会社は株主のものか?

2025.04.01


古くからある問題ですが、会社はだれのものなのでしょうか。
読者のみなさまには“釈迦に説法”で申し訳ありませんが、我慢してお読みください。
 
そもそも株式会社とは、株主が出資する資本金をベースに経営活動を行う組織です。
有限会社や合資会社なども基本は同じ仕組みです。
ゆえに「会社は株主のものだ」とする考え方が「株主資本主義」です。
一方、会社の営業や生産活動は社会に支えられているのだから「会社は社会全体のものだ」とする考え方が「広域資本主義」です。
ここで断っておきますが、本メルマガには「どちらが正当な考えなのか」を結論付けるような意図はありません。
「会社ってなんだろう、誰のために存在しているんだろう」という素朴な疑問から、この問題を提起しました。
 
会社にとっての生命線は「おカネ=現預金」であり、そう思っている方が大半でしょう。
実際、おカネさえあれば、どんなに赤字が続こうが会社は存続できますが、おカネがなくなると黒字会社でも倒産となります。
この原則は、様々なネット配信で会計士や税理士、コンサルタントの方が言っていますから、読者のみなさまには「耳にタコ」でしょう。
ゆえに企業は、様々な手段でおカネを調達するわけですが、一番は「利益」を上げることです。
おカネがあっても利益を上げていかないと、やがて、このおカネを食いつぶし会社の活動は停止してしまいます。当然です。
 
前段が長過ぎましたが、ここからが今回の本番です。
では、その利益を還元すべき相手は誰なのでしょうか。
株主資本主義に従えば「利益は株主に還元する」となります。
米国ではこの考え方が強く、大金持ちがより大金持ちになる素地になっています。
 
一方、広域資本主義の場合は難しいですね。
対象範囲が広すぎて、誰に還元するべきかが分かりません。
一つは、自社の社員を広域社会の代表と考え「利益は社員に還元する」とする考え方があります。
でも、これだと「利益が赤字だったら給料を払わない」となりかねません。
株主資本主義の場合は、「赤字だったら資本家への配当はゼロ」が当然ですから、資本主義としては、こちらが王道といえるのかもしれません。
ゆえに、上場している大手企業の経営陣には「株主への配当を最大化する」圧力がかかりますし、赤字続きの場合は退陣に追い込まれるケースとなります。
では、このような上場企業は、社員への利益還元をどう考えているのでしょうか。
それは簡単です。
社員への給料は利益還元ではなく利益を上げるための「経費」であり、賞与だけが利益還元です。
もっとも日本企業の多くは、この賞与を固定化して経費にしていますので、賞与と呼ぶのは変です。
これは「後払い給与」と呼ぶべきです。
 
話を、広域資本主義の場合の利益還元の相手に戻します。
「広域」の代表は社会そのものですから、社会へ還元となるわけですが、対象が広すぎて具体策が浮かびません。
「給料のベースアップとしての還元」は、社員やその家族は社会の一部ですから、ひとつの答えとなります。
様々な対象への「寄付」も答えの一つですが、いま国会で論争になっている「政治家や政党、団体」への寄付は微妙ですね。
見返りを求める本音が垣間見えますから、「賄賂」との境があいまいです。
「ふるさと納税」も返礼品目当てだと、無償の寄付とは言えません。
なんらかの歯止めが必要なのは当然です。
 
私は、もっと価値あるものとして「投資」を考えています。
このことは次号で。