大企業の相次ぐ不正(その1)

2017.11.17


神戸製鋼所や日産自動車の不正など、日本を代表する大企業の不正が相次いで発覚しています。
日本だけでなく、近年はフォルクスワーゲンなどの欧米大企業の不正も発覚しています。
その原因について、識者やコメンテーターがあれこれ述べています。
不遜を承知で言わせてもらえば、どれも当たっていますが、どれも問題の本質から外れているような気がしています。
私は、かつて大企業の職場で働いていましたが、その時代から不正は日常的に行われていました。
しかし、それをすべて「企業が悪い」とか「社員が悪い」と片付けられない深い要因があります。
まず、法であれ社内規則であれ、それを完全に遵守することは不可能という現実があります。
これは社会全般に対しても言えることです。
例えば、車を運転している方で、過去に一度も違反をしていないと言われる方は皆無に近いのではないでしょうか。
実際に反則切符を切られなくても、日常的に速度違反は犯していると思います。
また、警察も悪質でない限り、違反を黙認しています。
それは社会を円滑に動かすためには法の執行をある程度緩める必要があるという経験則からです。
問題は、その「ある程度」の“程度”にあるのです。
速度違反については、一般道路だったら20kmオーバーまで、高速道なら30kmオーバーまでは捕まらないというような程度があります。
(上記は私の感触なので、責任は持ちませんよ)
このように、たいていのことは、法律の規準を超えたところに「見えない」規準があるのです。
しかも、それは取り締まる側の裁量で決まる規準であり、取り締まられる側は推測するしかないわけです。
神戸製鋼所や日産自動車の不正は、検査結果の偽装や無資格者による検査が日常化していたという不正です。
やはり「ある程度」が“少々”のうちは業務を円滑に進める「潤滑油」的な認識だったと思いますが、次第に「違反をしている」という意識が薄れ、やがて「あらたな暗黙規準」化してしまった例だと思います。
では、なぜそこまで行ってしまったのでしょうか。
それは次号で述べます。