2018年11月15日号(国際、政治)

2018.12.06

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HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2018年11月15日号
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発行日:2018年11月15日(木)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2018年11月15日号の目次
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★徴用工判決は韓国が仕掛けた猿芝居
◇日本流の中国との付き合い方を(その1)
◇純粋な軍事の話(1)
★極論だけが受ける世の中の危うさ
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
最初にお詫びと訂正があります。
10月31日号の「★株価急落」の章で、「企業のモラルハザードの崩壊である」と書きましたが、正しくは「企業モラルの崩壊である」です。
訂正してお詫びいたします。
さて、韓国の徴用工訴訟は予想通り(?)の判決となり、日韓両国の新たな火種となっています。今号はこの話題から入ります。
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┃★徴用工判決は韓国が仕掛けた猿芝居               ┃
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この判決に対し、日本中に怒りの声が満ちているが、ここは冷静に考え対策を練る必要がある。
そもそもこの判決は、文在寅政権が仕掛けた「出来レース」である。
日本の最高裁にあたる大法院の裁判官13人中の7人が、文在寅大統領が送り込んだ人物という構成から見ても、この判決を出させるために大統領が仕組んだ「猿芝居」と見るのが妥当であろう。
当然、文大統領は、この判決が日韓関係を決定的に悪くすることは予想していたはずで、大統領府や政府にその対応を指示していたはずである。
では、文政権は何を狙ったのであろうか。分かり切ったことである。
1905年の日韓併合を「国際法違反ゆえ無効」とし、「だから1965年の日韓基本条約も無効」
としたいのである。
要するに、例の慰安婦合意もひっくるめて、近代史を全部「ちゃぶ台返し」するつもりなのである。
これで一気に大統領の支持率を上げ、憲法改正で大統領の任期を2期10年にして、大統領再選を果たし、そして、北朝鮮との連邦国家樹立という悲願を達成しようと目論んでいるのである。
日本は、こうした文大統領の狙いを徹底的に分析して戦略を練る必要がある。
国際司法の場に持ち込むとしても、その前に法的な論拠を固め、その論拠を欧米諸国に認めてもらう外交努力が先である。
そうした戦略もなしに感情的に行動に走ってはいけないし、マスコミは世論を煽るべきではない。
私は法律の専門家ではないが、それでも、今回の韓国大法院の判決文が相当に無理を重ねていることは分かる。
要約すると「本件は、未払い賃金や補償金の請求ではない。それは『65年の日韓基本条約で解決済みであることは認める』が、1905年以来の『不法な植民地支配および侵略戦争に加担した日本企業に対する反人道的な不法行為に対する慰謝料請求権である』」としているのである。
つまり、未払い賃金を払えというのではなく、不法による苦痛を受けた慰謝料を払えと言っているの
である。だからひとり1千万円なのである。
そうなると、日本が「65年の日韓基本条約で解決済みだ」と主張しても、すれ違いとなってしまい、法的な論争点とはならない。
ここは要注意である。
韓国の主張は1905年の日韓併合を「国際法違反で無効」としたいのであるが、1905年当時、植民地支配を禁止する国際法は無かった。
こうした主張を認めてしまうと、英仏などは世界中から訴えを起こされてしまうし、米国とて例外ではない。
ここは、水面下で欧米諸国と連携して法的防護を固めていくべきであろう。
こうした準備も無しに、軽々しく国際司法裁判所に提訴などはすべきではないのである。
文在寅政権は、それくらい分かっているから、こんな回りくどい判決文にしたのである。
同時に、日本がそう簡単に韓国への投資や貿易を縮小することは無いだろうとタカをくくってもいる。
ならば、ここが突っ込みどころである。
韓国と取引している企業は、腹をくくり、韓国への投資や貿易を縮小させるべきなのである。
経済が冷え込んでいる韓国には、それが一番効く。
民間企業の活動は自由なのだから、日本政府は何も言う必要はない。
政府は、撤退により損害を蒙る企業に対してなんらかの救済処置を講じ、被害を最小に抑えることを行えばよいのである。
文在寅政権の「歴史見直し」戦略は今後も続くであろうし、日本を下に見ないと気が済まない韓国民の意識は簡単には消えないであろう。
これまで多くの日本人は、植民地にされた韓国に同情的であり、反省もあった。
だから、政府も企業も経済協力や韓国支援を進め、国民も理解してきた。
しかし、こうした日本の好意は、まったく理解されていなかったのである。
私は20代の頃から断続的に韓国とのビジネスを行ってきた。
しかし、いつも最後は裏切られてきた。
「もうこりごり、半島から距離を置こう」が正直な気持ちである。
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┃◇日本流の中国との付き合い方を(その1)            ┃
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10月25日、中国を訪問した安倍首相を、中国は最大限にもてなした。
天安門広場に、中国の五星条旗とともに日の丸がひるがえっている映像には驚いた。
しつこく旭日旗を「戦犯旗」と国際的に存在しない言葉で非難する韓国とは違うなと感じた。
実際、中国は大人の国である。
反日も親日も、感情ではなく利害で操作している。
もちろん領土問題や海洋問題では国民の感情を刺激する策も採っているが、簡単に片付く問題ではないことぐらいは理解している。
中国は民主主義国家ではなく、政治的には日本と相容れない一党独裁国家である。
しかし、政治体制を決めるのはその国の国民の総意であるから、単純に批判はできない。
互いの体制の違いや歴史観の違いを理解したうえで、対立の少ないテーマから共有の利害関係を築きあげていくことが大事である。
今回の安倍首相の中国訪問で注目したのは、習近平国家主席と李克強首相の表情の違いである。
思い出すのは、2014年の日中首脳会談での習近平主席のニコリともしない硬い表情である。
「大人気ないな」と呆れたものであり、習主席は不器用な人なんだなと思いもした。
今回、さすがに仏頂面は封印していたが、それでも表情や所作はぎこちなかった。
「この人は、やはり不器用な人で、戦略家としては“いまいち”なんだな」と思った。
それに対し、李克強首相は終始にこやかな表情で、所作も柔らかかった。
もともと、そうした雰囲気を持っている人だが、今回の打ち解けた様子は予想以上であった。
経済には弱いと言われる習近平主席にとって米中貿易戦争は相当に重荷であり、その分、李克強首相の存在感が増している様子が伺えたといえるのでないか。
今回の訪中でのもうひとつの注目点は「中国へのODA終了」宣言であった。
このODA援助は1979年から始まり、有償、無償、技術協力を合わせて、3兆6500億円になると言われる。
何より驚いたのは、中国政府が国内メディアに対し「日本のODAが中国の発展に貢献したこと」を重視して報道するよう指示を出したことである。
政府がメディアに指示を出すこと事態は「中国だな~」と思うのだが、ここまであからさまな姿勢は予想以上であった。
それだけ、米国との対立が深刻な状況になってきているのであろう。
この話題、次回も論じたい。
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┃◇純粋な軍事の話(1)                     ┃
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前章の論調とは矛盾した話であるが、日本と中国はお互いを仮想敵国としている。
もちろん、中国にとっての最大の仮想敵国は米国であるが、その米国と軍事同盟を結んでいる日本を同等の仮想敵国とみなしている。
今の日本人は、日本は平和国家だと自認しているが、中国はそうは見ていない。
無理もない。1894年の日清戦争で戦火を交えてから1945年まで、50年も戦争をしてきた間なのである。
現代でも、いったん密月状態になっても、ちょっとした事で一気に冷え込むことを何度も経験している。
そうしたように、政治と軍事は切り離せない関係であるが、ものごとを単純化してみるために、純粋に軍事的な側面で少し論じてみたいと思った。
ずいぶん以前から、中国は「第一列島線」「第二列島線」と称する防衛ラインを設定し、その内側に米軍を入れない戦略を実行に移してきている。
「第一列島線」は日本列島から台湾、フィリピン、南シナ海を内側に入れる線であり、「第二列島線」は、やはり日本から小笠原諸島、グアムを結び、ニューギニアまで延びるラインである。
ともに日本列島全体を防衛線としているわけで、失礼な話であり、日本国民としては「ふざんけんじゃねえ」と言いたい話である。
だが、そうした感情を抜きに考えねばならないのが軍事戦略である。
この「第一列島線」は、日本にとっては重大な危機ラインであり、「第二列島線」までが中国の手に落ちることは、完全に日本が中国の支配下に置かれることを意味する。
つまり、日本としては、「第一列島線」より中国寄りのところに防衛ラインを引かなければならないのである。
具体的には、北海道から佐渡島、対馬、竹島、南西諸島、沖縄、尖閣を含む先島諸島を結ぶ領海ラインとなる。
この内側に中国およびロシアの侵入を許さないことである。
しかし現実は、両国による領海・領空侵犯は常態化しており、いつ軍事衝突が起きてもおかしくはない事態なのである。
このことを念頭に置いた実戦体系の防衛力の整備が急務といえる。
防衛ラインの大半が海洋であるため、海軍力および空軍力が重視されているが、量において日本は圧倒的に不利な状況であり、質においても急速にその差は無くなってきている。
かろうじて、軍人の質において勝っているといえるが、それに頼ったのでは戦前の二の舞である。
日米軍事同盟が大きな後ろ盾ではあるが、緒戦を戦い抜くだけの軍事力の整備は欠かせない。
この話、次回以降、しばらく続けていきます。
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┃★極論だけが受ける世の中の危うさ                ┃
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先月末、ドイツ・ヘッセン州の州議会選挙で、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と、連立を組んでいる社会民主党(SPD)が共に大敗した。
この結果を受けてメルケル首相は3年後の退陣を表明した。
与党に代わって台頭したのが、極右政党の「ドイツのための選択肢(AfD)」である。
一方、極左政党といえる緑の党も一定の支持を維持した。
また、ブラジルでは極右といわれる大統領が当選したように、世界的に「極論だけが受ける」傾向が強まっている。
トランプ米国大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領なような極論を主張する指導者の出現に世界は驚いたが、独善的な主張を掲げる政治勢力がこれだけ常態化してくるのを見ていると、世界中が狂気の渦の中に引きずり込まれていく危険を感じる。
人々が右と左の極論にしか耳を貸さなくなる傾向は、沖縄問題や反原発などのように、日本でも見られる傾向である。
匿名での発信が容易なネットの発達が、その傾向をますます強め、特定の個人を攻撃する悪質な被害が後を絶たない。
露出度の多い芸能人の場合は有名税とも言えるが、学校でのいじめなどは、むしろ大人しい子が犠牲になり、痛ましい結末を迎えることも多い。
問題は、極論を発信する人より、極論を受け入れる人が増え続けることにある。
広く受け入れられるから、発信が増え、より過激になっていくという悪循環である。
どうして、こうした暴論ともいえる主張が受け入れられるのであろうか。
いくつかの理由が考えられる。
単純に面白がるという人もいるであろうし、鬱積(うっせき)したものを抱えていて、そのはけ口という人もいる。
共感や孤独感を癒すという側面もあろう。
マスコミが煽っているという面も無視できない要素であろう。
最近では芸能人までが、こうした傾向に乗って政治的発言を行う者も現れている。
芸能人が政治的発言をしてはいけないとまでは言えないが、影響力が大きいゆえ、発言の意味も拡大する。特にファンは盲目であり、どんな意見でも受け入れてしまう傾向が強い。
有名人には、自分はそうした危険な存在なのだという自覚を持って欲しいと思う。
極論だけがうける傾向は、ますます顕著になり、世の中は不安定さを増してくるものと思われる。
人間ゆえ、いったん感情が動くのは仕方ないとしても、短時間で冷静さを取り戻す努力が必要である。
人間なのだから。
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<編集後記>
一時は絶賛されたミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相が逆風にさらされています。
彼女に授けられた数々の国際賞や名誉市民などの称号が取り消される事態となっています。
イスラム教徒少数民族ロヒンギャに対する迫害やメディア弾圧を阻止しなかったことが理由です。
彼女の真意は分かるべくもありませんが、「理想と現実は違う」という当たり前のことを、受賞を授けたほうが理解していなかったということです。
本当に悪いのは、浅い考えで賞を送ったアムネスティなどの人権団体であり、称号を送った各国政府では無いでしょうか。
こうしたこと、よくあることなので、「自分はどうかな?」と考える教訓です。
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