日米関税交渉

2025.08.01


今回の合意で25%の関税が15%になったことを評価して日経平均株価が上がりました。
しかし、今までの2.5%から考えればとんでもない大幅アップで悪材料のはずです。
「とにかく株価上げの材料にしたい」という投資(投機?)筋の思惑にしか見えません。
 
この15%の見返りとして、日本は自動車やコメの輸入増大、さらに米国への投資5500億ドル(約80兆円)を押し付けられました。
しかも、この投資による利益の90%は米国が得るという「なんじゃ、それは」と言いたい内容です。
 
交渉役の赤澤大臣は「合意文書は作らない」ことを明言しました。
つまり、公式には「明文化された約束は何一つしていない」ということになります。
日本政府には、この文書の無いことを逆手に取るくらいの外交手腕を期待しますが、「でもな~」と悲観的にならざるを得ません。
 
最大の問題は、関税率より5500億ドル(約80兆円)の投資であることは明白です。
しかし、赤澤大臣の説明は意味不明で話になりません。
そこで、ネットを探したところ、米側のラトニック商務長官が、放送局のインタビューアに長時間答えているやりとりが見つかりました。
これを繰り返し聞いて、ようやく見えた程度の内容ですが、以下にそれを書きます。
 
ラトニック長官は、こう言っていました。
「必ずしも日本企業が米国で工場を建てたりすることを想定しているわけではありません。
投資するのが誰でもいいのです。日本はあくまでも『資金提供者』であり、『運営者』ではありません。
つまり、日本の企業が工場を建てるという話ではないのです。
例えば、アメリカの企業が医薬品や半導体の工場などを建てたい、または鉱物資源の発掘を行いたいとしたときに、その資金を日本が提供するということなのです。
かつ、その投資から得られる利益の90%はアメリカが持っていくというものです」
 
要するに、投資の主役は米国企業であり、日本は「その資金を負担する」役割だというのです。
具体的には、日本の政府系金融機関が5500億ドル(80兆円)の出資・融資・融資保証の枠を設ける。
そこから米国で行われる民間投資に対し融資や出資を行うということのようです。
 
もともと、日本の民間対米投資額は、すでに年間7800億ドルに達していて、今年2月には石破首相が年1兆ドルまで増やすと発言していました。
ゆえに、今回の合意は、この増額分の2200億ドルを5500億ドルに上げるということで、できないことではない。
これが日本側の腹積もりのようです。
 
しかし、「利益の9割はアメリカが持っていく」は、完全な”やくざ”恫喝で、呆れた話です。
出資100%の日本側は、投資利益の10%しか得られず、出資0%の米側が利益の90%を持っていくわけで、「そんなバカなことあるか」と席を蹴るのが普通です。
トランプ大統領は、赤澤大臣と「怒鳴り合った」と、激しい“やりとり”を交わしたと説明していましたが、たぶん「ウソ」で、一方的にトランプが恫喝した会談だったのが本当でしょう。
しかも、この合意後の日米の担当高官たちの発言が支離滅裂で意味不明です。
以下に記します。
 
◇赤澤大臣
この対米投資の期間については、「(2029年1月までを予定する)トランプ大統領の任期中にできればいい。そして、実際の出資は1~2%になるだろう。
残りは政府系金融機関による融資や融資保証だ。出資で生まれた利益の日米配分を日本は5対5を提案したがトランプ氏が主張した1対9となった。
でも、関税引き下げで回避できた損失は10兆円に及ぶだろうから、この配分の変更で失うのはせいぜい数百億円の下の方」
※筆者注:「計算根拠、まったく不明」
 
◇ベッセント財務長官
「トランプ氏が不満であれば、自動車を含む日本製品すべてに25%の関税を再び適用する。四半期ごとに日米合意の履行状況を米国が評価して決める」
※筆者注:「何様だと思っている」
 
◇ラトニック商務長官
「日本は『アメリカの規格でアメリカ車を受け入れるのです。だから、わざわざ違う車を作る必要はなく、デトロイトで作った車を船に乗せて送ればいいのです』。
ヨーロッパが同じ事を、本当の意味で受け入れれば、それはアメリカにとって何千億ドルもの輸出機会になります。それは大統領を動かすでしょう。
このEUが完全に市場を開放することはアメリカがこれまでに経験したことのないことです。
ドナルド・トランプが世界中の市場を開いているのです。アメリカの牧場主や漁師のためにも、私たちの農家にとっても、誰も見たことのない素晴らしい機会です。
世界は私たちアメリカをあまりにも長く抑圧してきたので、他国がアメリカにするように自由に輸出できる世界を想像すらできませんでした。
しかし、その世界が到来します。それが、ドナルド・トランプが『黄金時代』と呼ぶものです。
他国がアメリカを扱うように、アメリカが世界に輸出できる能力を得たのです」
※筆者注:「寝言としか思えない」
 
まったく整合性のない発言ばかりです。
要するに、すべてはトランプが決めるので、日本は黙って従え、さもないと・・という「恫喝」であり、外交の形は成していないということです。
このようなトランプ政権に対峙できない石破首相では日本国は疲弊する一方です。
日本の経済規模は4.4兆ドル、アメリカは30兆ドルなので、たしかに喧嘩にはなりません。
ですが、EUは20兆ドル、ASEANは、ほぼ日本と同じ4.4兆ドル、これらの国々と力を合わせれば、アメリカと同規模になります。
中国の20兆ドルは魅力ですが、危なくて手を組むことは難しいでしょう。
つまり、日本政府にはEUとASEAN諸国と連携しての外交手腕が求められているのです。
ですが、『石破じゃ無理だ』なのが悲しいです。
早く、新たな政治体制に変わることが望まれます。