企業経営者は質素であるべき?(3)

2013.04.30

企業経営者の評価は、事業で上げた成果でなされるべきであり、個人生活でなされるべきではない。
これが、私の意見です。
ただ、個人生活を派出にすれば、人から羨望と嫉妬の目で見られます。
欧米人と違い、日本の大衆は「質素な成功者」が好きですから、陰口は言われます。

かっての経団連会長・土光さんの質素な生活ぶりは今でも称賛されています。
しかし、誤解を恐れずに言えば、それは土光さんの信条であり、個人の生き方です。
あるいは、東芝の再建という困難な仕事をやり遂げるため、あえて、そうした個人生活を選ばれたのかもしれません。
悪く言えば、パフォーマンスであったかもしれません。
しかし、たとえそうであっても、土光さんの功績には無関係なのです。
土光さんが「質素な生活をしたから」再建が成功したのではなく、土光さんに「事業に対する信念と力量があったから」なのです。

現代の米国で、富裕層を抱える共和党は「経済成長には最高所得層の税率を低くする必要がある」と主張しています。
日米英の三カ国で最高税率を比較してみると(夫婦+子供2人の場合、2012年7月現在)、
日本:所得2380万円で税率40%
米国:所得3443万円で税率35%(NY州の場合)
英国:所得2008万円で税率50%
米国が最も軽いのですが、これでも税金が高いと思うのでしょう。
米国の経営者に「質素に生きる」という発想は皆無なのです。
そこには、「自分の面倒は自分でみる。他人のことには関心を持たない」というモンロー主義的な個人主義思想があります。
米国人が銃を手放さないのも、ここに原因があります。
安全すらも自分頼みなのです。

米国と違い、英国は、国家主義的思想の強い国です。
広く徴税し、金持ちには平均以上の課税を課すことで、社会全体の秩序を国家が保証するという考えです。
ゆえに、英国人の金持ちは、質素な人が多いようです。

日本人は・・ 次回にしましょうか。