税金を考える(3)

2023.12.04

前回の「消費税が上がれば、輸出大企業に対する還付金が増える」に対し、こんな声もあります。
「輸出企業は、輸出相手から消費税を受け取れない(外国に対し日本の法律は適用できないから当たり前・・)。それなのに、国内の仕入先や下請け企業には消費税を含めて支払っているのだから、その分の還付を受けるのは当然ではないか」
つまり「輸出企業は、余分に払った消費税を後で返してもらっているのだから、還付金は正当だ。故に、経団連は別に還付金欲しさに増税を主張しているのではない」という意見です。
 
たしかに、建前はそのとおりです。
しかし、問題の根源は、経団連に所属するような大企業と下請け企業との関係にあります。
言うまでもなく、大企業と下請け企業との関係は平等ではなく圧倒的な格差下にあります。
大企業は、言うことを聞かない下請け企業は使わず、言うことを聞く下請け企業だけを使うことができます。
 
もちろん、公正取引委員会(公取委)が「優先的地位の乱用」をもって、こうした大企業を取り締まることはできます。
しかし、下請け企業がこうした訴えを起こすことがあるでしょうか。
たとえ、その訴えが取り上げられ、大企業に是正命令が下されたとしても、それでも、その企業との正常な取引が続くなどと誰が考えるでしょうか。
取引がなくなる覚悟を持ってしか、そうした訴えなどできるはずはないのです。
事実、公取委から消費税の転嫁で処罰されたという話を聞いたことがありません。
下請けはただ泣き寝入りするしかないのが現状なのです。
 
中小企業である弊社にも、毎年、公取委から「下請法への違反がないか、消費税転嫁に対する不当な圧力がないか」というアンケートが届き、「ある場合は、具体的な企業名および内容を報告せよ」との回答要求が来ます。
しかし、いつも「誰がこんな訴えを起こすのだろうか?」という疑問しか湧きません。
訴えの実態報告を目にしたことがないので、本当にあったら、その事例を見てみたいものです。
 
幸い、弊社は大半のお客様と良好な関係が築けていて、消費税の転嫁も問題なく行われています。
弊社が発注側の時は当然支払っていますし、消費税も正しく納付しています。
ゆえに、経団連会長の「消費税上げろ」の主張から見えるのは、輸出大企業はその圧倒的な権力を使って、多くの下請け企業に対して正当な「消費税」を支払っていないという実態です。
消費税を認めるが、元の金額の値下げを強要するなどのもっと悪質な行為も見聞きします。
 
2022年の輸出還付金の合計額は6兆6千億円に上り、これが輸出企業に還付されているわけです。
一方、22年度の消費税収は26兆円なので、消費者が支払った消費税の25.4%が、輸出企業に対する還付金(事実上の補助金)となっているわけです。
 
つまり「還付金」という制度が存在する消費税の仕組みは、輸出企業に対する事実上の「補助金」支給の仕組みとして機能しているのです。
この仕組みを最初に取り入れたのはフランスですが、WTO(World Trade Organization=世界貿易機関)で規定されている「自国の輸出企業に対する補助金の禁止」をくぐり抜けるために考え出された税制なのです。
次回は、消費税と付加価値税の違いについて解説します。