米国のベネズエラ侵攻は国際法違反?
2026.01.21
この侵攻に対し「国際法違反だ」とする声が上がるのは当然ですが、違反と断定されても、どこの誰が裁き、刑を与えるのでしょうか。
常識的に考えれば国連安保理での決議となるのでしょうが、常任理事国である米国が、そもそもの実行犯です。
さらに、ウクライナ侵攻を続けるロシアはもとより、ウイグル、チベットを強引に併合し、今も周辺国を脅し続けている中国も常任理事国です。
残る英国やフランスも綺麗ごとは言えない過去を持っています。
言い方は悪いですが「脛に傷だらけ」のこれら5か国がメインの裁判官役となる安保理は、茶番としか言いようがありません。
つまり、「国際法違反だ」の声は、この5か国に対しては“犬の遠吠え”にもならないわけです。
中世ヨーロッパでは、すべての国家は「ローマ教皇と神聖ローマ皇帝」という2人の宗教指導者の下にあるとされてきました。
1618年から始まった「カトリック対プロテスタントの国際戦争」=世界史で30年戦争と習った欧州全土を巻き込んだ戦争の終結のため、1648年に締結された国際会議で、「それぞれの国は主権を持ち、かつ主権国家はすべて平等である」という、「ウェストファリア体制」が築かれ今日に至っています。
しかし、もはやその建前は崩れさり、大国が他の国に自らのルールを強いる「剥き出しの力が支配」する時代に入りました。
いくら「国際法違反だ」と叫んでも、国連も国際司法裁判所も機能しなくなっています。
中国が「南シナ海全部がオレのものだ」と言って、いわゆる「九段線」で囲ったことに対し、フィリピンが国際司法裁判所に提訴し、同裁判所は「九段線は無効」との判決を出したとき、中国は、「ただの紙切れだ」と言い放ち、無視を貫いています。
ロシアは独立国であるウクライナに公然と軍事侵攻し、中国は政治体制の異なる台湾に対し軍事圧力を掛け、日本に対しては、尖閣だけでなく沖縄までも「中国の支配下にあるべきだ」とまで言い出しています。
そして今回のアメリカによるベネズエラ侵攻です。
世界は、帝国主義の時代に戻ったと自覚するしかないのです。
米国のベネズエラ侵攻の狙いは、同国の石油資源の確保もありますが、それよりも中国の排除です。
近年、中国はベネズエラに深く食い込み、石油採掘権の交渉まで行っています。
今回の電撃的な侵攻が中国の代表団が同国に入ったタイミングで行われていることから見ても、中国排除の姿勢は明白です。
その昔、ケネディ政権が行ったロシア排除目的のキューバ危機にも匹敵する作戦です。
中国は、これまでベネズエラに相当の援助を行ってきましたが、その利権はすべて失われ大損害となるでしょう。
推進役だった王毅外相のクビが危ないとの情報が飛び交うのも当然です。
米中首脳は、近く相互訪問することになっていますが、トランプ大統領は、「この相互訪問が潰れても良い」と重要視していないことは明らかです。
習近平主席の心理は不明ですが、相当なショックを受けていると思われます。
ですが、直接、米国に報復するのはリスクが大きすぎるので、矛先を日本に向ける可能性があります。
日本は、こうして帝国主義をむき出しにしてきた中国と米国両国の境界線上に位置しています。
まさに「存立危機事態」の前夜のような状態にあります。
かつ、日米安保条約がある限り、米国側に立つ以外の選択肢はありません。
しかし、米国が日本を守るのは、日本が自前で戦う意志と装備を備えた上という条件が付きます。
自衛隊の増員は難しいので、装備の近代化と充実を進めることが必要です。
また、それ以上に大事なことがあります。
日本しか持ちえない高い技術力をさらに磨き上げ、技術立国としての強い経済を保ち続け、そのことを世界に強く認識させることです。
国民は、こうした努力もせずに米国や中国を批判することは、“まったく無意味”と自覚すべきです。

