価格競争に勝てる『建設生産システム』(3)公共工事発注における経済技術(その続き)

2013.03.31

しつこく書きます。
「生産システムで価格競争に勝つ」2つの要素です。
(1)「社会情勢の変化」
(2)「劇的な技術革新」
この2つが縦糸と横糸のように交差するところに革命、革新が起きるのです。
アベノミクスによる「社会情勢の変化」が起きてきた今は大きなチャンスの時です。
もう一つの要素「劇的な技術革新」を考え、第1の要素に交差させれば良いのですから。
これは、国も地方行政も企業も、そして個人に対しても言えるのです。

前回、公共工事発注において、「請負者の利益が出るような秘策」が「劇的な技術革新」だと解説しました。
そして、この「利益が出るような秘策」で一番分かりやすいのは、予定価格の上限拘束性の撤廃だと書きました。
しかし、財務省の反対で、なかなか実現が難しいようなので、もう一つの策の話をします。
それは「市場価格の調査」のことです。
国交省は、この調査によって得られた情報から予定価格の単価を決めています。
それも低い水準に合わせてです。
当然、今のように経済が上がり始め、復興需要と併せて職人不足になれば、末端の実勢単価は急上昇します。
調査時期のずれた発注単価とのかい離は広がる一方です。
「だから、単価改訂を」と業界は訴えていますが、それも違います。
国による単価調査自体を止めさせるべきなのです。
あるいは、調査から単価を決める方法の改善を要求すべきです。
要するに、発注方法における「劇的な技術革新」が必要なのです。
それには、くどいようですが、「予定価格の上限拘束性の撤廃」が最も有効な策なのです。

おそらく、そうすると、「天井知らずの価格高騰を招くのではないか」という恐れが大きいのだと思います。
ならば、期限を切ってやってみれば良いのです。
どんな結果が出るかによって、その後の政策を考えればよいのです。

業界紙によると、指名競争への回帰や随意契約が増えてきて、CM(コンストラクションマネジメント)の採用も増加傾向とのことです。
それに対し一般マスコミは、当然のごとく批判的です。
談合の復活、官民の癒着、政治家の介入など、かっての道に逆戻りするだけという批判です。
その批判は、当っているとも当っていないとも言えます。
でも、プラス面だけの改革なんてあり得ません。
マイナス面も併せ飲んでいく度量、度胸がなければ改革など進められません。

TPPもそうですが、現状を変えることに対する批判的意見のほうが力を得やすいのです。
何しろ、現状維持は、結果が見えやすいのですが、改革は劇的であればあるほど、事前に結果は見えず恐怖が先に立ちます。

しかし、企業と違って、国交省は改革に失敗したとしても潰れることはありません。
また、国を始め発注機関の方々、特にキャリアの方々に申し上げたい。
たとえ、個人の責任を問われて退職する羽目になっても良いではないですか。
それだけの挑戦にトライされた方であれば、失敗したとしても、民間企業は評価します。
思いき
った転職が出来る踏ん切りがつくと考えませんか。
外郭団体の人たちを含めて、国交省は優秀な頭脳をたくさん持っているはずです。
外から全く新しい「建設生産システム」を考える良い機会だと思いませんか。
今回、このような過激な意見を書いた理由は、
「劇的な技術革新」とは、このくらいの覚悟と推進力がいるからです。
一企業でもそうなのに、まして国家運営なのです。

もう一つの理由があります。
それは、付き合いのある若手キャリアの方々の中には、「企業経営に興味がある」と仰る方々がいるからです。
そのような方々へエールを送ります。
「有言実行こそ、真に実力ある人間の証である」とです。
その気があれば、有望な民間企業をいくらでも紹介できますよ。

と、今回は、リクルート会社の広告みたいになってしまいました。
断っておきますが、弊社は、そのような仕事を行っておりませんので、あくまでも個人的にです。

さて、次回は、本題の価格競争に勝てる『建設生産システム』についてに戻ります。
乞うご期待!