女性役員の割合を30%以上に

2023.06.30

【経済・経営】2023

本メルマガ4月30日号の<編集後記>に、以下の内容の文を書きました。
『4月27日、政府は東商プライム企業の女性役員を、2030年に30%にするという目標を掲げました。
岸田首相は「社会全体での女性登用促進にはずみをつける」としています。
正直な感想を言えば「どうかなあ~」です。
複雑化する一方の経営環境を考えれば、女性の感性・能力が必要なことは明らかで、政府に言われるまでもないことです。
しかし、大企業が率先すれば中小企業が従うという古い発想から脱することができない政治が最も遅れています。
岸田首相が掲げるべきは、「大臣の半分を女性にします」という目標ではないでしょうか。
もっとも与党内の男性議員たちから猛反発をくらうでしょうが・・』
 
6月21日に世界経済フォーラムが公表した「ジェンダーギャップ(男女格差)リポート」で、日本は146カ国中125位という順位でした。
このリポートに政府は慌てたのか、上場企業に対して「女性役員比率を30%以上にせよ」とした要請を出しました。
4月27日の目標発表と同じ内容ですが、今度は各企業宛の直接要請です。
 
しかし、いきなり多くの女性社員を役員に引き上げたら社内は大混乱となるでしょう。
そこで、社外役員枠を増やし、そこに外部の女性を据えるという“姑息”な手段を採る企業が多いようです。
まあ、「とりあえず形だけ整える」という、いつもの日本文化(?)で、しのごうというわけです。
それも仕方ない側面がありますが、問題はその人選です。
外部から本当に有能な女性役員が来て、あれこれ経営を批判されても困るのが多くの企業の本音です。
現在、公表されている女性の社外役員の顔ぶれを見ると、その本音が透けて見えます。
言い方は悪いですが、「知名度があり、でも企業の実務経験のない女性」の名前が散見されます。
具体的には、元アナウンサー、芸能関係者、元アスリートの方の就任が目立ちます。
もちろん、中には経営能力があると思われる方もいますが、本当に経営に参画できるかには疑問があります。
どうなるでしょうか。
 
私の管理職時代は35歳から創業前の44歳までの9年間です。
随分昔の話になってしまいましたが、大手企業の内実は、あの頃からそんなに変わっていないように思えます。
当時在籍していた会社で、ある時、社長直々に「女性社員の活性化」が全管理職に通達されました。
私は、ある女性を主任に昇格させようと考え、本人に面接しました。
てっきり「頑張ります」と言うと思ったのですが、女性の返答は「困ります!」でした。
私は面食らい、聞き直したのですが「困ります」を繰り返すのみ。
理由を聞いたのですが、理由は言いません。
 
では、まず女性たちの仕事内容を変えようと考えました。
社外との折衝や出張のある仕事に女性たちを積極的に活用することから始めました。
しかし、すぐに壁にぶつかりました。
当時は「女性は補助職」との考えが強かったせいで女性には名刺がありませんでした。
そこで、総務部に名刺を申請したところ、総務部長から「なんで、“オンナ”に名刺が要る?」との一言。
言い争うのも面倒なので、「私の部門の費用で作成します。会社のロゴを使用する許可だけください」と押し切りました。
次に、出張させようとしたら、また「なんで“オンナ”に出張させる」と言いがかりです。
無視して強行すると、とても内容を書けないような低次元の噂を社内に飛ばされました。
 
そんな頭の硬い連中の妨害よりこたえたのは、他部署の女性社員からの、私の部署の女性に対するイヤミやイジメです。
前述の女性社員を昇格させようとした時の「困ります」の意味は、こうした攻撃を受けることが分かっていたからなのだと分かりました。
やや脱線するので、その後の話は別に書くとします。
 
上記は、かなり昔の話ですが、現代でもそれほど状況は改善されていないのではと思うのです。
政府は、「・・30%以上に」という意味の薄い目標を企業に要請する前に、政治の世界から改革を進めるべきでしょう。
なにしろ、前述の世界経済フォーラムのリポートでは、政治分野が138位と全体の足を引っ張っているのですから。
岸田首相は、次の内閣改造で大臣の30%を女性にして、範を示したらいかがでしょうか。
それも民間からの登用を軸にして・・です。