2020年11月30日号(経済、経営)

2020.12.15


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2020年11月30日号
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発行日:2020年11月29日(日)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2020年11月30日号の目次
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◇これからの近未来経済(1):リモート社会が到来?
◇中国の思惑通りにはいかない(その8)
☆商品開発のおもしろさ(6)
★今後の建設需要(11)
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
 
「やはり」と言うべきか、コロナの第3次感染が拡大しています。
二転三転する政府の対応も感心しませんが、ここぞとばかり批判するだけの野党やマスコミも「同じ穴のムジナ」にしか見えません。
TVに煩雑に登場する“おなじみ”の専門家の意見も、「あんなことなら、誰でも言える」程度の発言しかありません。
彼らが、どのくらいの報酬を得ているのかは知りませんが、私には火事場泥棒にしか見えません。
 
無症状あるいは軽症状で把握出来ていない感染者が、公表されている感染者数の数倍から数十倍いるのだと思います。
もしかすると、私もあなたもその一人かもしれません。
となると、有効なワクチン接種が医療機関に行き渡るまで、感染は広がり続けるということになります。
政府や自治体は、「欧米に比べればまだマシ」と腹をくくるか、経済ダメージを覚悟した上でロックダウンのような強攻策を取るかの決断をするしかないのではと考えます。
 
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┃◇これからの近未来経済(1):リモート社会が到来?        ┃
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前号まで「これまでの経済、これからの経済」を15回に渡って続けましたが、「これから」に絞って、この先の経済を予告的に論じでいきます。
予告ゆえ、実際には外れることも多いと思いますが、そこはご容赦ください。
 
今回のコロナウィルス禍がもたらす“ニューノーマル”な社会とは、AI活用によるリモート社会だとする論調が強まっています。
こうした論者は、「近未来は、人間同士が距離を取り合い、できれば遠隔での付き合いや仕事を主体にする世界になる」ことを想定しているわけです。
そうなれば、人間同士の直接のコンタクトは消え、電子的なコンタクトで生成される電子情報が社会を動かすことになります。
結果として、生身の人間関係が減少し、情報が独り歩きし、その情報が生身の個人を制御するという社会が形成されていくことになります。
やがて、電子的なコンタクトから生まれる膨大なデジタル情報は、リアルなアナログ情報を完全に駆逐することになるかもしれません。
権力による情報コントロールを志向する国家にとって、こんなに都合の良い社会はありません。
その意味でいえば、近年の中国は未来を先取りした国家といえるでしょう。
 
中国は、すでに14億人の国民すべてを網羅したデータベースを構築したといわれています。
それどころか、中国に関係する世界中の人間のデータベースすら構築過程にあることが推測されます。
私のように、長年、孫子などを学んだ上で中国に批判的な記事をネット配信している者は、「危険人物」として、すでにロックオンされているかもしれません。
確証はなく冗談みたいな話ですが、監視システムは、まったく無機質にプログラミングされた手順、条件、数理モデルに沿って情報を収集・分析していくだけです。
そこに、人間的な感情要素が入り込む余地はありません。
あるとしたら、権力者の思惑がプログラミングの中に入り込むだけです。
 
ネットで買い物するたび、あるいは何かを検索するだけでも、その後、関連する商品の広告がネット画面に煩雑に表示され、個人メールや携帯メールにも、望んでもいない広告が入ってきます。
多少の防御策を講じたところで、やすやすとそんな障壁など乗り越えてきます。
根本的な防衛策は、ネットでの買い物や検索を制限することしかありません。
 
こうして、個人の主体性が徐々に奪われ、仕掛ける側の思惑に侵食されていく日常を感じます。
同時に、ネットを介した犯罪は確実に増えてきています。
インターネットの脆弱性は、悪意を持つ者にとっては天からの贈り物なのです。
その危険性を意識した上で、無防備にネットの世界に浸らないことを心がけています。
 
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┃◇中国の思惑通りにはいかない(その8)              ┃
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日中韓にASEAN諸国、さらにオーストラリアやニュージーランドを加えた16カ国のRCEP(地域的な包括的経済連携)は、最後にインドが離脱しましたが、8年の交渉の末、妥結に辿り着きました。
中国を含む大型FTAのRCEPの実現は、世界経済に一定のインパクトを与えるかもしれません。
一足はやく発足したTPP(環太平洋パートナーシップ協定)との関係が気になるところです。
そのカギを握っているのは、政権交代が規定事実となっている米国の出方です。
 
その前に、RCEPが出来た経緯を復習しましょう。
中国は、2004年、「ASEAN+3(日中韓)」の経済連携構想であるEAFTA(東アジア自由貿易圏)」を提唱しました。
それに対し、日本は2006年に、インド、オーストラリア、ニュージーランドを含めた「ASEAN+6」の構想「CEPEA(東アジア包括的経済連携)」を提唱しました。
RCEPは、この両者が合併して出来た枠組みです。
こうした東アジアの経済協力の枠組みの動機となったのは、1997年のアジア通貨危機です。
第2次クリントン政権の時でしたが、IMF(国際通貨基金)が緊急融資の条件として大幅な金利引き上げを実施したことで、アジア各国の経済破綻が発生し、通貨危機を招きました。
韓国では、それまで「1ドル=1000ウォン」だったレートが2000ウォン近くに跳ね上がったことで債務返済ができなくなり、IMFの管理下に入るという屈辱を味わったことは周知のとおりです。
 
この通貨危機は、「強いドル」を志向したクリントン政権が引き起こしたもので、こうした「米国ファースト」の姿勢は、トランプ氏の専売特許ではなく、クリントン政権下の民主党政権が始めたことなのです。
米国のこうした姿勢から、米国を除外した地域協力の枠組みの必要性を痛感して「ASEAN+3」の構想が生まれたわけです。
その構想が、中国と日本から、それぞれ独立して生まれたことは大きな要素です。
 
中国にとっては、米国不在の枠組みは狙っていたものでしょう。
東アジアにおけるルール形成には、米国より中国のほうが「正統性」があることを意味するからです。
ゆえに、RCEPにおけるデジタル関連のルールは、米国が望むような高水準なものではなく中国の意向に沿ったものになっています。
ただし、RCEPには日本主導のCEPEAの思想が入っていますから、日本の動向でルールが強化される可能性があります。
その意味で、日本主導のTPPが既に発足していることは大きな要素です。
そのことを意識したのか、中国の習近平国家主席が11月20日のAPEC首脳会談で、「TPPへの参加を積極的に検討する」と表明しました。
安倍前首相は、桜問題などで脇の甘さを露呈しましたが、外交面においては、よくやっていました。
安倍政権の通商政策の積み重ねが、米中双方に一定の影響を与えているのは確実です。
野党やマスコミは、こうした情報を分析することもなく、安倍政権の批判に終始していましたが、「お粗末」の一言です。
 
しかし、大事なのはこれからです。
菅首相が、どこまで前政権の成果を活かしていけるかに注目していますが、バイデン氏の外交姿勢が見えないことが不確定要素です。
特に、バイデン氏は日本に関連する発言がほとんどありません。
菅首相との仲も、安倍前総理vsトランプ前大統領のようにはいかないでしょう。
ただ、今の日本は、そもそもバイデン氏が進めていたTPPの実質的なリーダーであり、米国が重視する「自由で開かれたインド太平洋」構想の提唱者にして、主要プレイヤーです。
バイデン政権は、そうした日本を無視はできません。
経済面での日本の存在感を高める絶好の機会といえます。
 
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┃☆商品開発のおもしろさ(6)                   ┃
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今回も商品としてのアニメの話をします。
私の子供時代、コミックという言葉はなく、すべて「漫画」とされていました、
当時の大人たちは「マンガなんて読んだらダメよ」とか「ろくな大人にならないぞ」と、漫画を「悪いもの」と敵視していました。
私の母も同様で、家にマンガ本を持ち込むことは許されませんでした。
それでも母の目を盗んでは漫画をむさぼり読んでいましたから、子供の好奇心は無敵ですね。
そんな「マンガ=ダメ」時代を思うと、昨今のコミック・アニメブームには隔世の感があります。
そのブームの先駆者、手塚治虫の足跡は、商品開発の大きな参考書といえます。
 
小説は、文字を読み込み、内容を把握して場面を想像するという過程を経て具体的なイメージが大脳に取り込まれていきます。
それに対しコミックは、直接、場面の画像を大脳に送り込んでいくので、早く、楽に理解が進みます。
それでもコミックは、場面と場面の間を頭の中の想像で埋めていくという「間」の作業が必要となります。
しかし、アニメは、その「間」さえ画像情報として、直接大脳に送り込んでいきます。
大脳の仕事は情報を受け取るだけとなり、圧倒的に楽に(逆に言えば、働かなく)なります。
まさに、現代や近未来のIT社会そのものを象徴している媒体といえます。
そこに着目して、アニメ風の広報に力を入れている企業が増えています。
その効果の程は不明ですが、今は、単なる「ウケ狙い」にしか見えないことが少々残念なところです。
これからの進化を見ていきたいと思います。
 
このようにアニメやコミックの効果は大きいのですが、文字情報を受けて頭の中で場面を想像していくという大脳の機能が低下していくことも確実です。
特に、発展途上の子供たちの大脳に致命的な欠陥が生じていく恐れがあります。
そうした欠陥を生まないよう、本を読む、実体験するというような、多面的多元的な経験を多く積ませることが何よりも大切です。
 
私は、電車の中では、必ず本を読んだり、ノートに考えをまとめたりというように、電子機器から離れるようにしています。
しかし、ほぼ全ての人がスマホの画面を凝視していて、本を読んでいる人は皆無状態です。
大衆が、ネットの向こう側の存在に操られていることに気が付かない、その光景に、時に背筋が凍る思いを感じます。
 
ところで、日本アニメが世界的に広がっているのにはひとつの理由があるように思います。
「鬼滅の刃」が人気になる前、「進撃の巨人」という異色コミックが人気となっていました。
他にも「鋼の錬金術師」とか「ワンピース」、「ドラゴンボール」などなど、百花繚乱のごとく、日本のコミック・アニメが世界中で評判になっています。
これらの特徴は、「鬼滅の刃」以外は、国籍不明な妙な世界ばかりが背景にあることです。
「鬼滅」にしても、日本の大正時代が背景になっていますが、よく考えれば意味不明な世界ですし、登場人物たちの髪型などは極彩色です。
日本のアニメが世界中で人気になっているヒントの一つがこの「国籍不明」ではないかと思います。
現に、中国では「ドラゴンボール」が中国製アニメと思っているファンが結構存在していたという話も聞きます。
いろいろな国の人が、自国の話に置き換えて違和感なく見ているということでしょうか。
この要素も、商品開発上の大きなヒントかなと思います。
 
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┃★今後の建設需要(11)                     ┃
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国交省が、2020年度の建設投資見通しを発表しました。
それによると、全体では前年度から3.4%減の53兆1600億円ということです。
政府投資は3.1%増の25兆6200億円ですが、民間投資がコロナ禍の影響で7.3%減と大幅に落ち込み、37兆5400億円と減るため、全体の減少に繋がるということです。
もし、公共投資を10.6%増の27.5兆円にしておいたならば、民間の減をカバーできた計算になります。
こうした見通しを考察して、国交省は、来年度の予算折衝でどんな要求を出し、政府がどう判断するのでしょうか。
相当額のさらなるコロナ対策費も必要ですし、困窮する国民や企業を救う政策も必要です。
企業業績の悪化を受け、税収も落ち込む中で財源は決定的に不足します。
菅政権の今後を占う予算編成となります。
 
MMT経済理論を信奉する経済学者や経済評論家は、天文学的な数字の国債を発行しても日本国は大丈夫と主張しています。
「国債残高が3000兆円ぐらいまでは大丈夫」と、相当に無責任な弁を述べる評論家もいます。
この言葉は、直接、私の耳で聞きましたが、「評論家とは気楽な商売だな」と、さすがに少々呆れました。
この評論家の“いいかげん”話は聞き飽きていますので論外としても、国債発行以外に頼る財源はありません。
 
また、災害で失われる人命や資産を考えれば、国土強靭化策は間違ってはいません。
その資金を国債で調達することも間違ってはいません。
ただ、強靭化策が政治家の餌となる危険は伴います。
これまで、そうした事例は数限りなくあり、これからも無くなることはないでしょう。
民主党政権時代の「コンクリートから人へ」のキャッチコピーとともに公共工事が減らされたことに対する批判は多いですが、その背景に、政治家の汚職の道具となった公共工事への国民の不信感があったことは事実です。
民主党政権が間違えたのは、こうした汚職を封ずるのに、単なるキャッチコピーで済まそうとしたことにあります。
そうではなく、着実かつ迅速な法令整備が必要だったのです。
その能力に欠けた民主党政権は、そもそも不適格だったのですが・・。
 
では、菅政権はどうなのでしょうか。
政策をどちらに振ろうと、菅首相は矢面に立たされます。
しかし、それがトップの宿命ですから、腹をくくり、どんな予算編成になろうと「これが私の意志だ」ときっぱりと言って欲しいものです。
菅首相にとっては、最初の予算編成です。
私は、その予算編成を確認してから、政権の今後を論評したいと思います。
 
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<編集後記>
テレワークの影響で、郊外の戸建て住宅が人気になっているそうです。
ただ、企業側は、テレワークの限界に気付いてきています。
弊社では、一時期、かなりの頻度でお客様とonline会議を行っていましたが、最近は大きく減ってきています。
私自身、オンラインでのセミナーや勉強会に参加もしていましたが、すべて止めています。
30分はおろか、10分もしないうちに苦痛になってしまいます。
オフラインの会場だと途中退席は気が引けますが、オンラインではそうした気兼ねもないですから、「や~めた」になってしまいます。
つまり、おもしろくないのです。
前号で書いたように、企業にとってのテレワークは、人員整理や給料削減の道具となっていくのではと思っています。
 
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