今の共産中国は昔からの中国ではない

2024.09.17


中国は、歴史授業で学んだように1400年前の昔から日本と関係が深い国でした。
しかし、現代ではまったく学べることのない異質な国になってしまいました。
 
最初に歴史の概説から入ります。
中国共産党が国民党を台湾に追い込み、中華人民共和国を建国したのは1949年10月1日です。
つまり、共産中国は、建国から僅か75年の若い国です。
第二次大戦後に独立した東南アジアやアフリカ諸国と同じ程度の歴史の浅い国なのです。
 
それでも、中国国民の多くは、「4000年の歴史ある国だ」と胸を張ります。
たしかに、歴史学上、確認されている最古の王朝の「殷」の建国から数えると3600年ぐらいの歴史はあります。
しかし、最初の統一王朝の秦から最後の「清」まで主な王朝だけで16の王朝が入れ替わっています。
曲がりなりにも一つの王朝が1500年ぐらい続いている日本とは、そこが違います。
 
最後の王朝「清」の後の1912年に、日本を拠点に活動していた孫文等が「中華民国」を建国しました。
中華民国は中国初の民主主義国家でしたが、孫文の後に権力を掌握した蒋介石率いる国民党は、日本との日中戦争で疲弊し、戦後の国共内戦で共産党に敗北し、台湾に逃れたわけです。
その結果、大陸の民主主義は消え、共産党による一党独裁の国となり、現在に至っています。
 
長々と小学校の歴史の時間のような前段ですみません。
つまり、3600年の歴史を自慢する中国ですが、主な王朝だけでも16~20回も変わり、
一瞬だけ民主主義国家になりましたが、結局、一党独裁の疑似的な王朝国家に戻ってしまったというわけです。
ゆえに、台湾は中華民国という民主主義の独立国家であり、共産中国の一部ではありません。
欧米や日本が「一つの中国」を認めたのは、認めることで中国がいずれ民主主義国家になると思ったからです。
残念ながら、その思惑は空振りに終わり、今の中国は、アジアはおろか西太平洋全域を支配する一大独裁国家になろうとする野望の国になってしまいました。
 
そうした政治形態とは別に、中国人の根底の意識は大昔から変わっていないのかなと思うことがあります。
中国で人気の歴史ドラマをネットで観ると(もちろん日本語版で)、その国民性の一端が見えてきます。
神がかり的な能力を持つ超人たちが派手に跋扈(ばっこ)するドラマが大人気です。
(見え見えなワイヤーアクションに食傷気味になりますが・・)
こうした「超人能力」を、政治指導者にも求める国民意識があるようです。
どの国にも似たような意識を持つ国民が一定数いて、そうした政治勢力が台頭することがありますが、民主主義国家では、その是正ができます。
しかし、中国のような独裁国家では、その選択の間違いを正す手段が“暴力”しかありません。
ロシアのように表面だけ民主主義の仮面を被っても、選挙では対立候補を殺害したり、でっち上げの罪で牢獄送りする国も同様です。
その意味で、旧統一教会問題の闇を明るみに出したとはいえ、安倍元首相を暗殺した犯人を英雄視してはならないのです。
それが民主主義国家の矜持(きょうじ)です。