国の経済の舵取り

2023.09.30

【経済・経営】2023

国家にとり望ましい経済成長とは、消費と収入の双方がバランス良く伸びていき、企業と個人の双方に投資余力が生まれて再投資が循環する経済成長です。
この原則、北朝鮮のような独裁国家には当てはまりませんが、自由主義国はもちろん、社会主義国にも当てはまります。
今のロシアの苦境は勿論、習近平主席の独裁体制が強まっている中国の行き詰まりは、この原則を無視していることにあります。
 
では、令和の日本はどうでしょうか。
デフレ経済から脱し切れていない「いびつな形」の日本経済に対し、岸田首相は「貯蓄より投資を」と呼びかけるだけで、根本の対策は打てていません。
失礼だが、首相は、少々経済の勉強が足りないのではないかと思います。
また、閣外に優秀なブレーンはいないのでしょうか。
 
金融機関は、集めた預金を金庫にしまっておくわけではありません。
企業への融資や債権の購入、さらに国債の買入などを行っています。
こうしたことは投資です。
つまり、タンス預金以外の貯蓄も投資なのです。
首相の言う「貯蓄より投資を」は、庶民が直接、株や債権を買えということなのでしょうが、知識も経験も乏しい庶民には無意味で、まったく虚しい呼びかけです。
 
ゆえに、金融機関への貯蓄が企業投資に使われることが正常な経済の姿ですが、その投資が国債に大きく偏っている現在の姿はあまり健全とはいえません。
もっとも、国債も死に金ではなく、公共投資や経済補強に使われているうちは健全の範疇にあるといえるでしょう。
しかし、金融機関が企業への融資より国債の購入を優先する姿は非常に不健全であり、金融機関の経営姿勢が問われる問題です。
実際、金利が実質ゼロの預金を集め、0.5%の金利が付く国債を大量に買っているわけなので、銀行は労せずして大儲けができているのです。
さらに、日銀が1.0%までの金利上昇を容認したことで、国債の金利は上昇傾向にあります。
銀行は、笑いが止まらないのでは・・
 
日銀が本格的な金利上昇に踏み切る場合は、この銀行が儲かるばかりの現在の姿を先に是正する必要があります。
企業への融資金利や住宅ローン金利を上げる前に、預貯金の金利を上げるように誘導する必要があるのです。
でも、こうした誘導には、財務相が強硬に反対するでしょう。
その抵抗を押さえ付けるには、岸田首相-鈴木財務相のコンビの能力では、あまりにも心もとない。
 
これからの日本は、防衛力の強化、災害対策、少子化対策など、大きな予算を掛ける必要のある課題が目白押しです。
財務省や財政健全派の政治家や経済評論家は、「増税ありき」の考えを変えようとはしません。
増税で市場の意識が萎縮したら、デフレ経済へ逆戻りです。
起爆剤として国債増額さえ必要なことを意識しなければ、日本は衰退へと落ちていくでしょう。