これからの近未来経済(20):新しい資本主義を知ろう

2022.08.17

本メルマガの読者の方でも、岸田首相の唱える「新しい資本主義」については「言葉だけ知っている」というレベルではないでしょうか。
私も似たようなもので、以下の4分野を推進するという程度の知識しかありませんでした。
(1)人への投資と分配、(2)科学技術・イノベーションへの重点的投資、(3)スタートアップの起業加速及びオープンイノベーションの推進、(4)「GX(グリーン・トランスフォーメーション)及びDX(デジタル・トランス フォーメーション)への投資
 
ですが、それも無理はありません。
具体策が書かれた「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 ~人・技術・スタートアップへの投資の実現~」が発表されたのは今年の6月7日で、それまでの間、ほとんどの人はその中身を知ることができなかったわけですから。
政権発足が2021年10月ですから、「なんと悠長な・・」と言うしかありません。
 
さて、気を取り直して、その内容を解説したいのですが、とても紙面が足りません。
というより、長文のわりには、さしたるインパクトが無いのです。
と、ここで気が付きました。
「インパクトはないが、なんでも一応の品揃えはある」ということにです。
そして、これが自民党の特徴であり、強さと言えることにです。
一言で言って、デパートなのです。
「新しい資本主義」は、こうした自民党という政党の性格そのものを表したものなのです。
ゆえに、掲げた重点投資4分野に目新しさはなく、これまでの政策課題を並べただけに過ぎないのです。
しかも、どの課題も、これまで有効な手が打てず“売れ残った”古い政治商品ばかりです。
つまり、当然”やらなければならない”ことばかりなのです。
故に、岸田首相は、胸を張って「どうだ!」と威張るのではなく、「なぜ、これまで実行してこなかったのか、アベノミクスが頓挫した要因との関係はどうなのか」を、まず国民に丁寧に説明する必要があるのです。
そして、この文章全体を覆っている隠しようもない“官僚臭さ”を排して、ご自分の筆で書き直して欲しいと切に願います。
 
ですが、首相の批判だけするのも片手落ちなので、次回から重点分野の4点について、私なりの意見を述べていきたいと思います。