企業連携の行方は、どうなる?

2023.10.31

【経済・経営】2023

インボイス、電子帳簿保存法、さらに2024年4月から厳格化される残業規制と、企業経営に対する法規制は厳しくなる一方。
特に建設業は「対応の遅れ」というより、乗り切る策に乏しく、倒産が増えていく様相が出始めています。
そんな中、大手では、異業種との事業連携に活路を見出そうとする動きが出てきました。
 
設計事務所最大手の日建設計とソフトバンクは、スマートビルディング事業で新会社を設立して事業提携することを発表しました。
また、東大と設備会社9社がGX実現で提携することを発表しました。
 
こうした事業提携が実を結ぶか否かは今後の推移を見ていくしかありませんが、過去の事例からは厳しい結果が予想されます。
日建設計とソフトバンクの提携は、スマートビルディング事業となっていますので、大型の高層商業ビルのエレベータ制御や空調環境の制御などが狙いかと思いますが、その分野でソフトバンクに大きなノウハウがあるようには思えません。
だとすると、データコントロール関係かと思われますが、詳細は不明です。
何より両者の企業文化が違いすぎるので、社員同士のコミュニケーションも取れないような気がします。
 
GX実現の提携については、あまりに漠然とし過ぎていて、論評することすらできません。
そもそも、参加企業に明確な戦略があるのかどうかが疑問です。
 
過去も現在も、行き詰まったときの企業提携という話は数多くありますが、長く続いて成功したという事例をほとんど聞きません。
鳴り物入りで始まり、一時は大成功と言われた日産とルノーの事業提携も、ゴーン被告の不正という大きなキズを産み、ついに提携解消へと進んでいます。
日産の受けた傷はあまりにも深く、未だに、その全容は明らかになっていません。
 
小さな事例ですが、弊社も提携の失敗を何度も繰り返してきました。
いったんは成功しても、長続きせず、やがて傷が深くなり解消ということのオンパレードでした。
それでも、現在まで長く続いている提携もあります。
ヒントは、互いの利益の相互作用が機能することであり、人間関係に深く立ち入らないことだと思っています。