日本流の中国との付き合い方を(その1)

2018.12.07

10月25日、中国を訪問した安倍首相を、中国は最大限にもてなした。
天安門広場に、中国の五星条旗とともに日の丸がひるがえっている映像には驚いた。
しつこく旭日旗を「戦犯旗」と国際的に存在しない言葉で非難する韓国とは違うなと感じた。
 
実際、中国は大人の国である。
反日も親日も、感情ではなく利害で操作している。
もちろん領土問題や海洋問題では国民の感情を刺激する策も採っているが、簡単に片付く問題ではないことぐらいは理解している。
 
中国は民主主義国家ではなく、政治的には日本と相容れない一党独裁国家である。
しかし、政治体制を決めるのはその国の国民の総意であるから、単純に批判はできない。
互いの体制の違いや歴史観の違いを理解したうえで、対立の少ないテーマから共有の利害関係を築きあげていくことが大事である。
 
今回の安倍首相の中国訪問で注目したのは、習近平国家主席と李克強首相の表情の違いである。
思い出すのは、2014年の日中首脳会談での習近平主席のニコリともしない硬い表情である。
「大人気ないな」と呆れたものであり、習主席は不器用な人なんだなと思いもした。
 
今回、さすがに仏頂面は封印していたが、それでも表情や所作はぎこちなかった。
「この人は、やはり不器用な人で、戦略家としては“いまいち”なんだな」と思った。
 
それに対し、李克強首相は終始にこやかな表情で、所作も柔らかかった。
もともと、そうした雰囲気を持っている人だが、今回の打ち解けた様子は予想以上であった。
経済には弱いと言われる習近平主席にとって米中貿易戦争は相当に重荷であり、その分、李克強首相の存在感が増している様子が伺えたといえるのでないか。
 
今回の訪中でのもうひとつの注目点は「中国へのODA終了」宣言であった。
このODA援助は1979年から始まり、有償、無償、技術協力を合わせて、3兆6500億円になると言われる。
何より驚いたのは、中国政府が国内メディアに対し「日本のODAが中国の発展に貢献したこと」を重視して報道するよう指示を出したことである。
政府がメディアに指示を出すこと事態は「中国だな~」と思うのだが、ここまであからさまな姿勢は予想以上であった。
 
それだけ、米国との対立が深刻な状況になってきているのであろう。
この話題、次回も論じたい。