2017年2月15日号(国際、政治)

2017.03.03

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2017年2月15日号
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発行日:2017年2月15日(水)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2017年2月15日号の目次
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☆日米首脳会談は”成功だった”と言うしかないでしょう
★北朝鮮のミサイル発射の狙い
★慰安婦問題は日韓の問題ではなく、韓国の問題である
☆外交音痴の日本からの脱却はできるか?
http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。

日米首脳会談の話題を書いていたところ、北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏殺害のニュースが飛び込んできました。
「クアラルンプール空港において暗殺者が毒針で殺害」という、TVドラマのようなことが現実に行われたわけです。
一説によると、TVドラマを真似て、この暗殺法を指示したとも言われています。
独裁者の狂気とは、かくも異常なものかと震撼する話です。

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┃☆日米首脳会談は”成功だった”と言うしかないでしょう       ┃
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今回の日米首脳会談への評価は難しいです。
表面だけ見ていれば大成功と言えるでしょうが、裏面は複雑です。
そこで、おきまりの野党の批判や各国の反応を見てみることにしました。
民進党の蓮舫代表は「ゴルフ批判」という冴えない非難で論外です。
EU各国は批判的な論調が多かったのですが、興味津々の本音が透けて見えます。
各国首脳は、早く安倍首相と会って「トランプってどんな人?」と聞きたがっているはずです。
明日からドイツのボンでG20外相会議が開かれますが、訪米に同行した岸田外相は各国外相から質問攻めにあうのではないでしょうか。
その意味からすれば、今回の首脳会談は”成功だった”と言うしかないでしょう。
それにしても、トランプ大統領自身が公言したように「安倍首相とはウマが合う」のでしょう。
この言葉と「米軍を駐留させてくれて”ありがとう”」の言葉が今回の会談のすべてと言っても良いと思います。
正直、トランプ大統領がここまで“まともなこと”を言うとは思いませんでした。
彼の「商売人」としての”したたかさ”に脱帽です。
おそらく、「・・ウマが合う」は大統領自身の、そして「米軍駐留・・」は、政権幹部たちが言わせた言葉だと推測します。
とすると、トランプ政権の要とも言える、ペンス副大統領、ティラーソン国務長官、マティス国防長官、ロス商務長官、プリーバス首席補佐官、クシュナー大統領上級顧問等の能力は非常に高いと言わざるを得ません。
2月13日に、国家安全保障担当のマイケル・フリン米大統領補佐官が辞任したことをマスコミはトランプ政権の痛手と書いていますが、私は逆に考えます。
フリン氏は、その言動からトランプ政権のアキレス腱だと見ていたからです。
早々に更迭できたことはプラス面のほうが大きいと思います。
まだ数人、危ない幹部がいますので、早々に彼らを更迭するはずです。
そこは、トランプ大統領が政治的思惑より経営者的感覚を重視していることがプラスに働くと思います。
今回の会談で、トランプ政権の序盤の政権運営方法が分かってきました。
政権の考えは、金融緩和の拡大により企業の投資増を促し、それによる供給力増加でインフレを押さえながらGDPを増やすことが基本にあります。
同時に、海外企業の対米投資を促し、目に見える「個別具体的な雇用増」を狙うという二面戦略です。
そして、この戦略の重要なコマとして日本を考えています。
安倍首相への異例ともいえる厚遇は、それを物語っています。
トランプ政権は「数ヶ月も持たない」とする評論家がいますが、私はそうは思いません。
今後は、日米閣僚による定期会合に交渉の場が移っていきますが、ここに注目していきたいと思います。

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┃★北朝鮮のミサイル発射の狙い                  ┃
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トランプ政権の動向を見極めるまで北朝鮮はミサイル発射を自粛するのではないかと見られていたが、日米首脳会談に合わせたかのようにミサイルを発射した。
さらに、金正男(キム・ジョンナム)氏殺害と続く金正恩(キム・ジョンウン)の指令は、底知れぬ不気味さである。
これを金正恩政権の暴走と見るか戦略と見るかの判断は難しい。
今後は、2-3月に行われる予定の米韓合同軍事演習に合わせ、再度ミサイルを発射するかどうかが一つの焦点である。
というのは、今年年頭の金正恩の発言の中に「米韓合同軍事演習」に対する警告の言葉が入っていたからである。
金正恩は、トランプ大統領との直接交渉に淡い期待を寄せているものと思われる。
もし今年の「米韓合同軍事演習」が見送られるのであれば、交渉可能と判断し、ミサイル発射を見合わせる。
しかし、演習実施ならば交渉不可能と判断し、再びミサイル発射を行う。
先日のミサイル発射は、その警告の意味であろうと推測されるのである。
戦略的には米韓軍事演習の実施を見極めるまでは我慢したほうが良いと思うのだが、金正恩の性格上、我慢できなかったのでは無いか。
そのくらい本人の不安や焦りが強いともいえる。
一部報道では、米国への恫喝として米本土に達するとみられるICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射するのではないかと言われているが、どうであろうか。
恫喝という意味はあるかもしれないが、現実的ではない。
北朝鮮が核弾頭を付けたICBMを発射できる能力を身に付けても、米軍は発射前にミサイル破壊を実行すると思われるからである。
ICBMの発射には大掛かりな準備と日数がかかる。
核弾頭付きの発射情報を米軍が見逃すとは思われない。
先日、米国はF22ラプターを10機日本の米軍基地に配備したが、狙いは北朝鮮への警告である。
たとえICBMを持っても、いつでも発射前に破壊できるぞという脅しである。
F22ラプターなら楽々とその任務を達成するであろう。
ベールに包まれている北朝鮮の核能力であるが、プルトニウムの保有量は50kgに達したと言われている。
であれば、原爆を10個は保有できるであろう。
韓国を廃墟にするには充分な量といえる。
やはり、暴発するとしたら、韓国への攻撃であろう。
今回発射されたミサイルが固形燃料と思われる点が注目である。
固形燃料は、液体燃料に比べ発射準備が察知されにくい。
不意打ちにはもってこいと言える。
しかし、ターゲットとされている韓国での危機感は薄く、慰安婦像のほうが大事なようである。
「やれやれ・・」と言うしかない。

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┃★慰安婦問題は日韓の問題ではなく、韓国の問題である       ┃
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釜山の慰安婦像騒動により、慰安婦問題の根源は日本ではなく韓国にあることに、多くの日本人もようやく気づいたようです。
そこで、冷静にこの問題の根幹を考えるため、今号でもう一回だけ取り上げることにしました。
この問題は、以前にも解説したが、1965年、当時の朴正熙政権が日本との間で「日韓基本条約」を調印し国交を正常化した際に「個人の請求権を含めて、両国はすべての請求権を棄却する」と明記されたことで、50年前に両国で包括的に解決された問題なのである。
しかも、「個人を含めたすべての請求権の棄却」との文面は、韓国側が求めたものである。
というのは、日本が朝鮮半島(南北朝鮮全体)に投資した金額が53億ドル(大蔵省の記録)に上り、しかも、民間投資がかなり含まれていたため、後日、日本から買い取りの請求を起こされることを恐れたのである。
実際、インドはイギリスから独立した後、イギリスから資産の買い取りを要求され支払っている。
さらに日本は、半島から徴用した労働者への未払い給与が残っていたことから、条約とは別に、個人への賠償を行うことを決め、実に8億ドル(現在の物価換算だと1兆円超)ものカネを払ったのである。
この時、日本は「個人に直接払う」と言ったのだが、韓国は「韓国政府が支払うから、まずは韓国政府に払ってくれ」と言い、しかも「北朝鮮の分も含めて」と要求したので、これだけの巨額になったのである。
しかし、韓国政府は個人への支払いを行わなかったばかりか、この条約のことを一切国民に知らせなかったのである。
これは、朴正熙政権の悪意というより、このカネをすべて経済復興のためのインフラ投資に使ってしまったため、言えなくなったというのが真相であろう。
でも、結局、この資金が韓国経済復興の原動力になったので、韓国国民は等しくその恩恵に預かったといえるのである。
しかし、このことを知らない韓国人が多いことが、問題解決の妨げになっている。
現代ではネットなどで、日韓条約のことを知ることはできるが、反日感情がじゃまをして、「すべてウソだ」と思い込んでしまうのである。
韓国の歴代政権が、慰安婦問題を政治的な道具にし、反日という民意を国家運営の“てこ”にしてきたからである。
今は機能停止している朴槿恵政権の前半の政策を思い返せば、よくわかると思う。
もう一つ、こうした政権の思惑を利用してきた学者たちの存在がある。
例えば、「日本は、朝鮮総督府を利用して、農地の40%を強制収用した」などの論文を発表した教授がいる。
もちろん真っ赤なウソなのだが、「ウソも100回言えば真実になる」ということで、こうしたウソが韓国社会の常識として定着してしまったのである。
慰安婦像も、最初は「大人の女性」の像だったというが、「それではインパクトに欠ける」ということで「少女像」になり、「20万人の少女を強制連行」と捏造が拡大し、ついには「20万人の少女を殺害」とまでエスカレートしている。
そうまでして日本を貶(おとし)め、民族の自尊心を修復しようと歴史の改ざんを繰り返しながら、
逆に「日本は歴史を改ざんし・・」と批判する韓国。
もはや日本にできることはない。
韓国民自身がウソと認識するまで、距離を置いて静観する以外にないと思う。
(そんな日は来ないと言われそうであるが・・)
私自身、20代後半にソウルの再開発事業に携わって以来、たびたび韓国とは仕事をしてきたが、倫理観の隔たりには苦労させられてきた。
数年前、一方的な契約違反を被った時に、「もう、韓国とは仕事をしない」と決め、一切の関係を絶った。

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┃☆外交音痴の日本からの脱却はできるか?             ┃
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孫子が言い切っているように、古来から外交は戦争の一手段であった。
ゆえに、世界の外交は、戦前も戦後も、外務、軍事、諜報という三元外交が常識となっている。
ところが、戦前の日本は、次第に軍事のみが突出し、外務と諜報をないがしろにしていった。
その結果の敗北であった。
一転して戦後は、外務のみの一元外交となり、残りはアメリカに頼るという片端的な外交となった。
いや、その外務すらアメリカ追従という主体なき外務であった。
日本は、事実上、アメリカの52番目の州となっていたのである。
しかし、それは戦後焼け跡からの復興には好都合であった。
故に、正しい選択だったのだが、問題は、そこからの脱却である。
世界第2位の経済力を持つに至った中国が、自らを「未だ、中国は発展途上国だ」と主張していることを日本は批判しているが、日本も同じようなものである。
今の日本を「我が国はどこにも依存しない独立国である」と胸を張って言えるか。
防衛を米国に頼りながら米国を批判し、「平和憲法があるから日本は平和なのだ」と主張する矛盾をおかしいと感じない国民が”おかしい”のである。
日本は、外務、軍事、諜報という三元外交能力を取り戻していかなければならない。
その上での日米同盟の再締結を目指さなければ、真の独立国家とは言えない。
そのために、これからは、軍事能力を高めると同時に、諜報機関(日本版CIA)を設置していくなどの三元外交能力の構築が必須である。
こう書くと、すぐに「軍国主義」とか「中国と戦争する気か」と批判する人がいるが、そうではない。
トランプ大統領が強気に出ても、アジアにおける米国の影響力は徐々に低下し、中国の力は相対的に上昇する。
その中国と外交で渡り合うという、アジアにおける責任が日本にはある。
それには外務、軍事、諜報の三元外交能力の向上が欠かせないのである。
中国との真の関係改善とは、米国に代わって中国にひれ伏すということではない。
三元外交能力の向上をもって、中国と大人の関係を築くということである。
南スーダンへ派遣されている自衛隊を巡って、日誌に「戦闘」という文字があるということで国会が紛糾しているが、バカバカしい限りである。
現行憲法が三元外交の足かせとなるなら、憲法改定議論は避けられないし、そのための国会ではないかと言いたい。
日誌の文字などという矮小化された議論ではなく、世界における日本の役割という論点で議論をして欲しいものである。
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<編集後記>
アイドルタレントの「出家」という脱退騒動が巷の話題になっています。
若い女性の「出家」という違和感のある言葉が、妙な興味を引き出してしまうという危ない側面もあります。
若い女性の「商品化」は、洋の東西を問わず、どんな時代にもありました。
近代社会は性差別を罪として、女性の商品化を否定してきたはずですが、手を変え品を変え、むしろ悪質化してきたとしか思えません。
今号で取り上げた従軍慰安婦問題も、「日本を悪とした正義」を振りかざす集団に利用され悪質化した見本のようなものです。
根は深いですね。
<建設ビジネスサロン>
当サロンでは、建設の話題を集中的に解説していきます。
今のところは私からの問題提起と解説が主ですが、意見交換の場も用意する予定です。
また、4月にはオフサイトでの意見交換も企画したいと思っています。
どうぞ、気楽にご参加ください。
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