来ない現在、国民は現政権に期待するしかないのです。
森友問題の真相など、もう分かっていることです。
新年度には、着実性が感じられる政策を打ち出して欲しいものです。
 
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┃☆ヤクザ型民主主義                        ┃
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暴力と非業がまかり通っていると思われているヤクザの世界ですが、意外と民主主義的な側面があるのをご存知でしょうか。
こんなことを言うと「おまえはヤクザの味方か?」と言われるでしょうが、まあ、聞いてください。
経験と学びからの考察ですから。
 
大学生の時、家業の水商売を手伝っていた話は、このメルマガで何度も書きました。
その店は、神奈川県川崎区の元住吉駅の近くにありました。
その一帯は、関東で一、二を争う指定暴力団、住吉連合の縄張りでした。
店の経営が軌道に乗った頃から、毎日のようにヤクザがやってきて、みかじめ料(つまり用心棒代)を出せと言ってきました。
「そうすれば店を守ってやる」と言うのです。
同業者の多くは払っていたようですが、私は拒否しました。
 
読者のみなさまは、拒否して脅されただろうと思われるでしょうね。
たしかに脅されました。
身の危険に会ったこともあります。
ただし、一番懸念されたことは起きませんでした。
それは、店の営業妨害です。
冷静に考えれば、それは当然のことなのです。
彼らは、この店から利権を得たいのです。
その商売の妨害をしたら、元も子もなくなってしまいます。
映画やドラマでは、そうした光景が出てきますが、実態は違うのです。
別の付き合い方を考えてくるのです。
 
こうしたことが分かっただけでも、良い経験になりました。
さらに、もっと大事なことを学びました。
彼らを恐れず、しかし、自分と同等の人間として、同じ目線で彼らを見ることです。
そうした結果、妙な話ですが、友人のように話せる人間も出てきたのです。
 
ある日、彼から面白い話を聞きました。
江戸時代のヤクザの話です。
演劇やドラマでよく描かれるヤクザ同士の抗争ですが、大半が作り話で、あんなことは無かったと言うのです。
たしかに縄張り争いは激しく、決闘に至ったことは多かったといいます。
ただし、その決着方法がユニークなのです。
決闘当日、決闘場所に双方が集結するのですが、その時、集めた人数で勝敗を決めるのです。
Aが50人、Bが49人だったら、Aの勝ちなのです。
こんな民主的(?)な決着方法が、江戸時代のヤクザの紛争解決方法だったのです。
 
もちろん、講談などで名高い「荒神山の決闘」のように武力闘争に発展するケースもありましたが、
それは例外的なケースで、「あれは感情が絡んだ末の不毛な決着だった」と、ヤクザの彼が言うのです。
そして、それは現代でも同じだと言いました。
つまり、ヤクザの世界には「多く集めたほうの勝ち」という彼らなりの「民主主義」が機能していたのです。
これって、「選挙で政権を決めること」と大差ないのでは・・。
 
彼は、私が建設会社で仕事をしていた時も、水面下でのトラブルに的確な助言をしてくれました。
まったくの見返り無しにです。
彼は、自分は非合法な存在だからと、私との付き合いを決して表に出すことはなく、また助言以外のことはしませんでした。
だから、私も彼の名前は忘れましたし、思い出のひとつにしています。
また、上記の話も、読者のみなさまへの助言に過ぎません。
でも、彼を懐かしいと思う自分もいることはお伝えしておきます。
 
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┃★英語教育が間違った方向へ                    ┃
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英会話とダイエットは、永遠のブームだと言われています。
それだけ、「英語を話したい」、「痩せたい」という人が男女を問わず多いということです。
さて、ダイエットの話は「またいつか・・」として、今回は英語教育の話をしたいと思います。
 
2020年から施行すると文科省が決めた「新学習指導要領」によると、小学校高学年から英語を正式教科にすることとなっています。
「やれやれ、子どもたちがかわいそう」と思っていたら、もっと呆れたことに、中学校では英語の授業を「基本、英語で行うことになる」とか。
中央官庁の官僚の頭の中はどうなっているのでしょうか。
 
長らくこの国では、東大信仰もあって、キャリア官僚は「優秀な人」と思われてきました。
いや、いまでも多くの父母が、我が子を東大に入れようとやっきになっていますから、信仰は不滅のようです。
 
しかし、いま騒いでいる文書書き換え問題を考えてください。
明らかになったのは、安倍首相の関与ではなく、官僚の劣化です。
劣化は財務省官僚だけではありません。
文科省官僚も、こんな“バカ”なことで子どもたちの英語力が上がると考えているのです。
 
どこかのお偉い評論家先生が「英語は学問ではなく、コミュニケーション手段だ」と言いました。
たしかに間違ってはいません。
だが、言葉が不足しています。
「しかし、会話の下敷きとなる知識がなければ、コミュニケーションは成り立たない」という言葉です。
 
文科省の官僚は、「コミュニケーション=会話」と単純に考えてしまっているようです。
私は、米国で仕事をした経験がありますが、その時に学びました。
「中身のない話を“流暢な英語”で話す者が一番蔑(さげす)まれ、たどたどしい英語でも、中身のある話ができる者が尊敬される」ことをです。
 
私の英語は一応の会話ができる程度ですが、一緒に仕事をした米国人も交渉した相手も、真剣に聞いてくれました。
彼らの話が分からない時は、分かったふりはせず、何度も聞き返し、それでも分からない場合は紙に書いてもらいました。
でも、彼らは私をバカにしませんでした。
 
知識を身に付けるには、会話だけでは不足です。
やはり、読み書きは大切です。
そして、読み書き能力の前提は、国語教育にあります。
若い人の国語能力の低下が顕著ですが、これは国の危機です。
文科省は間違えています。
小中学校で一番強化すべき教育は、国語です。
 
国立情報学研究所の新井紀子教授が書かれた「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」(東洋経済新報社)という本を読むと、子どもたちが危機的状況にあることが分かります。
この本には、中高生を対象にした大規模な調査で「教科書に書いてある日本語の文章が理解できない中高生が多い」という実態が書かれていました。
 
教科書に書かれた“常識的な”日本語の文章を、中高生は正確に読み取ることができないというのです。
文科省は、こうした実態を把握した上で、英語教育の拡充を決めたのでしょうか。
官僚の劣化は思った以上に進んでいるようです。
 
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┃★自動運転車の事故                        ┃
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ついに、テスト中の自動運転車が死亡事故を起こしました。
ドライブレコーダーの映像には、車の正面を横切ろうとした自転車をモロ跳ね飛ばす様子が生々しく映っていました。
 
死亡した女性は、自転車を押しながら道路を横断していて、急に飛び出した印象ではありませんでした。
車からみても、跳ね飛ばすまで若干の余裕があったように感じました。
しかし、自動ブレーキはまったく作動しませんでした。
私は、自分の車でも似たような状況を何度か経験しましたが、いずれも、警報が出た時には自動より先に自分でブレーキを踏んでいました。
自動ブレーキの性能は分からないままです。
 
疑問に思ったのは、テスト車に乗っていたドライバーの対応です。
ブレーキも踏まず、何もしていなかったことです。
映像を見る限り、前方に注意していれば、ブレーキを踏めたように思えましたが、ドライバーは完全にリラックスしている様子で、自転車を跳ねた後にびっくりした顔をしていました。
推測ですが、テスト車のドライバーは、自動運転車に絶対の自信を持っていて、このような場合、「絶対に止まれる」と確信していて、気持ちを緩ませていたのではないでしょうか。
 
この事故は、自動運転の認可に大きな影響を与えると思います。
公道でのテストに対しても厳しい制限が加えられる可能性が高いです。
何事にも慎重な日本の警察は、当面、公道でのテストを認めないと思います。
 
近年、「AI=人工知能」として未来社会がすぐにも到来するような風潮がありますが、それは幻想です。
現在のコンピュータ技術は、1947年にフォン・ノイマンが発表したアーキテクチャ(基本理論)から一歩も進歩していません。
つまり、0と1の組み合わせですべてを表現するという理論です。
この0と1を電気信号で送るという方法でコンピュータは誕生しましたが、問題は電気信号の不安定性にありました。
要するに、0が1に変わってしまったり、その逆になることを防ぐ必要があったのです。
それで、5Vの電気で信号を作り、0.8V以下を「0」、2V以上を「1」のように隙間を設けて誤変換を防ぐようにしたのです。
 
しかし、それでも誤変換を完璧に防ぐことはできません。
天文学的な確率とはいえ、誤変換が起きる可能性はゼロではありません。
フォン・ノイマン方式ではない、まったく新しいアーキテクチャのコンピュータが誕生するまで、
コンピュータの誤作動は避けられないのです。
そのことを踏まえて自動運転の是非を考えたいものです。
 
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<編集後記>
行政機関の文書書き換えが、財務省だけでなく、いろいろなところで見つかっています。
3/15号で指摘したように、文書書き換えは、昔から頻繁に行われてきたことです。
森友関連の文書書き換えで、野党やマスコミは「前代未聞」として騒いでいましたが、本当にそう思っていたとしたら、自らの調査能力の低さを恥じるべきですし、知っていったとしたら、とんだ詐欺行為です。
少子高齢化対策など、待ったなしの国政問題をそっちのけにして、未だに無意味な国会を続けています。
一説によると、モリカケ問題にかかった国会の費用は1000億円に及ぶとか。
裏付けの乏しい試算とはいえ、8億円とは比較にならない巨額であることは確かです。
 
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