2020年2月29日号(経済、経営)
2020.03.02
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2020年2月29日号
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発行日:2020年2月29日(土)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2020年2月29日号の目次
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★新型コロナウイルスへ怯える人々へ
★0%成長に陥る日本経済
◇これまでの経済、これからの経済(7)
★今後の建設需要(6):BIM元年??
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
好調を維持していた米国の株価が、コロナウイルスに屈服するかのように暴落しています。
連動して日本の株価も急落しています。
見えない恐怖に怯える人々の狼狽ぶりは、福島原発騒ぎと同じ構図です。
経済を動かしているのは、こうした大衆の心理であることがよくわかります。
ウィルス対策以上に、大衆のパニック心理を抑える政策が望まれます。
その意味で「専門家」らしき人に無意味な発言をさせているマスコミは害だと思います。
「手洗いを・・」なんて、テロップを流すだけで良いでしょう。
今号は、この話題から入ります。
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┃★新型コロナウイルスへ怯える人々へ ┃
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この新型コロナウイルスにCOVID-19という名前が付きました。
予防するのに越したことはありませんが、度を越した反応の多さに辟易します。
特にSNSという「井戸端ネット」が心理的ウィルスをどんどんと拡散させています。
SNS情報の大半はデマ情報と思ったほうが良いです。
こうした情報は、人間が持つ「信じたい情報だけを信じる」という脳のクセにより、急速に拡散します。
MIT(マサチューセッツ工科大学)が興味深い研究結果を公表しています。
それによると、「SNSによるデマ情報は、真実情報に比べて約2倍の量がリツイートされる」ということです。
人間の脳は、情報を得た、その都度考えたりはせず、省エネでその情報の真否や状況を判断できるような“クセ”がついているということです。
この機能は、一般に「○○バイアス」と言われるショートサーキット(短絡)機能です。
この機能は、情報の判断だけでなく、物事の良し/悪し、安い/高いなど様々な人間の意思決定に無意識に影響を与えます。
バイアスがかかった状態にある脳の中では、情報は大脳皮質にある論理回路をバイパスし、神経回路から直接、辺縁系やR領域、脳幹といった動物的な原始脳に入ってしまいます。
そうした結果が、顔の表情や発汗、手足の震えや弛緩といった状態を引き起こすのです。
それは、一種の防衛本能なので、やむを得ないことです。
こうした防衛本能に脳が支配されている時に、真実よりも納得感のあるストーリーが入ってくると、簡単にその情報を信じてしまいます。
論理で判断する大脳皮質をバイパスしてしまうためです。
詐欺や霊感商法は、こうしたテクニックを利用しています。
そもそも霊能者のところに相談しに行くような人は、非現実的なことを信じやすい性格ですから、霊の話を絡めながら、霊能者が「納得感のあるストーリー」を語ると、非現実的なことでも簡単に信じてしまうし、その記憶が定着しやすいのです。
そうしたバイアスに絡め取られている人は、自分で、そのコントロールを外すことが難しくなります。
でも、出来ないわけではありません。
どれほど納得感のあるストーリーでも、自分中心ではなく、他人の目で客観的に見てみることです。
そのことで、そのストーリーが事実に基づいていないことや、自分だけしか納得していないことに気付くでしょう。
今回のウィルス禍は現実のことですが、事実以上に恐怖を煽る報道や情報によって、恐怖が拡大してしまっています。
「体と精神を健康に保つ良い機会だ」くらいに考え、生活や仕事のスタイルを変えてみることが最良の予防策です。
そうすれば、たとえ感染しても軽くて済むはずです。
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┃★0%成長に陥る日本経済 ┃
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先日発表された10~12月のGDP成長率が年率換算で6%以上の下落となりました。
増税後でもあり、落ち込みは予想されていましたが、想定の倍の下落です。
ウィルス騒ぎを考えると、1月以降も下落が続くことが予想されます。
弊社は浅草地区に位置していますが、観光客の激減は報道以上です。
昼間、人にぶつからずに浅草寺の仲見世通りを歩けるなんて、ついぞ無かったことです。
金融機関の担当者も、観光バブルに沸いた飲食店の倒産がこれから出るだろうと心配していました。
このウィルス禍で、皮肉なことに、自然に「働き方改革」となってしまった感があります。
大手企業の中には「テレワーク」を推し進める動きも増えているようです。
しかし、仕事の効率は著しく落ちているのが現状ではないでしょうか。
テレワークを根付かせるには、企業文化を根こそぎ変えるぐらいの大転換が必要です。
今回は、そうした改革とは無縁の「やっつけテレワーク」です。
間違いなく仕事の質は落ちるでしょう。
日本企業は、一人ひとりの社員の独立した力を伸ばすことよりも、「協調性」や「同調性」を重視した「ワンチーム精神」を重視してきました。
ゆえに、運動部出身の学生が良いと言われてきて、今でもその風潮は根強いと思います。
高校野球や、近年のラグビー人気なども、その延長線上にあります。
働き方改革とは、そうした日本式の働き方を根こそぎ変えることが本来の目的であったはずです。
しかし、現実は「休み方改革」に変質した感があります。
そこをウィルス騒ぎに直撃され、右往左往状態に陥っているのです。
自分を含めて言います。
経営者のみなさまは、こうした時こそ「経営者の出番が来た」ことを自覚し、今まで中途半端だった自社の経営改革に全力を尽くすべきです。
「良い機会が来た」と思うことです。
(独り言を言わせてもらえば、「だから経営者は辛いんだよ」ですが・・)
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┃◇これまでの経済、これからの経済(7) ┃
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数年前からの日本経済は「戦後最長の好景気」などと言われてきましたが、その中身は実質経済の衰退と言えるのではないでしょうか。
実態は、ソフトバンクなどの投資型企業およびネット通販企業、それとニトリやしまむらなどの安売り企業が引き起こした「ベンチャー・バブル」とでも呼ぶような薄っぺらな景気といえます。
経済評論家の中には「貧富の格差拡大による一極集中」によって引き起された経済と言う方もいます。
こうした見方も「当たっている」と言えます。
「一般庶民には経済成長率に見合った実感が無い」という意見からも裏付けされる見方です。
こうした傾向は、企業間でも同様で、大企業各社は、空前の利益を上げ、膨大な内部留保を溜め込んでいますが、中小企業の業況は今ひとつです。
大企業は、内部に大量の資金を溜め込んでいますが、少子化への不安から生産設備や将来への投資には二の足を踏んでいます。
しかし、低金利の現在、預金として寝かせておくだけでは「死に金」となってしまいます。
そうした現状が「うまい投資先はないか」という動きになっているのです。
つまり、こうした滞留資金がベンチャー・バブルを引き起こしてきたわけですが、ベンチャーのネタが尽きてきています。
楽天が今期、大赤字に落ち込みますが、投資の失敗がその主因です。
ウィーワークスで巨額の損失を出したソフトバンクと同じ道です。
そのソフトバンクは、LINEを買収して、ヤフーとの相乗効果で大儲けを画策しています。
後ろ盾になっているみずほ銀行と、共同でネット銀行の「LINE BANK」を立ち上げるとぶち上げていますが、「どうなることやら」です。
10兆円もの資金を集めて「ビジョン・ファンド」を立ち上げた孫正義氏は、「7兆円投資して2兆円の利益を上げた」と豪語していますが、その利益の大半は未上場会社の株価で、自分で値付けしたものばかりです。
知人のファンドマネージャーは、この発言に対して「利益率28.57%・・、あり得ないよ」と、一言のもとに切り捨てました。
彼が動かす資金は、年間で2500億円ぐらいですが、平均利回りは12~13%ぐらいということです。
彼に孫正義氏のことを聞きましたが、「投資家はそれぞれだからね」と言うだけでした。
ウィーワークスの巨額損失を見る限り、ソフトバンクの発表を鵜呑みにはできません。
もっとも、孫正義氏には、我々では考えつかない秘策があるのかもしれません。
それは、誰にも分かりません。
でも、ひとつ言えることがあります。
「投資バブルでは実質経済は動かない」
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┃★今後の建設需要(6):BIM元年?? ┃
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近年の建設業界のトレンドを探すと、以下の2項目に集約される感があります。
「働き方改革」、「BIMへの期待」
この2つは関連しているのですが、関連効果はまったく出ていません。
BIMが本当に「利益を生む道具」になり、休日が取れ、残業がなくなる日がいつ来るのかとなると、誰も明確な答えを持っていません。
それで、国交省などは、手っ取り早い「働き方改革」を先行させようと、「現場の土日閉鎖」などの取り組みをやっきになって進めようとしています。
しかし、今の「働き方改革」は「休むこと」ばかりが強調され、現場の実態にはまったく合っていません。
それは、そうです。
BIMが真の効果を生み出す日は遠く、そこまでの莫大な投資と時間を考えると絶望的な状況です。
それなのに、国交省は「25年度に原則適用」などと、いつもの「ぶち上げ」を行うばかりです。
戦略・戦術なき目標をぶち上げる姿は、旧日本軍の大本営そっくりです。
かつて「天長節(天皇誕生日)までにニューデリーを占拠する」とぶち上げ、結果として大量の戦死者を出したインパール作戦を思い浮かべてしまいました。
いまのBIMの状況は、30年以上昔の、CADが始まった頃とよく似ています。
私の在籍していた会社でも、「これで設計の手間は半減する」などという声が飛び交い、経営者側もその気になっていました。
当時、CAD普及の最前線にいた私ですが、「3次元設計は軌道に乗らない」ことを痛感していました。
2次元設計に比べて、その手間が5倍以上になっていたからです。
その事情は、今でもそう変わらず、2次元設計が主流のままです。
現在、弊社が手掛けている設計事業では3次元設計を行っています。
しかし、それなりのシステム投資が必要であり、それを縦横に使いこなす優秀な人材が欠かせません。
正直言って、採算ベースに乗っているとは言えない状況です。
ですから、単純な採算ではなく、手作業では出来ない設計分析が出来ることに価値を置いています。
その意味での生産性は非常に高いものが見込めます。
つまり、従来の仕事の延長線上では、BIMはお荷物になるだけの代物です。
将来への投資として割り切れる会社は良いですが、劇的な効果を期待している会社は、当面、情報収集だけに留めたほうが無難と思います。
業界紙などが何をもって「BIM元年」というのか知りませんが、私の実感では「夜明け前」です。
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<編集後記>
新型コロナウイルスに対する政府の対応について、マスコミや評論家が批判していますが、無責任な批判にしか聞こえません。
誰一人として、明確な対策案をもって批判する人がいないからです。
まあ、今の状態で明確な対策案などあるわけはありません。
つまり、意味のない報道や論評に、人々が振り回されているという印象です。
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