世界経済はどうなるの?(1)

2016.03.17

今年に入って世界経済の混乱が続いているが、その元凶が、中国のバブル崩壊現象と原油安にあることは誰もがわかっている。
だが、真の要因はグローバルに動く投資マネーにある。
今や、投資マネーは実体経済を遥かに凌駕する規模にまで膨れ上がっているが、誰も統治できず、制御不能状態になっている。

野党は、株価の大幅下落を、「アベノミクスは破綻した、日銀のマイナス金利政策は失敗した」と政権への批判材料にしているが、本気としたら、言い方は悪いが、頭の程度を疑う。
中国と原油市場から逃げた世界の投資マネーが、一挙に日本円と日本国債に逃げ込んだ結果の円高、株安、長期金利の低下である。

日銀のマイナス金利政策そのものは間違いではなかった。
それは、導入直後は円安・株高につながったことで証明されている。
だが、グローバルな投資マネーの力は、そのような一国の政策効果など一気に帳消しできるほどに強いのである。
安倍首相も黒田総裁も、その力の前には無力だったのである。

だが、最も影響を強く受け、ピンチになっているのは中国である。
中国の外貨準備高はピーク時の3兆9900億ドルから3兆2300億ドルにまで一気に落ち込んだ。
一方、中国の対外債務は4兆4000億ドルだから、外資が一気に引き上げると金庫は空っぽになる計算である。
最近は、月1000億ドルのペースで外貨は減っている。
単純計算で3年弱で外貨準備高はゼロになる。
実際には、そのはるか前に、投機筋から人民元の空売り攻勢を浴びせかけられ、中国は通貨危機に陥るであろう。

今や、中国の金持ち(多くは共産党幹部)は、人民元を売り払い、ドルやユーロを買い漁っている。
これを放置すれば、人民元相場が暴落する。
やむを得ず、中国人民銀行(日本の日銀に相当)は為替市場に介入し、ドル売り人民元買いで暴落を阻止しているのである。
外貨準備高が急減するのは当然である。

習近平政権は、不正蓄財を理由に共産党幹部たちを次々と粛清し、人民元売りを強引に阻止しようとしているが、そんなものは焼け石に水である。
しかも、摘発しているのは習近平主席の敵ばかりである。
やがて、政治闘争に発展する危険すら出てきている。
中国は、世界経済の火薬庫になりつつある。

噂のレベルだが、まもなく「年間10万元(日本円で180万円弱)以上の買い物を現金で行ってはならない」とする法律が施行されるという。
これは、爆買い禁止というより、資金の海外流出を食い止めようという処置である。
中国は、そこまで追い詰められているということである。

次号では、中国の政権が次に打つ政策を検証してみる。