経済政策から考える総裁選

2025.10.01


自民党の次期総裁に誰がなろうと、少数与党という足かせは続きます。
その制約の中で、どのように日本を導いていくのか、正真正銘の力量が問われます。
今号は、外交や安全保障政策は横に置き、経済政策に絞って論じます。
 
日本のGDPは長く低迷を続けたことでドイツに抜かれ4位に落ち、インドにも抜かれそうです。
しかし、長く続いたデフレの影響は大きく、経済の一番のけん引役である消費マインドが上昇に転じたようには感じられません。
それはそうです。
日本のデフレ経済は30年も続いたのです。
消費の主役が代わってしまうのは当然です。
バブル時代に消費の中心であった30代、40代は、今や60代、70代となり、勢いを失っています。
それに代わる新しい30代、40代は、バブル時代は0歳、10代だったわけで、バブルの恩恵どころか、その後の長期デフレの影響をもろに受けた年代です。
消費に関する意欲も行動もまったく違っていて当然です。
 
また、この年代になると、消費行動だけでなく人生そのものに対する意識が180度違うのです。
30年前の日本社会は、出身学校、就職先、そして年功序列で人生の多くが決まってしまう世の中でした。
そして、AIはおろかIT環境すら、ごく一部の人以外、触れることすらできない時代で、プライベートはもちろん、ビジネスの大半も人間関係だけで回っていた時代でした。
これはこれで20世紀にはうまく回っていたのです。
しかし、21世紀になった今日、前世紀の常識の大半が急速に使い物にならなくなっています。
 
使い物にならなくなったのは、それまで長期政権を続けていた自民党も同じです。
しかし、21世紀に新たに政権の座についた旧民主党を率いていたのは、20世紀の、それも古いマルクス・レーニン主義に染まった団塊世代の人間です。
彼らが行った公共事業の見直し、事業仕分けなどの政策自体が間違っていたわけではありません。
しかし、経済通がいない政権の弱さから、結局、財務省が主導権を得てしまい、増税政権となってしまったのです。
しかもその後、政権を取り戻した自民党も、この増税路線を変えることが出来ずに経済の低迷から抜け出すことができませんでした。
こうした自公政権が少数与党に落ちたのは当然です。
自民党の新総裁には、岸田・石破と続いた増税政策を捨て、積極財政で経済の立て直しができる能力と見識、そして新たな時代を切り開いていける本物の政治力が問われているのです。
 
では、総裁候補の5人の誰がその役にふさわしいのでしょうか。
ネットでの配信や報道を見ての判断ですが、残念ながら全員失格というしかありません。
しかし、それでOKというわけにはいきませんので考えました。
各候補が持つ経験や持ち味、能力はそれぞれ違います。
ならば、それらを組み合わせるチーム内閣を結成するという考えです。
それでも、なお不足なので「一部の野党の人材を加えたチームで内閣を組む」ことです。
そうなると、今回の総裁選は「こうしたチームを組むことが出来るのは誰か」の選択になります。
 
さらに、首相となれば、日本の顔として、トランプをはじめとする世界各国のリーダーたちと対等に相対する力量も必要となります。
そうした顔としての首相は、別に自民党総裁でなくても良いのです。
そのように幅広く、かつ鋭い力量を持つ人が選ばれて欲しいと思います。
前号で断定したように、小泉氏以外という条件が付きますが・・